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第6回スニーカー大賞 金賞:戦略拠点32098 楽園/長谷敏司

戦略拠点32098 楽園
Ⅰ.楽園
Ⅱ.合金


answer.――― 71 点
先ごろ、『My Humanity』で第35回日本SF大賞を受賞した長谷敏司のデビュー作。その概要は、一千年にも及ぶ星間戦争のなか、とある惑星は戦火を何故か免れ、少女と一人のロボットが暮らしていたが、一人の兵士が調査に現れて―――というもの。本作がこのスニーカー大賞《金賞》を受賞した故に長谷敏司はライトノベル作家と認知されているわけだが、以降の作品でノミネートを重ね、そして、ついに日本SF大賞なんて肩書きを手にした事実が示すように、SF作家とカテゴライズしても語弊の生じない《世界観を提示出来る》(作中世界を作品のエンターテイメントの核に出来る)作家性があり、それはデビュー作でもある本作にもしっかりと刻まれている。1章「楽園」における牧歌的な描写につきまとう《違和感》はその証左に挙げられるだろう。もっとも、「命令に従うのは、兵士として正しい。だが、結局、機械と同じ答えを出すなら、回答をためらわせる感情は、『誤差』ではないか?」とは少女に付き従うロボットの台詞だが、ここに象徴されるように、戦火を免れる惑星の事情を除けば、「戦争」「ロボット」「感情」……という要素から察せられるストーリーがオーソドックスに展開。そうして、HappyともBadともつかない、Bitterな着地に手堅さを感じつつ……と不満を匂わせたものの、ライトノベルはTeenが読むものなので「動」的イベントの少なさに難こそあれ、“ここではない、どこか……”な終末を感じさせるに必要十分。埋もれているならば、掘り起こしても損のない良作です。

第6回スニーカー大賞 金賞:戦略拠点32098 楽園/長谷敏司

category: は行の作家

tag: スニーカー大賞優秀賞 OPEN 70点 長谷敏司

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このライトノベルがすごい!(2012年版) 4位:円環少女 1. バベル再臨/長谷敏司

円環少女
1.――Intro――
2.ここは地獄にあらず
3.素晴らしき日々
4.奇跡、遙か
5.魔法みたい
6.――Outro――

answer.――― 70 点

吉田直の『トリニティ・ブラッド』、浅井ラボの『されど罪人は竜と踊る』に代表されるように、スニーカー文庫は伝統的に読者の選民思想を煽るような<頁を漢字で敷き詰める>ファンタジーが一翼を担う。本作はその栄えある系譜に連なる一作で、『このライトノベルがすごい! 2012』において第4位にランクインしたように、スニーカー文庫の金看板『涼宮ハルヒ』シリーズとスクラムを組める人気を持つ00年代の名シリーズ。ファンタジーと云うと、剣と魔法が付きものだが、ビル群そびえる現代が舞台の本作においても縦横無尽に、敵に仲間、大地に空間を切り裂いている。破壊活動にカタルシスを覚える諸氏には「持って来いっ!(次の巻を)」の内容だろう。難点は語彙豊富ながら途中、明らかに自慰倒錯―――漢字を使いたいあまり、著者自身、何を書いているのか見失っていること。これでは一部界隈で「下手!」と断罪されても仕方ない。もっとも、本作の人気を支えているのは文章ではなく、キャラクター造形(&魔法体系)にある。特に小学生のヒロインは真性のサド性癖を持たせるという、この著者ならではのハイアレンジ。王道らしいストーリーながらオリジナリティを垣間見せる。文章に難は点けたものの、構成自体は無難にまとめられているため、作家としては決して<下手>ではない。多少ゴチャゴチャと雑音混じってはいても、バトルをちゃんとバトルとして描けているのは素直に称賛出来るのではないだろうか。アニメ化の噂は流れたまま、結局、行方不明になってしまったが、なかなか魅せてくれるファンタジー作品。全13巻完結。

このライトノベルがすごい!(2012年版) 4位:円環少女 1. バベル再臨/長谷敏司

category: は行の作家

tag: このライトノベルがすごい! OPEN 70点 長谷敏司

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