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第8回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:吸血鬼のおしごと/鈴木鈴

吸血鬼のおしごと
1.ローマにて
2.お化け屋敷
3.千客万来
4.モザイクのチリソース
5.雪村
6.その奥に潜むもの
7.ローマにて

answer.――― 69 点

秋山瑞人の『猫の地球儀』に代表されるように、色仕掛けならぬ猫仕掛けとでも評したくなるほど、ライトノベラーは<猫>を題材とした作品に弱い。電撃文庫における選考委員奨励賞受賞作品中随一の成功を収めたと言っても過言ではない「吸血鬼のおしごと」。本作を読了後、投稿時のあらすじを読んでみれば出版に際し、大改編が行われたことが見て取れる。その跡は視点切り替えの多発に現れ、誰が主役なのか一概に判断出来ない作りとなってしまったが、それが功を奏したか。作中、もっとも存在感を放っているのは<猫>となった。主要登場人物に黒猫ツキが紛れ込んでいるのは作者の趣味とのことだが、このツキが各登場人物のキャラクターを引き立てさせている名バイプレイヤー。物語の見えない前半をひょいと現れては場を持たせてくれている。そうしたほのぼのなコメディが続きながらも、作品の大改編により後半は怒涛のシリアス展開!一筋縄ではいかないオチをつけ、続きの気になる物語となった。この大改編後での投稿なら<金賞>、悪くて<銀賞>になっただろう。作者の筆力は十二分で、感情の揺れ動きにぎこちなさが無いのも好感。以降の続巻では、本作の前半に見られたほのぼのなコメディ色は薄まり、ずぅうん……と心に残る仄かなバッドエンド路線を突き進むが、本作の時点である種、暗示されているようなものなので気に入れば安心して手を出して良いと思う。

第8回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:吸血鬼のおしごと/鈴木鈴

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞選考委員奨励賞 OPEN 60点 鈴木鈴

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