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第2回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:楽園/鈴木光司

楽園
1.神話
2.楽園
3.砂漠

answer.――― 76 点

鈴木光司と目にすれ耳にすれば、多くの人がほぼ間違いなく『リング』、『らせん』に始まる一連のホラー作品を連想すると思うが、彼の小説家としての出自は創設間もないこの日本ファンタジーノベル大賞から。一万年という時を超えた男女の愛を描く壮大なストーリー!を謳い文句にしている本作。しかし、実のところ、その内容は<輪廻転生>を楽しむ話ではない。マクロ的視点で見れば確かに輪廻転生、その通りなのだが、その繋がりは希薄でそもそもの話、一章から二章は事実上、断絶とも取れる長い空白の時を置いている。そのため、輪廻転生をテーマとする作品に見られる<すべてが重なっていく>カタルシスを期待すると、顔をしかめたくなるような肩透かしを食らう。本作はあくまで独立した三章の話を楽しむつもりで読むべきだ。そう心を構えれば、選考委員もメルヴィン、コンラッドを引き合いに出して絶賛する表題・第二章は血湧き肉躍る恍惚のショー・タイム。力強く沈んだ一章の悲劇からの、不幸の連鎖を断ち切るが如き、戦士の咆哮はただただ胸に迫る。多対一、命を賭して<楽園>を守るバンザイ・アタックは仮にライトノベルでこれを披露されようものなら伝説の名場面として、本田△ならぬタイラー△と語り継がれること必至である。それだけに、輪廻転生の体を整えようとした三章には軽く失望。作曲という方法に進むなら、そこに帰結しても良かったと思う。

第2回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:楽園/鈴木光司

category: さ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 70点 鈴木光司

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