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第16回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:空の彼方/菱田愛日

空の彼方
(あらすじ)
王都レーギスの中心部からはずれた路地に、隠れるようにある防具屋[シャイニーテラス]。陽の光が差し込まない店内に佇むのは女主人ソラ。彼女の店には、訪れる客と必ずある約束をかわすルールがある。 それは生きて帰り、旅の出来事を彼女に語るというもの。店から出ることのできないソラは、旅人の帰りを待つことで彼らと共に世界を旅し、戻らぬ幼なじみを捜していた。ある日、一風変わった傭兵アルが店を訪れる。彼との出会いが、止まっていたソラの時間を動かすことになり――。

answer.――― 65 点

ずっと面白い小説を読み続けたい大人たちへ―――をキャッチコピーにしている、メディアワークス文庫(以下、MW文庫)。その役割はライトノベルを卒業した読者の再獲得、一般文芸の読者の取り込み、という野心的なモノ。第16回では『〔映〕アムリタ』『蒼空時雨』、そして、本作『空の彼方』がその尖兵としてドロップされた。さて、読了して分かることはこの三作、新興レーベルにありがちな文庫のコンセプトに<幅>を持たせたる作品となっている。一例として挙げるなら同じ選考委員奨励賞を受賞した『蒼空時雨』が完全な大衆小説に対し、本作は完全なライトノベル。敢えてMW文庫から出版することに意味は無いだろう。それでも、あらすじから予想される通りの事後談、内省的な話に派手さは無く、全七章を通じて、数奇な巡り合わせで女主人ソラの止まった時が動くまでを楽しむには、読み手に最後まで「読み待つ」、大人な態度が望まれる。そういう点で、MW文庫っぽさはある。とどのつまり、非常に地味な話!と切り捨てて構わないほど地味な作品なのだが、ソラの幼馴染みが還ってくるシーンはお約束とは云え、心に染みる。選考委員が指摘するように登場人物の書き分けがイマイチ。また、その出てくる登場人物たちに飛び抜けた魅力が無いのが残念だが、未だ晴れないファンタジー不況のなか、魔物闊歩するド真ん中のファンタジーを書いてきた著者にはミドルネームに<ラッキー>を与えたい。

第16回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:空の彼方/菱田‘ラッキー’愛日

category: は行の作家

tag: 電撃小説大賞選考委員奨励賞 OPEN 60点 菱田愛日

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