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第16回電撃小説大賞 金賞:ヴァンダル画廊街の奇跡/美奈川護

ヴァンダル
1.序章  俵屋宗達『風神雷神図』/京都国立博物館
2.第一章 グスタフ・クリムト『接吻』/オーストリア絵画館
3.第二章 フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』/フィラデルフィア美術館
4.第三章 ウジェーヌ・ドラクロア『民衆を導く自由の女神』/ルーヴル美術館
5.第四章 パブロ・ピカソ『ゲルニカ』/ソフィア王妃芸術センター
6.第五章 レナード・ウィンズベル『ノートルダムの凱旋』/所蔵不明
7.終章 作者不詳『恵奈』/個人展
8.断章 ヨハネス・フェメール『真珠の耳飾りの少女』/マウリッツハイツ美術館

answer.――― 58 点

―――芸術に、その自由を!決め台詞のように放たれるこの一文が作品の四隅が狭いことを象徴するメッセージとなっていることは、読了した方ならばご承知の通り。<自由>をテーマに掲げながら、実に窮屈な本作。あらすじとしては、あらゆるプロパガンダが禁止された世界で、アート・テロリスト「ヴァンダル」が旧世代のプロパガンダとして扱われる絵画を解放するというもの。芸術を題材に選ぶ場合、注意しなければならないのは<お喋り>にならないことだと思う。知識を披露することは良い。例えば、ダ・ヴィンチは膨大な素描、スケッチを残しながら、完成品を作れない<アマチュア>的画家だった……など、否定的な面を披露するような展開があったとすれば、さして芸術に興味のない読み手には新鮮に響くと思う。ただ、ファンタジーな世界に現実の作品、その知識を織り交ぜるとどうなるか?窮屈、とそれを表現させてもらう。本作は語彙豊富な作家が陥りがちな、書き過ぎな作品。それでいて題材に作者のセンスが追いつかなかった印象が強い。余白の多い文章で本作が書かれれば、また印象が変わると思う。一時期、ジョークのように持て囃された『しにがみのバラッド。』は稚拙な文章ながら、芸術(or芸術家)のソレっぽさを表現出来ていた。書けば良い、というものではないのだ。また、ヒロイン・エナの常にイーゼルを背負うデザインはアクセントとしては良いかもしれないが、日常風景の上ではどうなんだろうね?選考委員も指摘する‘追い手’ゲティスバーグ側からのストーリーが読みたかったな、と。

第16回電撃小説大賞 金賞:ヴァンダル画廊街の奇跡/美奈川護

category: ま行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 50点 美奈川護

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