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第2回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:決闘ワルツ/秋月煌

決闘ワルツ
(あらすじ)
華やかなりし鹿鳴館の頃。麗しき令嬢を巡り―――青年男爵とイギリス商人が恋の鞘当て、「日本刀VSピストル」で血の果たし合い!選考会騒然、紅葉・鏡花風の美文調に目も眩む鬼才の超問題作。

answer.――― 60 点

詳しくは省くが、絶対に「売れる」文章、というものがある。本作はそれに意図的に手を掛け、そして、知らず知らずのうちにそれを綴る著者自身が魅入られ、やがては溺れてしまった典型的作品。化学式と同じように、一定の設定と舞台を与えれば、どんな人でも「それ」らしい文章を書くことが出来る。ただ、ほぼ間違いなく溺れるし、―――「誤る」。この「誤る」とは著者にとっての<正解>でも、読み手各々にとっては<不正解>と見定められることを指す。絶対に「売れる」文章、そこに<正解>は実のところ求められておらず、合っているような、合っていないような……そんな『中庸』の答えこそが求められている。結局、それを導き出すのはセンスで、著者には少なくとも本作においてそれが足りなかった。本作は、かの鹿鳴館を舞台の中心に、一人のヒロインを巡って明治貴族と英国紳士、二人の親友が刀とピストルで決闘する物語。刀とピストルという互いの武器の長短を論い、「平等」を説くのがユーモアという体。それを分かった上で読むべきは、冒頭の数頁と巻末の選考委員たちの反応のみで十分だろう。選考委員たちは本作の文章を一方は錦絵と称えたり、一方は駄文と貶したり、と反応は見事に相反する。しかし、トリで“キング・オブ・DV”井上ひさし御大が、特異な文、として結局、本作の受賞への消極的な一票を投じた。つまりは、そういうことなのだ。本作は、絶対に「売れる」文章、その一端が披露され、しかし、それだけで終わってしまった情けない受賞作。スッカスカの内容です。ちなみに絶対に「売れる」文章、その中庸の答えを出し続けた稀有な作品として『家守綺譚』を挙げておきます。

第2回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:決闘ワルツ/秋月煌

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 秋月煌 小説新潮長編小説新人賞

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