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このライトノベルがすごい!(2010年版) 8位:ベン・トー サバの味噌煮290円/アサウラ

ベントー
1.氷結の魔女
2.魔導士
3.ダンドーと猟犬群

answer.――― 70 点

B級映画に始まり、B級スポット、B級グルメ……世間一般のB級が意味するところはいわゆる<一流に届かない>という有難迷惑なレーティングながら、そもそもにして、B級とは元よりB級を意図して創られたモノ(ex.映画『キル・ビル』)を指す―――といつぞや誰彼から耳にして以来、B級に対する認識が改まったものだが、さて、出版界の「超」大手である集英社が持つスーパーダッシュ文庫(以下、SD文庫)。本作はそこで現在のところ、事実上のエースを張る『ベン・トー』シリーズの第一弾。ストーリーは、スーパーで売り出される半額弁当を奪い合う、というシュール極まりないモノ。この時点ではっきりと予感出来ると思うが、ストーリー自体はまず面白いものではない。ただ、……とここから注釈がつくのが正統派B級ライトノベルたる本作の魅力。一読して分かることは、つまらないものを面白いものにさえ昇華させる高い文章力。作中、半額弁当奪取競争の暗黙のルールを破る輩を<豚>、ルールに順じて闘う者を<犬>、あるいは<狼>と読者を置いてけぼりにさも当然のように要所で叫ばせるが、アサウラ氏の手に掛かれば、知らぬ間にこのスーパーマーケット・ファンタジーへ引き摺りこまれ、ルールを破る輩が現れようものなら「……(コイツら、豚だ!)」と読者にそのルールを植え込ませるまでに到る。また、B級の冠に相応しい性を絡めたネタが絶妙で、何度となく吹くこと必至なので食事中は読書厳禁だ。キャラクターには漫画では出せない躍動感があり、この辺も見逃せない。如何せん、B級であるためにある種の限界こそ感じるが、かの醜悪祭を催してしまったSD文庫にあって、この光明は大事にしたいところ。今秋にはアニメ化も決定しており、このエースで弱小文庫からひとつと言わず、どこまで<格>を上げられるか見物です。

このライトノベルがすごい!(2010年版) 8位:ベン・トー サバの味噌煮290円/アサウラ

category: あ行の作家

tag: このライトノベルがすごい! OPEN 70点 アサウラ

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第5回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:黄色い花の紅/アサウラ

黄色い花の紅
1.序幕
2.第一部
3.幕間
4.第二部
5.終幕

answer.――― 55 点

B級傑作『ベン・トー』シリーズで、その名をライトノベル業界に知らしめたアサウラのデビュー作であり、第5回スーパーダッシュ小説新人賞の<大賞>受賞作。パッと見て分かる頁の厚み、捲って知る350頁のボリューム。『ベン・トー』からの後追いファンからすれば、さぞ期待に胸膨らむ心持ちとなりそうだが、いざ読了してみれば、新人作らしい拙さが随所に盛られている作品と分かり、……ガックリ。といった感じ。概要としては、ヤクザの箱入り娘だった令嬢ヒロインが、とある裏切りをキッカケに、自分の生き方に疑問を持ち、……という<自我>の発芽をテーマにしたストーリーライン。自我発芽のアイテムとして「銃」に焦点を当て、また、これが作品のセールスポイント!と意気込んでマニアックに解説してくるものの、銃に興味の無い人には「……」と閉口せざるを得ない。銃の解説は物語上、必要不可欠なものではなく、いわばオマケ的要素なのだが、この辺りの区別がまだ著者には出来なかった模様。読み手としては延々と続く解説に辟易した。そんなマイナス査定が目立つ作品だったが、これからの活躍を予感させる片鱗もあった。本作、章タイトルに銘打ってあるように二部形式であり、第一部ではまさに令嬢だったヒロインが、二部では一転、恰好から何まで令嬢を脱皮していく様は試みとして面白い。ただ、令嬢からの変貌を考慮しても200頁に十分収まる内容であり、やはり、まだまだまだの習作といったところ。まず、と言わず、『ベン・トー』から著者のキャリアが始まったと解釈するべきだろう。ファンでもないかぎり、敢えて読む必要の無い作品。

第5回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:黄色い花の紅/アサウラ

category: あ行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞大賞 OPEN 50点 アサウラ

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