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第5回本屋大賞 8位:鹿男あをによし/万城目学

鹿男
1.葉月(8月)
2.長月(9月)
3.神無月(10月)
4.霜月 (11月)

answer.――― 83 点

この文体、どこかで見たことがある……と記憶の糸を手繰り寄せていると、思いもよらぬところと繋がった―――『坊ちゃん』、そう、“巨人”夏目漱石の青春小説である。私は『坊ちゃん』の文体が大好きで、―――というよりも、「〇〇した。してやった。」という一文がある種の天啓にも似た響きに感じ、人には見せられない私の日記に同じパターンの文章が「。」に代わり、アテンションマーク(!)となって度々登場している。一例を挙げるならば、酔っていた俺はファスナーを下ろし、ベンチに○×した!してやった!とか。そんな雑談はさて置き、オレ様、千秋さまこと玉木宏を迎え、ドラマ化もされた「鹿男あをによし」。上述のように特徴的な文体に気づけば、本作が『坊ちゃん』のパロディということが分かる。もちろん、ストーリーそれ自体は違う。だが、別になりたくもない教師となって派遣される等、諸々の展開が『坊ちゃん』を下敷きにしているのは明らかだ。作中でも、さりげなく『坊ちゃん』という単語を挟んできたりと、ニヤリ嫌らしいアピールもある。肝心の中身だが、文体から来る面白み以外にも、白熱する剣道の試合の描写など、著者の物真似に終わらない高い文章力が跳梁跋扈。話の着地点はパロディと気づけば大体想像ついてしまうのだが、しっかりお約束通りのもうひと山「転」もあるわけだし、そこは楽しんだ!楽しんでやった!となるのではないだろうか?万城目学の作品はこれが初物ながら、とりあえず、他の作品にも手を出してみようかな……と思わせる出来。作家としては、器用そうなところが良いね。

第5回本屋大賞 8位:鹿男あをによし/万城目学

category: ま行の作家

tag: OPEN 80点 万城目学

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第4回本屋大賞 6位:鴨川ホルモー/万城目学

鴨川ホルモー
1.京大青竜会
2.宵山協定
3.吉田代替りの儀
4.処女ホルモー
5.京大青竜会ブルース
6.鴨川十七条ホルモー

answer.――― 77 点

京都大学出身の作家となると、セールス的には貴志祐介が当代その筆頭となるのだろうが、平野啓一郎、森見登美彦、そして、万城目学―――この3人が三大ギタリストならぬ三大“京大”作家に数えられるような気がする。というのも、三人は年代が近く、一人は文章力とともに《京大在学中》を全面にアピールされてのデビューだし、残りの二人は京都、京大生を設定に物語を編んだからだ。(謎の)第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した本作は、その京都、京大生を設定に物語を編んだ、第3の“京大生” こと万城目学のデビュー作。物語の概要は、新歓コンパで一目惚れした女性に近づきたい一心でそのまま謎のサークルに加入した主人公が、「ホルモー」と呼ばれる鬼や式神を使った競技に巻き込まれる、というもの。先に『鹿男あをによし』を読んだ身として拍子抜けたのが、冒頭からしばし続く可もなく不可でもない主人公の語り。それこそ比較対象に挙げられる森見登美彦が採用する奢り高きノミの心臓を持つ京大生なのだが、時折り片鱗を見せつつも、どうもハジけ具合が物足りない。しかし、(……こりゃダメだ)と蔑めば、途端に始まるお約束の失恋劇。5章「京大青竜会ブルース」、その第一文「惨めだった。」から始まる怒涛のヘタレ語りは、第3の“京大生”と呼ぶに相応しい著者、圧巻の語彙、たたみ掛けるグッド・チョイス!高村いわく、の五連段は筆力に自信が無ければ出来ない芸当だ。序盤は肝心の「ホルモー」に興味が持てず、設定の消化不良に終わるかと思われたが、失恋による内部ゲバルトを用いて、しっかりと関心を惹いてくれた。そんな挽回劇は見事だったにしても、処女作だけあって隙のある作品でした。

第4回本屋大賞 6位:鴨川ホルモー/万城目学

category: ま行の作家

tag: OPEN 70点 万城目学

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