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このライトノベルがすごい!(2011年版) 8位:俺の妹がこんなに可愛いわけがない/伏見つかさ

俺の妹
(あらすじ)
俺の妹は、茶髪にピアスのいわゆるイマドキの女子中学生で、身内の俺が言うのもなんだが、かなりの美人ときたもんだ。けれど、コイツは兄の俺を平気で見下してくるし、俺もそんな態度が気にくわないので、ここ数年まともに口なんか交わしちゃいない。よく男友達からは羨ましがられるが、キレイな妹がいても、いいことなんて一つもないと声を大にして言いたいね!だが俺はある日、妹の秘密に関わる超特大の地雷を踏んでしまう。まさかあの妹から“人生相談”をされる羽目になるとは……。

answer.――― 67 点

第一章を締めくくる「……ばかじゃん? 二次元と三次元を一緒にしないでよ。ゲームはゲーム、リアルはリアルなの。大体さー、現実に、兄のことを好きな妹なんているわけないでしょ?」なる妹の台詞が象徴するように、イタタタタ……な表題そのままから連想出来る「萌え」展開が意外なまでに少ない本作。現在に流通するライトノベルと大衆小説の明確な差異は、<人間>と<キャラクター>―――登場人物のパーソナリティーにあるとは、過去のレビューでも述べた通り。しかし、才色兼備、読者モデルも務める勝ち気な妹が「実は隠れオタク」という秘密を知ってしまったことから始まる本作の物語には、現実空間で存在すれば違和感しか覚えない、<キャラクター>らしいキャラクターは登場しない。自分のヲタク趣味への葛藤、SNSを使っての友人探し、厳格な父親による糾弾……物語の進行上でぶつかる妹の問題は、病んだ現代では誇張どころか、十二分にあり得るエピソードばかりで、本作がライトノベルではなく、大衆小説にカテゴライズされたとしても不思議はない。妹やエロゲーなど際どい題材が作中で押し出されるため、序盤で忌避感が出てしまうこともあるかもしれないが、中盤まで目を通させてしまえば反転、幅広い支持も十分考えられる作品。ただ、大衆小説への接近の代償に、ライトノベルらしい破天荒な展開が見られないのが残念。兄が妹をかばう予定調和なエンディングにはもう一波乱、もう一工夫が欲しかった。余談だが、上記の<人間>と<キャラクター>の観点を本作と対比出来る作品には、同じ電撃文庫の『乃木坂春香の秘密』が良いサンプルになると思う。興味がある方はどうぞ。

このライトノベルがすごい!(2011年版) 8位:俺の妹がこんなに可愛いわけがない/伏見つかさ

category: は行の作家

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