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第2回山本周五郎賞 受賞作:TUGUMI/吉本ばなな

TUGUMI (200x290)
(あらすじ)
病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私は、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。

answer.――― 80 点
ばななは『キッチン』さえ読んでおけばいい!というネガティヴ・キャンペーンな持論の発端は、著者がメディアその他の性悪な露出によって、作中で《吉本ばなな》が見えてしまうからなのだが、それでも『キッチン』以外でもう一作、あえて挙げるならば、やはりこの第2回山本周五郎賞受賞、海外でも支持高い(らしい)本作『TUGUMI』になるのだろうか。おっとりとした「私」の従妹「つぐみ」は美しく病弱で、それでいて、じゃじゃ馬だった―――帰省した大学一年の夏、「つぐみ」との強烈な日々を振り返りながら、現在を描く青春譚の本作。百葉箱を用いた「お化けポストごっこ」、そこからの友情の分岐点となった悪戯など、読み手が暗黙の了解として求める登場人物たちの《過去》を振り返る形で惜しげもなく披露していく作風は、「死」を抜け目なく挿し込んでくるセンスを含め、ある種の天性を感じざるを得ない。自由気ままに書いていただろう文章も、数作を経て洗練されたのも好印象。表題になってさえいる「ヒロイン」つぐみは、出版から四半世紀過ぎた現在でもVividで、第1級のヒロイン格を保てている。ラストの手紙も素敵な演出だ。本作が著者の代表作、名作に挙げられるのも頷ける。にしても、……である。作中、私が顔をしかめたのは、例によって、ズイッ……と吉本ばなな@居酒屋事件で検索!が出てきたからだ。「お前のことを好きになった」とは、出会って間もないイケメンにつぐみが放った肉食極まりない言葉だが、私はこの台詞に(……お前、ばななだな?)と著者を見た。つぐみは、男には素を隠すという設定はどこへ行った?一目惚れなら、ここはつぐみならたとえば苛つくところなんじゃねえか?どんな言葉を並べても、作家と登場人物は切り離すことは出来ない。 だからこそ、作家は己を「隠す」技巧を修めるべきだ。それが出来ないなら、作家は「表」舞台に出てくるべきではないと思う。もっとも、「お前のことを好きになった」以外は特に気にもならなかったので、大衆小説として◎を打てる一作。楽しめました。

第2回山本周五郎賞 受賞作:TUGUMI/吉本ばなな

category: や行の作家

tag: OPEN 80点 よしもとばなな 山本周五郎賞

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第1回本屋大賞 7位:デッドエンドの思い出/よしもとばなな

デッドエンドの思い出
1.幽霊の家
2.「おかあさーん!」
3.あったかくなんかない
4.ともちゃんの幸せ
5.デッドエンドの思い出

answer.――― 62 点

ばかみたいだけど、私はこの中の「デッドエンドの思い出」という小説が、これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました―――あとがきに書いてある著者のこの一言に、本作を読む価値があるとは思うのだが、よしもとばななの<代表作>としての紹介は出来ない作品。本作に収められているのは5つの短篇。大別として、よしもとばななが作家として無理をしている話と、よしもとばななが作家として成長している話に分けられる。表題作なんかは実際、作家として成長している部類の話に入ると思うが、―――ぶっちゃけ、ファンでなければそこを評価する意味は無い。そもそもにして、よしもとばななは作家としてはすでに旧時代的な存在で、せいぜいエッセイ(=熱心なファンだけが読むモノ)で飯を食える程度のレベルでしかない。この人は結局、教科書にも採用された代表作『キッチン』を読めば事足りる一発屋だ。彼女はもう小説は書かず、エッセイだけで満足して欲しい。本作はまさにデッドエンド、死んでくれ!的作品だった。ちなみに、<よしもとばなな><居酒屋>で検索してみると、彼女の作品を二度と買いたくなくなるのは日本の中だけの秘密だ。

第1回本屋大賞 7位:デッドエンドの思い出/よしもとばなな

category: や行の作家

tag: OPEN 60点 よしもとばなな 本屋大賞

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