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このライトノベルがすごい!(2013年版) 3位:六花の勇者/山形石雄

六花の勇者
1.死地の森
2.出立と二つの出会い
3.六花集結
4.罠と潰走
5.反攻
6.解明の時
7.次なる謎

answer.――― 77 点

SD文庫のエースと云うと、醜悪祭を催し何処かへ葬られた早熟の天才・片山憲太郎を除けば、近年の『ベン・トー』の露出から考えてアサウラなのだろうが、忘れてはならないSD文庫の実力派こそ山形石雄その人である。第4回スーパーダッシュ小説新人賞の大賞作であり、氏のデビュー作となった『戦う司書』は全10巻とシリーズらしいシリーズとなったが、質の割に目立ったセールスを伴わなかったのは編集部の単純なプロデュース不足か、あるいは、ライトノベルに逆巻くファンタジー作品への逆風を受けた故なのか。そんなこんなで、氏が次に手掛けてきたのが懲りずに再びファンタジーだったあたりは、―――流石である。さて、その意欲作のあらすじは「魔王を封じるために伝説通り各地より集う6人の勇者たち。しかし、そこに全員集まってみれば何故か、……7人いた」というもの。勇者たちが偽者である「7人目」を疑心暗鬼となりながら探すミステリーは、まさしく混沌の様相。勇者vs勇者というデカダンな戦闘は、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』におけるガンダムvsガンダムを思わせる火「華」散る「狂」演で、盛り上がらない筈がない。「1」巻でピークを迎えるべくして練られた設定はアンフェアなほどに秀逸で、勇者たちの性格をあらかじめ難有りにすることでミスリードさせる手法もまた、変態的である。そして、全力疾走後に待つ“衝撃”のエンディングには、本当に「ブッ飛ばされた」。構成の奇才、ここに極まれり。あらすじに惹かれた方は、まず買って損は無いだろう。色々な意味で、続刊出来るのも頷ける快作。

このライトノベルがすごい!(2013年版) 3位:六花の勇者/山形石雄

category: や行の作家

tag: このライトノベルがすごい! OPEN 70点 山形石雄

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第4回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:戦う司書と恋する爆弾/山形石雄

戦う司書と恋する爆弾
1.爆弾と『本』と灰色の町
2.爆弾と姫様とさまざまな人
3.爆弾と人間と風の進路
4.爆弾と司書と常笑いの魔女
5.抜け殻と敵と死の神の病
6.嵐と魔刀と三毛ボン
etc...

answer.――― 73 点

読了してみての第一の感想は、面白い構成だったな、と。表題及び表紙にあるように、本作の主役は「戦う司書」と「恋する爆弾」、この二人の登場人物。しかし、後に『戦う司書』シリーズと銘打たれるように、主役はあくまで「戦う司書」であり、「恋する爆弾」は本作のためのゲストキャラクター―――のはずなのだが、彼の立ち位置は通常の作品ならエトセトラにさえ数えられる一般兵Cといった役柄。実際、台詞らしい台詞は洗脳単語「ハミュッツ=メセタを殺せ」の連呼しかまともに許されていない。しかし、そんなスペックにも関わらず、<視点>を任され、淡々と頁を消化していく。その頁数は驚くなかれ、およそ80頁!そうして、ようやく登場する主人公らしい主人公「戦う司書」に読者は人心地を得るのだが、じゃあ、その辺で死体にでもなって転がっていそうな一般兵Cは何のためにいたのか?というと、「……どっちでも、いいか」とつぶやかされるほどに「戦う司書」を結局、脇役に押しやるため。本作は誰の物語かと訊かれれば、やはり、「恋する爆弾」の物語なのだ。ここが非常に面白い。とっ散らかった印象が強く残る本作だが、ラストシーンを思い返してみると、夕日を背景に不思議なまでにそのとっ散らかりが綺麗にまとめられてしまう。実験的というと大袈裟だが、変則的構成なのは間違いない。どうしてか腑に落ちる。ここが本作の最大の謎であり、一番の魅力でした。ライトノベルな<奇書>を読みたい方にオススメです。

第4回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:戦う司書と恋する爆弾/山形石雄

category: や行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞大賞 OPEN 70点 山形石雄

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