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集英社文庫:毒笑小説/東野圭吾

毒笑
1.誘拐天国
2.エンジェル
3.手作りマダム
4.マニュアル警察
5.ホームアローンじいさん
6.花婿人形
7.女流作家
8.殺意取扱説明書
 etc...

answer.――― 63 点

さすが東野圭吾~。と心の内でつぶやいてしまった短編作品集。ポイントは、この語尾を伸ばした「~。」の部分。本作、さすが東野圭吾!とアテンションマークを点ける程の面白さはない。「エンジェル」「ホームアローンじいさん」「殺意取扱説明書」「つぐない」、この辺りは素直に楽しめた……が、全体的に痒いところに手が微妙に届かないのはオチに意外性が無いからか。出だしの期待感が勿体無い。しかしエンターテイメントの面では、晩年の《ショートショートの広場》よりは上。冒頭の「さすが東野圭吾~。」の「さすが」はそれと比較して出てきたワケです。付け加えるなら「エンジェル」のグロテスクは社会性もあり、興味深い出来映え。

集英社文庫:毒笑小説/東野圭吾  (1996)

category: は行の作家

tag: OPEN 60点 東野圭吾

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第7回本屋大賞 9位:新参者/東野圭吾

新参者
1.煎餅屋の娘
2.料亭の小僧
3.瀬戸物屋の嫁
4.時計屋の犬
5.洋菓子屋の店員
6.翻訳家の友
7.清掃屋の社長
8.民芸品の客
9.日本橋の刑事

answer.――― 81 点
東野圭吾のデビュー第二作『卒業』から主役に、時には脇役として作品を渡り歩く便利で頼れる加賀恭一郎。本作は「加賀恭一郎」シリーズとしては8作目、加賀が “新参者”として日本橋人形町を歩き回る連作短編。物語の本線としては<マンションで絞殺された40代の独身女性>に関わる事件なわけだが、視点を任されるのは各短編の登場人物で、加賀は名前の印象も残らない脇役のようにふらりと調査にやってくる形式。そのため、事件は常に余談のように扱われ、各章に仕込まれたハートフルな人情劇がメインとなる。そうして、短編の幕〆めに「ついで」のように読み手はおろか、当の加賀も「……?」と首を傾げるヒントを回収していくのだが、……それだけに各ヒントが絡まって本線の《事件》の解決にあれよあれよと繋がる終盤は読み応え十分。何より、解決するその時にも「人情劇」を展開してくるのはコンセプト主義な東野圭吾らしい「仕事」っぷりと云えるだろう。作品のハイライトはそれこそ物語の着地、東野圭吾のその手腕になってしまうが、嫁と姑の対立を描いた3章「瀬戸物屋の嫁」は感情のぶつかり合いとその機微もあって一番推したい。事件それ自体に派手さを用意しなくても楽しめることを証明する一冊。東野圭吾は「巧い」。

第7回本屋大賞 9位:新参者/東野圭吾

category: は行の作家

tag: OPEN 80点 東野圭吾

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第6回本屋大賞 9位:流星の絆/東野圭吾

流星の絆
(あらすじ)
何者かに両親を惨殺された三兄妹は流れ星に仇討ちを誓う。14年後、互いのことだけを信じ、世間を敵視しながら生きる彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。三人で完璧に仕掛けはずの復讐計画。その最大の誤算は、妹の恋心だった。涙があふれる衝撃の真相。著者会心の新たな代表作。

