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第20回山本周五郎賞 受賞作:夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

夜は短し
1.夜は短し歩けよ乙女
2.深海魚たち
3.御都合主義者はかく語りき
4.魔風邪恋風邪

answer.――― 83 点

森見文学なる文学を自ら築いたと全国紙で本気で豪語した森見登美彦。本作でも森見節を丁々発止、開く頁、開く頁、満遍なく踊らせている。四章仕立ての作品だが、個人的なハイライトは三章「御都合主義者はかく語りき」。これは素晴らしい出来栄えだった。見事なまでに御都合主義なのだが、見事なまでに構成し尽くしている。非常に挑戦的で面白い。主人公とヒロインの視点が交互に入れ替わって物語が進むが、一章は正直読みにくいだけで面白みも無く、完全に完封負けな展開だったものの、二章の古本市で追いついて、三章で注文通りの逆転ホームランを打ってくれた。ヒロインが狙い通りの出来。途中、そのキャラクターがブレ気味だったが、緋鯉(@三章参照)に負けた。負けてやった。

第20回山本周五郎賞 受賞作:夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

category: ま行の作家

tag: OPEN 80点 森見登美彦 本屋大賞 山本周五郎賞

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第8回本屋大賞 3位:ペンギン・ハイウェイ/森見登美彦

ペンギンハイウェイ
1.海辺のカフェ
2.観測ステーション
3.森の奥
4.ペンギン・ハイウェイ

answer.――― 71 点

作家という生き物は本来的に傲慢であり、ある程度のセールスを伴うキャリアを積むと、―――己は何でも書ける!と万能ぶる。昨今、高校生が「おともだちパンチ」を始めとするその型に憧れて門を叩いているという新興文学・森見文学。その開祖である森見登美彦は京大出身を全面にアピールすべく奈良県出身であることをひた隠し、「京都」を総ての作品の舞台に採用していることはつと有名だが、本作では、―――己は何でも書ける!とばかりに自慢の京都ブランドを手放して児童文学へと進出、そして、あえなく失敗した。……馬鹿である。本人からすると<泣いて馬謖を斬る>といったところなのだろうが、<泣いてうっかり姜維を斬った>のが現実的結果だ。失敗の起因は表現力の抑制、自己分析の失敗の二つにある。京都以外の舞台を扱ったのは、さして問題では無い……が、京都で森見登美彦の十八番「ええじゃないか」するのは洒落てるが、例えば石川県あたりで「ええじゃないか」したら単なるカッペが騒いでるだけに思えてしまう可能性があるのは否めない。そういう意味で、京都が舞台というのはやはりブランドだ。話が逸れたが、本作は主人公を小学生にした児童文学の体。だが、視点を小学生としたことで表現力を抑制したのは大失敗だった。本作によって見事に森見登美彦の鍍金が剥げた……そう、鍍金である。森見登美彦、実のところ、彼は「面白くない」のである。彼は文章や台詞回しで面白くしているだけで、ストーリーそれ自体はどの作品も決して面白くない。鍍金とは文章力であり、彼が泣いてうっかり斬ったのは馬謖(=京都&大学生)ではなく、姜維(=文章力)だったのだ。二つ目に挙げた自己分析の失敗とは、この、自分(の作品)が根本的に「面白い」と勘違いしているところだ。つまらないと気づいていれば、虎の子である文章力を手放すなんて愚行は絶対に出来ない。本作では、「おっぱい」が連呼される。その単語が出てくる度、それで読者に「凄い」面白いと思わせられると思っている森見登美彦に、ずっと失笑していました。作家として二流の証左とも云える一作。原点に戻れ、お前は所詮、「ええじゃないか」しか出来ねえ作家だ。

第8回本屋大賞 3位:ペンギン・ハイウェイ/森見登美彦

category: ま行の作家

tag: OPEN 70点 森見登美彦 本屋大賞

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第5回本屋大賞 3位:有頂天家族/森見登美彦

有頂天家族
1.納涼床の女神
2.母と雷神様
3.大文字納涼船合戦
4.金曜倶楽部
5.父の発つ日
6.夷川早雲の暗躍
7.有頂天家族

answer.――― 83 点

京都を舞台に様ざまな“ええじゃないか”騒動を起こし、読者を新規開拓していく森見登美彦。本作においても、天狗に狸、そして、人間という何とも間の抜けたトライアングルを形成&採用し、化かして、吹かして、しんみり、ホロリ……そぉーれ、ええじゃないか!ええじゃないか!とやはり、やっぱりの尻上がりの大騒動を起こす。愛すべきは下鴨4兄弟、憎むべきは夷川早雲―――!といった口三味線、ベンベン!な人情馬鹿騒ぎの主役は、狸は下鴨家三男。面白く生きることを信条とし、ひたすら頑張らずに世間を渡る。初恋の相手は森見文学に付きもののマドンナ、人間は弁天。ある日、天狗にさらわれ、その天狗の地位から財宝、心まですべて奪った豪胆な女。もっとも、マドンナと云っても、著者の出世作『夜は短し歩けよ乙女』における緋鯉を背負うス―パーヒロイン・黒髪の乙女と比すれば、その存在感は譲るところ。あくまで主役は下鴨家の狸たちの人情劇であり、彼女はトリックスター的立ち位置に過ぎない。また、その魅力がイマイチなのは、さらった天狗・赤玉先生のせいもあるだろう。この赤玉先生もまた、森見文学に付きものの駄目男ながら、これがげにつまらない。冒頭、三男と天狗の寂びたやり取りが続くが、お陰さまで森見登美彦、初の失敗作!と早々に本作を認定したくなった。本当、最初から最後までつまらない天狗だった。本作は各キャラクターに張った伏線が堂に入っているのも特徴。森見登美彦というと、自慢の筆力で「ええじゃないか!」する1パターン作家の印象があったが、キャラクターの特性を活かしてきたあたりは作家としての引出しを増やしてきた感じだ。狸が主人公ということでファンタジー色が強く、冒頭の寂ビ寂ビで忌避反応を示したくなるのも十分理解出来るが、それを乗り越えられれば、伏線活かした“ええじゃないか”騒動に快哉を上げたくもなる。―――化けよ蛙、挿せよ末っ子!有頂天家族よ、永遠に!

第5回本屋大賞 3位:有頂天家族/森見登美彦

category: ま行の作家

tag: OPEN 80点 森見登美彦

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第15回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:太陽の塔/森見登美彦

太陽の塔
(あらすじ)
京大5回生の森本は「研究」と称して自分を振った女の子の後を日々つけ回していた。男臭い妄想の世界にどっぷりとつかった彼は、カップルを憎悪する女っ気のない友人たちとクリスマス打倒を目指しておかしな計画を立てるのだが…。

answer.――― 75 点

森見登美彦のデビュー作。京都を舞台に「ええじゃないか」騒動を起こすストーリー。ストーカー臭漂わす主人公が作者自身を投影しているように思えて、何とも言えないまま終盤まで読み進めてしまったが、ラストの「ええじゃないか」の展開は素直に感心した。大衆小説と文学のボーダーラインを行き来しながら作品を出し続け、ついに自ら「森見文学」と謳った著者の実力は、ぃよう~!と打ち囃子が聴こえてきそうなバブリーな文体に支えられている。そして、それはこのデビュー作から発揮されているのが分かる。氏の作品は多くが<京都>を舞台にしているのも特色。そこそこに楽しめる内容だが、彼の人気を支えているのは女性読者ということに注意して購入してください。

第15回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:太陽の塔/森見登美彦

category: ま行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞大賞 70点 OPEN 森見登美彦

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