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第20回山本周五郎賞 受賞作:中庭の出来事/恩田陸

中庭の出来事
(あらすじ)
瀟洒なホテルの中庭で、気鋭の脚本家が謎の死を遂げた。容疑は、パーティ会場で発表予定だった『告白』の主演女優候補三人に掛かる。警察は女優三人に脚本家の変死をめぐる一人芝居『告白』を演じさせようとする――という設定の戯曲『中庭の出来事』を執筆中の劇作家がいて……。

answer.――― 40 点
ジュブナイル小説の金字塔『六番目の小夜子』での鮮烈なデビュー以来、刊行を絶やすことなく業界を第一線でSURVIVEしている恩田陸。しかしながら、その『六番目の小夜子』を含めた多くの作品は、どれも(……何でこうなるかね?)と眉をひそめたくなる急転直下のファンタジーが演出されることでも知られるが、本作はそんな完成度を求めてはいけない作家、恩田陸の本領を悪い意味で発揮した実験作。概要は脚本家の「死」を提示し、そこから現実と《作中作》の虚実/内裏へ読み手を導いていく、というもの。一読しての印象は、中学生が書いたら「凄いなぁ!驚いたよ!」と笑顔で誉め、高校生が書いても「おっ、良いねえ」と微笑ましく称え、大学生が書いたら「……これで評価を受けたら君は駄目になる」と真顔で忠告し、社会人が提出してきたら「……学生気分が抜けてないな」と渋面でたしなめ、プロが提案or提出してきたら「……これ、他人の作品だったら買いますか?大御所になったつもりですか?」と指導する、結論「……ダメだこりゃ!!」な自慰倒錯本。恩田陸、という作家に求められているのは、こんなSpecial Oneを気取った作品ではない。《何でも書ける》はそれこそファンタジーだ。自費で刷れない作品を世に問うてはいけません。作家が勘違いした典型的な駄作なので書き手ならば反面教師に、読み手ならば読むのも時間の無駄なのでまず手を出さないほうが良いでしょう。

第20回山本周五郎賞 受賞作:中庭の出来事/恩田陸

category: あ行の作家

tag: OPEN 40点 恩田陸 山本周五郎賞

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新潮文庫:六番目の小夜子/恩田陸

六番目
1.春の章
2.夏の章
3.秋の章
4.冬の章
5.再び、春

answer.――― 85 点

恩田陸のデビュー作。未だ根強い人気を誇る、ジュブナイル小説の金字塔。著者いわく、ただ純粋に面白いモノを書きたかった―――という初期衝動によって書き始められただけあって、ミステリーとファンタジーのバランスが悪い場面も散見出来るが、細かいことに目を瞑れば面白いまま本を閉じられる。恩田陸はいわゆる「完成度」を求めてはいけない典型的な作家だが、10代が集う雰囲気を出せる点においては群を抜いて上手い。そして本作はすべての恩田陸作品のなかで、もっともその<雰囲気>を出せているのが素晴らしい。七不思議を混ぜ合わせた全校生徒参加の劇中劇など、ただ純粋に面白いモノを書きたかった―――とホラ吹くだけあって、大味ながらも類を見ないカタルシスを提供してくれる。読む年齢が早ければ早いほど、有り体に言えば読んだときの年齢に反比例して、思い出の一作になる確率が高まる。期待して読むと、上述したようにミステリーとファンタジーのバランスの悪さが鼻についてしまうかもしれない。そういう意味では是非とも、大人になる前に読んで頂きたい。余談だが、本作は増刷に伴い、大幅に改訂している。頁数が見た目で分かるくらい増えているのが笑える。

新潮文庫:六番目の小夜子/恩田陸  (2001)

category: あ行の作家

tag: OPEN 80点 恩田陸

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第2回本屋大賞 1位:夜のピクニック/恩田陸

夜のピクニック
(あらすじ)
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭に臨んだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために……。

answer.――― 76 点

結論として、100頁ないし、150頁ほどは省略出来ると思う。昨今のジュブナイル小説の書き手としては一番に名が上げられるだろう恩田陸。本作は彼女の母校の歩行祭を下敷きにしてあるだけあって、ファンタジーを織り交ぜる普段の作風とは違い、基本的に不可思議無しの作品。物語は腹違いのクラスメイトの邂逅が柱だが、兎にも角にも、ピクニックどころか、マラソンと改題を求めたくなるような長丁場。リアルに歩行祭を追体験出来た。おそらく狙っている部分もかなりあると思うが、だるい、退屈、まだ終わらない、これらの登場人物の感情のリピートが読者に鞭を打ってくれる。確かにツマラナイのだもの、序盤、そして、中盤も!マジ、早く終わってくれ!とは真に迫った内なる咆哮だ。ただ、物語終盤からの清々しさはまさにランナーズハイ。青春をしっかり伝えてくれる。そんなこんなで、時を置いて、もう一度読んでみたいという思いも生まれた。しかし、明らかに錯覚なんだろうな。もう歩きたくないもの。

第2回本屋大賞 1位:夜のピクニック/恩田陸

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 恩田陸 本屋大賞

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