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第1回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:後宮小説/酒見賢一

後宮小説
1.崩御
2.宮女狩り
3.入宮
4.双槐樹
5.仮宮
6.女大学
7.後宮哲学
etc...

answer.――― 85 点

後宮が子宮、垂戸が膣、宮女候補生の失格が排卵―――知る人ぞ知る異色ファンタジーの錬金術師・酒見賢一。本作は彼の代表作のひとつであり、現在までのところ、一定の「質」を保証してくれている日本ファンタジーノベル大賞の栄えある第一回の大賞作だ。物語はタイトルの通り、架空の国・素乾国はその後宮(=后妃住まう女の園)での生活を描いたもの。レヴュー冒頭の一文のように、物語には「性」が明け透けに関わっている。酒見賢一が何故に異色なのかと訊かれれば、ひとつのアイディアを徹底的に掘り拡げる点にあると答えられる。本作の場合ならば、「性」を楽しむための「性教育」がキーワード。「三食昼寝付き」の噂で宮女に応募した村娘・銀河に説かれる後宮哲学は、インテリジェンスに満ちた下ネタだが、そのまま人生訓として受け入れられるほどに洗練されている。性と関わる比喩表現はもはや匠の技。安易なハッピーエンド/バッドエンドに結ばないのも、人の心に残るようにするため。ケチのつけにくい、大人から子どもまで満足させられるファンタジーノベルだ。ただ、酒見賢一の作風は《いぶし銀》的で派手さに欠け、たとえば生粋のライトノベラーには地味過ぎるかもしれない。

第1回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:後宮小説/酒見賢一

category: さ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞大賞 OPEN 80点 酒見賢一

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