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第3回ラノベ好き書店員大賞 5位:氷の国のアマリリス/松山剛

氷の国のアマリリス
(あらすじ)
氷河期が訪れ、全ては氷の下に閉ざされた世界。人類は『白雪姫』という冷凍睡眠施設で眠り続け、そして、それを守るロボットたちが小さな村を形成し、細々と地下での生活を続けていた。副村長の少女ロボット・アマリリスは崩落事故による『白雪姫』の損傷や、年々パーツが劣化する村人たちのケアに心を砕く日々を送っていた。全ては―再び“人間”と共に歩む未来のために。

answer.――― 74 点
氷河期が訪れ、人類すべてがコールドスリープ!その終わりを待つ世界で動くは、再びご主人様へ仕えることを願うロボットたちのみ!という、いわゆる《終末》もの。物珍しいのは、ロボットたちすら長年のマイナス環境下で劣化、そして、人類の生命維持装置のために己のパーツを提供&欠損し、「終わり」を迎えていく酷薄な状況に追い込まれていること。その上で、眠る人類たちの素性を知り、……と、本作はこのライトノベルがすごい!(2012年版)にランクインして話題を呼んだデビュー作『雨の日のアイリス』と同様、ロボットを通して性悪説を主張するような展開は実に堂に入ったもので、著者の「面白い」、その方程式にも映る。確立した構成は《遊び》を入れる余裕も生まれ、たとえば本作の序盤を任されるギャーピー&デイジーの悔恨のエピソードは、本編それ自体よりも個人的に魅せられた。頁をめくるほどに切迫していく状況も説得力あり、中弛みも少ない良質な一作だ。しかし、……どうにも推したくないのは何故なのか?と我ながら不思議に思ったが、読み返してみると、下ネタの下品さにある模様。ロボットにヴァギナが装着されているのは構わんが、これ、この作品で披露する必要ある設定か?メルヘンな世界観でヒロインにブチ込みたいと常に主張し続けるアイスバーンはギャップを狙っているのかもしれないが、AV男優じゃないんだから台詞にはもっと機微が欲しい。もしかすると著者は下ネタが得意だと思い込んでいるのかもしれないが、これは独り善がりだ。下ネタ投下するなら、しっかり「笑い」(読み手自身によるツッコミ)を起こしてください。

第3回ラノベ好き書店員大賞 5位:氷の国のアマリリス/松山剛

category: ま行の作家

tag: OPEN 70点 松山剛 ラノベ好き書店員大賞

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このライトノベルがすごい!(2012年版) 10位:雨の日のアイリス/松山剛

雨の日のアイリス
1.解体
2.転生
3.決行
4.手紙

answer.――― 69 点

ここにロボットの残骸がある。彼女の名は、アイリス……ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。第17回電撃小説大賞4次選考作―――つまりは選考落選作ながらに、「このライトノベルがすごい!2012」の第10位に見事ランクインを果たした2011年の電撃文庫のダーク・ホース。落選作品でも受賞作よりセールス面で優れた結果を残した作品は『キノの旅』『とある魔術の禁書目録』などあまりにあまりな代表的事例が存在するが、しかしそれらが何故に落選したかと云えば、相応の理由があるのも事実だ。前者は短編連作という当時のライトノベルとしては商業的成功例が無かった作風ゆえ。後者は改訂前がどれ程かによるが、1巻冒頭が明らかに後で貼りつけただろう跡から察するに、巷で語られる文章の破綻云々ではなく構成上の難だろう。落選にも必ず理由があるのである。本作もまた、選考落ち―――ということは、やはり原因がある。それは何か?ズバリ、本作が「面白くないから」に他ならない。本作の読了者に「どこの場面が面白かった?」と訊いてみると良いだろう。「どんな会話が面白かった?」でも良い。おそらく挙げることは出来ない筈だ。彼らが覚えていることは、―――挿し絵。それしか無い。本作がこれ程までに支持されるのは挿し絵、イラストゆえの大勝利だった。選考時点では当然イラストが無かった故に、本作は落選したのだ。イラストが付いていれば<大賞>、ないし<金賞>だっただろう。かつてこれ程までに完璧なタイミングで、且つ、完璧なイラストが挟まれたライトノベルがあっただろうか?著者でもイラストレーターでもなく、編集者にこそ私は称賛を送りたい。「このライトノベルがすごい!2012」の第10位、これこそ編集者が出した<結果>である。著者は本作の大好評を自分の実力と勘違いせず、担当編集者の助言&提案を奴隷の如く聞き続けなさい。それがキミのためだ。編集者礼讃の記事になっているが、上述の<面白くない>をオブラートに包めば、本作は<感動>系のライトノベル。だからといって、「面白い必要が無い」というのは違うだろう。少なくとも衝撃の第2章『転生』演出の下準備とはいえ、第1章は無駄につまらなかった。なんて書きつつ、挿されるイラスト、イラストで涙腺を挑発され続けた作品でした。

このライトノベルがすごい!(2012年版) 10位:雨の日のアイリス/松山剛

category: ま行の作家

tag: このライトノベルがすごい! OPEN 60点 松山剛 ラノベ好き書店員大賞

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