answer.――― 78 点
第44回《書店新風賞》受賞作。と書いても、そもそも《書店新風賞》がどんな賞なのか解らない方が多いと思うが、昨年度である第49回は『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて 慶応大学に現役合格した話』、その前の第48回は『人生はワンチャンス!』と受賞作を遡ればお察しの、これ、売れてたde賞!の類で、隙あらば、もう一度、売りma賞!といった趣旨の販促賞だ。そんな余談はさて置き、本作は三兄妹によるコンゲームを主体にした因縁あり、ミステリあり、仇に惚れた腫れたありのエンターテイメント作品。東野圭吾というと、表現に凝らず、リーダビリティの高い文章の印象が強いが、本作もそのイメージ通りの文章で、冒頭に両親の惨殺、そこから一気に時を飛ばしての三兄妹の若手詐欺師としての活躍を綴り、真っ直ぐに、それでいて、ダーティな生活を送る主人公たちの現状を提示。間もなく、両親の惨殺の手掛かりがとあるカレーライスから……という小技の効いた本線への導入は実にテンポの良いストレスレスな展開で、ちょっとした職人芸に映る。直木賞受賞からの諸々の「ここが売り時……!」なタイミングもあり、08年3月に単行本を出版してから同年10月には連続ドラマ化されているように、登場人物たちの因縁直結の解かり易い悲喜交交が「一般受けを狙い過ぎ!」と無駄にあげつらわれているが、これは有名税だろう。東野圭吾は元からこんなもんだ。高尚な「何か」を求めなければ、暇つぶしには十分な作品。ただ、「二度」読もうと思う人はなかなかいないだろうことは否定しない。

第6回本屋大賞 9位:流星の絆/東野圭吾

category: は行の作家

tag: OPEN 70点 東野圭吾

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第3回本屋大賞 4位:容疑者Xの献身/東野圭吾

容疑者Xの献身
(あらすじ)
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。

answer.――― 85 点

何度となく直木賞にノミネートされながら逃し続けた東野圭吾、待望の直木賞受賞作。無名/新人作家を奨励するために創設された直木三十五賞は今や中堅→BIGネームのための賞へと最終形態(形骸)化しつつあるが、その意味でも、東野圭吾の受賞はまさに相応しいと思う。人気『探偵ガリレオ』シリーズ初の長編ということもあり、簡素な文体から長編<らしい>敷き詰めた文体にシフトチェンジしているが、そこは東野圭吾。読みやすさは変わらない。また、東野圭吾は時とともに作風を変えることでも知られるが、それは『探偵ガリレオ』シリーズと云えども例外ではない。シリーズ当初は著者の理系の知識を生かした珍しいスタイルの推理小説だったが、本作では定石通りの論理的推理を基にした推理小説となっている。本作をより楽しむにはやはり、シリーズの始まりである『探偵ガリレオ』を読んだほうが良いだろう。主人公である湯川学がどんな人物なのかを知った上で、その湯川学から真摯なまでのリスペクトを払われる本作の犯人「石神哲哉」と対峙したい。推理そのものよりも、石神先生の<決意>とその意志の揺れ動きを楽しむ作品。非常に楽しめました。

第3回本屋大賞 4位:容疑者Xの献身/東野圭吾

category: は行の作家

tag: OPEN 80点 東野圭吾

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文春文庫:探偵ガリレオ /東野圭吾

探偵ガリレオ
1.燃える もえる
2.転写る うつる
3.壊死る くさる
4.爆ぜる はぜる
5.離脱る ぬける

answer.――― 84 点

<科学技術を使用したトリック>という、ミステリー小説の暗黙のルールを破っていることで知られる本作「探偵ガリレオ」が、今や老若男女が認める二枚目アイコン・福山雅治の輝かしいキャリアの一部となっているのは皆さんもご存知の通り。著者の理系知識を生かして用意された事件は、人体発火、幽体離脱、ポルターガイスト現象などが関わるまさしく怪事件ばかりで、その解決方法を含めて出版から10年以上経った今でも新鮮に映る。……面白い!とその内容に唸ること請け合いの出来だが、本作はまた、「人」を排したエンターテイメントとでも呼びたくなる非常に簡略化された文章で綴られている。そのため、読後は見事なまでに何も残らず、「面白かった」事実だけが記憶される。この辺りから考えても、本作はやはり東野圭吾の実験作なのだと思う。実験して売れるんだから凄いな、と。

文春文庫:探偵ガリレオ /東野圭吾  (1998)

category: は行の作家

tag: OPEN 80点 東野圭吾

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