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第2回ラノベ好き書店員大賞 8位:とある飛空士への誓約 1/犬村小六

とある飛空士への誓約 (205x290) (200x290)
(あらすじ)
四千もの島嶼が大瀑布を挟んで存在する「多島海」。ハイデラバード連合共同体、セントヴォルト帝国、秋津連邦、三つの大国が覇権を争うこの海を、七人の少年少女の操縦する大型飛空艇が親善飛行していた。空戦ファンタジーの金字塔「飛空士」新シリーズ、史上空前の規模でついに始動!七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語。

answer.――― 76 点
ライトノベル界隈で“とある”と枕に置けば、多くは鎌池和馬の“禁書目録”―――そして、その多く以外は、この犬村小六の“飛空士”シリーズを連想する。単巻ながらいきなりの映画化するほど好評を博した『とある飛空士への追憶』から『とある飛空士への恋歌』、『とある飛空士への夜想曲』と世界観はそのままに主人公を換え、枝を伸ばした“とある飛空士”シリーズ。その集大成と位置づけられたのが本作『とある飛空士への誓約』。一読しての印象は、―――なるほど、集大成!とまさしく首肯したくなる『とある飛空士への追憶』、その《才人の若人(たち)がAからBへ向かい、到着の事実とともに英雄となる》という筋と同型の展開を披露してくれる。そこに同作よりも主要登場人物を増やし、もはや確立しただろう自信の構成、語彙豊富な筆を存分に奮っているのだから、そのエンターテイメントとしての安定感は盤石である。作中の時間の流れを意識してか、航空機の動力源を変えてくる等のこだわりがしっかり施されているのも、著者の新シリーズへの意気込みを感じる。「集大成」故に既視感を感じざるを得ないのは仕方のないところだが、本作へ手を出す人の多くはシリーズのファンなのだろうから気にはすまい。シリーズ未読の新規のファンの場合ならば詰まるところ、単巻でのクライマックスを望むか、複数巻にまたがって得られるカタルシスを求めるかの選択になる。前者ならば『追憶』を、後者ならばこの『誓約』で良いだろう。新旧のライトノベラー、双方を満足させられるだろう好作。

第2回ラノベ好き書店員大賞 8位:とある飛空士への誓約 1/犬村小六

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 犬村小六 ラノベ好き書店員大賞 このライトノベルがすごい!

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ガガガ文庫:とある飛空士への追憶/犬村小六

とある飛空士への追憶
「貴様にひとつ、重大な任務を託したい」
「次期皇妃を水上偵察機の後席に乗せ、中央海を単機敵中翔破せよ」

answer.――― 77 点

本作の登場は、センセーショナルだった……それは1つに限らず、幾つもの要因が挙げられるのだが、個人的に一番衝撃を受けたのはAmazon運営推しという、例えるなら東西冷戦真っ只中のベルリンの壁に神風が吹きつけて文字通りの風穴を空け、あまつさえ東ドイツに好景気をもたらしたが如き出来事だ。神風が吹いたのだから当然、売れた―――そして、そこからさらに売れた。そう、本作、本当に面白かったのが読者の南極大陸が消滅したが如きセカンド・インパクトだった。『温故知新』、本作が掲げた旗に書いてある言葉である。温故とはファンタジーであり、知新とは空を駆る飛空機である。空を舞台にしたファンタジーで本作ほどの成功を収めたライトノベルを私は知らない。物語は、貧民出身の傭兵飛空士シャルルが軍より密命を受け、次期皇妃フアナを敵が支配する制空圏を潜り抜け、皇子カルロの元へ届けるというもの。前半の作中世界の地理語り、歴史語りは羅列に近くアマチュア的で、製本されている事実がなければ読む気もしないだろうが、姫を後ろに乗せた後半からはめくるめく逃『飛』行。絶対劣勢の展開、スピード感溢れた描写が秀逸だ。ラストシーンはホロリと苦みを利かせたハッピーエンドで、愛に生きる主人公が傭兵の『すべて』を捨てて行うアクロバット飛行を堪能出来る。前半のスロースタートを見事に忘却する大団円―――ガガガ文庫のエース、その誕生の瞬間だった。ファンタジー好きを標榜するライトノベラーは必読の一冊。

ガガガ文庫:とある飛空士への追憶/犬村小六 (2008)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 犬村小六

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