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中公文庫:これは王国のかぎ/荻原規子

これは王国のかぎ
1.前奏
2.海とシンドバッドの船
3.カランダール王子の物語
4.若い王子と王女
5.バグダードの祭り

answer.――― 66 点

こういうある種、正統派な作品を読んでしまうと、『ハリー・ポッター』シリーズが如何にファンタジーとして優れているのか改めて確認出来てしまう。勾玉三部作、『西の善き魔女』シリーズで著名な荻原規子。本作はピエロな失恋をした女子中学生が、泣き果てて目覚めれば周りは砂漠、目の前にはターバンを巻いた青年……そして、自分は人あらざる魔神ジンとなって旅をするストーリーライン。導入が唐突で、ヒロイン自身も「これ、夢だわ」認識でストーリーが進み、故に緊迫感はほぼ無縁の状態が最後まで続く。ただ、冒頭に出会った青年と別れる「転」を挟んでの「運命」展開からは、王家の相続争いというイベントをキーワードにそこそこに読ませる。しかし、よくある話の中でも<ド>が付く真ん中を走る作品には違いなく、漫画などでエンターテイメント慣れした読者は読み方を工夫しないと厳しい感想になるのは必然の流れ。そこで提案したいのが、これはヒロインの現実の恋愛を物語に置き換えた、という解釈。つまり、ハールーン=宮城、ラシード=リコ、ミリアム=ヒロイン、ジン=ヒロイン、という図式。なんて意見は実は私のモノではなく、ネットサーフィンしている最中に見つけたブロガーさんの「邪推」。ながら、ファンタジーにはそういう仕掛けがあって「名作」認定されるのは古今東西に根づいているので、乗っかる分には間違えていないと思う。実際、本作はそういう読み方が出来れば十分に「面白い」。アラビアンナイトを下敷きにしている点が物珍しいっちゃ物珍しい。事実上の続編に『樹上のゆりかご』がある模様。興味のある方はどうぞ。

中公文庫:これは王国のかぎ/荻原規子 (1993)

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 荻原規子

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