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電撃文庫:ある日、爆弾がおちてきて/古橋秀之

ある日、爆弾が落ちてきて
1.ある日、爆弾がおちてきて
2.おおきくなあれ
3.恋する死者の夜
4.トトカミじゃ
5.出席番号0番
6.三時間目のまどか
7.むかし、爆弾がおちてきて

answer.――― 78 点

電撃文庫、その方向性定まらぬ黎明期において第2回電撃小説大賞<大賞>の冠を戴いてデビューを果たした古橋秀之。しかし「知る人ぞ知る」な立ち位置を立派に確保しているものの、セールスを伴った代表作と呼べる作品が無いまま、現在も無頼を気取って阿漕に作家業を続けている現状は何とももどかしい……が、『電撃hp』に連載された短編(+書き下ろし)をまとめた本作は、2chライトノベル板大賞(2005年下半期)なるアングラにおいて第1位を奪取するアングラ的快挙を得た快作。その内容は著者の他作品とは一線を画す、極端に簡易な文章で綴ったボーイ・ミーツ・ガール。これにはブレイクし切れない己を鑑みて、編集部及び読者に秋波を送ったとも考えられるが、それでも、感心してしまうのは「らしさ」を失っていないこと。あとがきにも自ら記しているように、隠しテーマとして「停止」「逆行」「ループ」……と各話に“時間”の仕掛けを組んでいる。これが謳っているだけあってバリエーション豊かで、オチも上々と来ている。個人的に推すなら、自分の肉体を持っていないクラスメイトが一日置きに他のクラスメイトに憑依して過ごす5章『出席番号0番』か。アイディア賞の設定を活かし、複数の人物の心情(恋愛)を描けているのが良い。書き下ろしの終章は、著者のプライドがただただ滲む。汚名返上とばかりに語彙を増やし、山場である時の「加速」場面では、オノマトペを交えた奇抜な切り口で表現。「連載時は、……敢えて、下手に書いてやったんだぜ?」と読者を見下ろす大人気無さがうすらCoolである。上記のアングラ大賞以外にも、『このライトノベルがすごい!2007』でも10位にランクインしているようにエンターテイメント性も大衆的で、実質の著者の代表作と云える逸品。ボーイ・ミーツ・ガールの秀作を読みたい方はどうぞ。

電撃文庫:ある日、爆弾がおちてきて/古橋秀之 (2005)

category: さ行の作家

tag: OPEN 70点 古橋秀之

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第2回電撃小説大賞 大賞:ブラックロッド/古橋秀之

ブラックロッド
1.ブラックロッドは笑わない
2.吸血鬼もどきはもういない
3.見た目ほどにはヒマじゃない
4.魔女は男を眠らせない
5.永劫の夜に悪夢は覚めない
6.ヒトオオカミなんか怖くない
etc...

answer.――― 72 点

ピーターパン・シンドロームに罹るボーイズ&ガールズの愛読書ライトノベル。表紙に扉絵、所狭しと女の子が飾る現在ならば、「……ここから先は進入禁止だ」と頁をめくることさえ拒ませるガードマンな表紙は、「はい、そうさせて頂きます」と読者にごく自然に三枚目を演じさせてくれる。法政大学の新人作家誕生請負人・金原瑞人創作文芸ゼミ出身の著者のデビュー作。そして、本作はWikipediaの言葉を借りるなら、電撃文庫のその後の流れを決めた作品として知られる(しかし当時代を生きた一般読者感覚で言えば、電撃文庫の流れを変えた作品はどう考えても『ブギーポップは笑わない』だと思う。まあ、確かにスニーカーやファンタジアらしい作風ではない)。その内容は、漫画『攻殻機動隊』を想起させるサイバーパンク。よくぞここまで造語を飛び交わせながら、読者の注意を引けるものだと感心してしまった。構成の点で云えば、二度、三度読むことで張られていた伏線(?)を確認出来る。逆に言えば、一度目ではよく分からない描写として処理される場面が多々あるということだ。間違いなく好みが分かれる作品だが、ハマれば心に残る名作として「今だ―――仏締(ぶっち)めろ!!」となる。初版はハードカバーでの出版。現在は、文庫版とともに新品では手に入りにくい。

第2回電撃小説大賞 大賞:ブラックロッド/古橋秀之

category: は行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 70点 古橋秀之

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