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第2回ラノベ好き書店員大賞 1位:マグダラで眠れ/支倉凍砂

マグダラで眠れ (204x290)
(あらすじ)
錬金術師クースラは、昔なじみの錬金術師ウェランドと共に戦争の前線の町グルベッティの工房に送られることになる。グルベッティの町で、クースラたちは前任の錬金術師が謎の死を遂げたことを知る。そして辿り着いた工房では、白い修道女フェネシスが二人を待ち受けていた。

answer.――― 67 点
作家という生き物は本来的に傲慢であり、ある程度のセールスを伴うキャリアを積むと、―――己は何でも書ける!と万能ぶる。とは、森見登美彦の意欲作『ペンギンハイウェイ』のレヴューでの一文だが、その一文をそっくりそのまま貼りつけたくなる本作は、電撃文庫の00年代のドル箱『狼と香辛料』の著者・支倉凍砂が手掛けた下卑た野心丸出しの新シリーズ。そのストーリーラインは、社会不適合な錬金術師が己の夢を追う、というもの。主人公の倫理外れる思考/行動の抑制として、敬虔な修道女をヒロインに配しているのが今後のファンタジーを招く主だった仕掛け。前作で《経済》を題材にライトノベルに新風を吹かせた著者だが、本作では《錬金術》という一種の魔法に時に化学な裏付けをしつつ、中世当時の常識を披露するなど、変わらずライトノベルらしからぬ作風を貫いている。が、「……で、これ、誰に読ませたいの?」と首を傾げたくなるのが、正味な感想。性悪な錬金術師が修道少女を小馬鹿にし、心内では冷笑気味に世間&世界を説き、危機が起これば淡々と処理していく。そもそも、ほぼ何も起こらないまま(物語が見えないまま)、中盤へと進んでいくのは眉をひそめたくなる構成難。《錬金術》に対して頁の消費量が明らかに多過ぎる。しかし、だからこそダイレクトに伝わるのが「俺を見ろ!」という著者の自己主張だろう。「いいか、錬金術ってのはなー!」という御高説である。著者は見誤っている。『狼と香辛料』が多くの支持を集めたのは、《ホロが可愛かった》ことに尽きる。それが大前提にあってこそ、《経済》を題材にした物珍しさがクローズアップされたのであって、その逆ではない。本作のどこにそんな大前提を見い出せばいいのか。修道女に耳生やすなら出会ってすぐに生やせや!『狼と香辛料』が何で売れたのか、著者本人も実は解かっていなかった事実を露呈してしまった一作。人は成功すると化けの皮が剥がれる、……全ては慢心からだ。何でも書けるなんて幻想なのである。書けてしまう場合は、そこまで売れるものは作れない。

第2回ラノベ好き書店員大賞 1位:マグダラで眠れ/支倉凍砂

category: は行の作家

tag: OPEN 60点 支倉凍砂 ラノベ好き書店員大賞

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第12回電撃小説大賞 銀賞:狼と香辛料/支倉凍砂

狼と香辛料
(あらすじ)
行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることを了承した。そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが……。

answer.――― 75 点

ライトノベルを読む人なら男女問わず、これは面白い、と薦められる逸品。昨今、敬遠されがちなファンタジーにあって「戦闘」ではなく、「商い」にスポットを当てている辺りからして異色の作品だ。物語は行商人ロレンスがホロと名乗る半獣半人(神)の姿をした少女と出会い、そうして、旅をするうちに舞い込んできた「銀貨が上がる」という思い掛けない儲け話からの一騒動を描く。本作の肝である「銀貨の高騰」のトリックは読者への仕掛け方から解説の入り方まで丁寧な作りで、ライトノベルにありがちな隙(=欠陥)が無いのが嬉しい。そんな本作、二重丸印の良作なのだが、選考の結果として大賞でもなく、金賞でもなく、銀賞受賞というのはオチの弱さにある。もう一山!と期待しているところで、早々に下される作者の下山命令。ファンタジーに付きもののバトルがありきたりなのが勿体無かった。それでも電撃文庫、というよりライトノベルとしては新風とも云える商いファンタジー。銀賞の枠を飛び超えて、当然の人気シリーズとなる。ドラクエ4のトルネコ編、それを楽しめた人はきっといつまでもホロを信じられる大人になるでしょう。狼と香辛料、このタイトルもまた、本を閉じたときには心地良く響く。ホロとの旅は続くのです。

第12回電撃小説大賞 銀賞:狼と香辛料/支倉凍砂

category: は行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 70点 支倉凍砂

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