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このライトノベルがすごい!(2014年版) 7位:東京レイヴンズ 1 SHAMAN*CLAN/あざの耕平

東京レイヴンズ (205x290)
(あらすじ)
東京を中心に霊的災害“霊災"が多発するようになった現代。名門・土御門家の血を引きながらも霊的才能に見放された春虎の前に土御門家次代当主であり幼なじみの夏目がやってきて!?

answer.――― 68 点
凋落していった富士見ファンタジア文庫を支えた『BLACK BLOOD BROTHERS』に幕を下ろし、斜陽のレーベルの新たな屋台骨となるべく「学園陰×陽ファンタジー」というテーマの下、あざの耕平が着工した長期シリーズの第1作目。さて、個人的に《陰陽師》という目垢/手垢のついた題材をどうアレンジしてくるのか気になるところだったが、「学園」「警察」「陰陽師」「東京」といった外殻、そこに「幼馴染」「約束」「凡才」「天才」といったパーソナルな要素を絡めて展開する―――有り体に云えば、(……どこかで見たことあるような?)という「王道」そのものな作品で、特に言及するほどのアレンジが無かったのは残念と言えば残念。もっとも、実は一途に想っています、堂々と嫉妬しています!の主人公周り、バトル&バトルの派手なア(トラ)クション、頁をめくれば判明してくる宿命的な陰謀……!という何のてらいのない「王道」は、持ち前の語彙&構成力で手堅く飾られている。「王道」は、小説ならば《文章力》がその質に差をつける。その意味で、本作は「王道」作品として十分に及第点を与えられるだろう。ただ、やはり欲を言えば、作中でたとえば裁判を起こすような《陰陽師》とはかけ離れたサプライズを起こして欲しかった。作品としての出来はともかく、他の作品を差し置いて推したくなる作品ではない。

このライトノベルがすごい!(2014年版) 7位:東京レイヴンズ 1 SHAMAN*CLAN/あざの耕平

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 あざの耕平 このライトノベルがすごい!

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富士見ファンタジア文庫:BLACK BLOOD BROTHERS 1 -ブラック・ブラッド・ブラザーズ 兄弟上陸-/あざの耕平

BLACK BLOOD BROTHERS1-ブラック・ブラッド・ブラザーズ 兄弟上陸-
1.船上の吸血鬼
2.『カンパニー』の調停員
3.九龍の血統
4.満月の兄弟

answer.――― 75 点

いわゆる吸血鬼モノ。出版時期を考えれば、ちょうどゴールド・ラッシュならぬヴァンパイア・ラッシュとも云える吸血鬼ブームがいよいよ真っ盛る頃で、あざの耕平も「ここは一発……」とつるはしを担いで金脈を掘り当てに来た感があり、そして、―――見事に掘り当てた。本作に特筆すべきオリジナリティーは無い。設定には吸血鬼に付き物の『始祖』、『不死』、『血統』、『弱点』などが並ぶ。あえて目新しいと挙げるなら、ヴァンパイアの存在が世間で暗に認知されていること、香港一つを壊滅させたスケール大きな事件に関わる吸血鬼を「一」血統としていることだろうか。ただ、それで他作品と差別化出来る訳では勿論無い。では、何故に本シリーズがヴァンパイア溢れるシーンより抜き出れたのか?それは単純に台詞回しを始めとした硬軟剛柔、どちらもバランス良く演出出来る著者の筆力であり、何より著者の作家としての一番の強味と云える扱う題材への理解、勘の良さ故だ。本作終盤、それを象徴する主人公ジローの台詞を引用してみよう―――「退廃の香りがするでしょ? 吸血鬼っぽくありません?」、これである。必ずしも正解は必要では無いが、○×と云えば△!のような作家自身の『答え』が欲しいのが読者だ。吸血鬼と云えば退廃、正解不正解の是非は人に依るだろうが、自らの死を意味する台詞を笑って口にするジローの姿はまさに退廃的。芯の通った(自身の偏見)理解の為せる業である。ついでに、明らかに続巻を前提にした造りにはなっているものの、あからさまな謎で繋ぐヘタクソな演出が無いのには好感。上述の台詞で一巻を実質「〆る」逆算的なアプローチが見事でした。男性作家で第二の主人公コタロウの純真無垢さというか、あざとさを感じさせない「童」像を描けるのも何気に凄いね。

富士見ファンタジア文庫:BLACK BLOOD BROTHERS 1 -ブラック・ブラッド・ブラザーズ 兄弟上陸-/あざの耕平 (2004)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 あざの耕平

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富士見ファンタジア文庫:ブートレガーズ 神仙酒コンチェルト/宇野耕平

神仙酒コンチェルト
1.無法者な人々
2.密造酒業者暗躍す
3.殺し屋
4.戦闘

answer.――― 71 点

盛者必衰の理に沈み始めた00年代の富士見ファンタジア文庫において、『Dクラッカーズ』、『BLACK BLOOD BROTHERS』と立て続けにヒットを飛ばし、文庫のエース格へと昇り詰めたあざの耕平―――と改名する前、宇野耕平名義のデビュー作。『BLACK BLOOD BROTHERS』のあとがきにて著者の友人が「酒、麻薬ときて、次は『児童虐待』か。さすがだな耕平。社会派だな」と評したように、本作は禁酒法敷かれるアメリカはシカゴを舞台に、「酒」を題材にしたギャング協奏曲!というと、成田良悟のデビュー作『バッカーノ!』が思い浮かんでしまうが、こちらのほうが出版に関しては5年も先に扱っている先達ノベル。そして、知識を交えたギャング界隈の演出もこちらのほうが格上だ。まず、単純に台詞回しが素晴らしい。主人公の一人、ギャングの会計士ギルバートの知性に溢れた洞察からして堂に入っている。物語はギルバートがギャンブルに大敗することを発端に、すでに出来上がっているマーケットに密造酒を売り捌き、命を狙われていくという流れなのだが、そこへ繋ぐまでの過程は絶品の出来。ギャングを扱う場合に必要なのは、退廃と恫喝を如何に描けるかだと思うが、ギルバートの理知的な面とギャンブル狂特有の自殺願望は、まさにそれ。ライトノベル特有の緩さを演出していくれるフォレスト一家の存在もあり、硬軟バランスのとれたライトノベルだ。時代背景の描写も不足ない。しかしながらイマイチ評判を呼べなかった原因は、終章の「戦闘」だろう。描写も上々、伏線も回収されている……が、どうにも盛り上がらない。これは作中のファンタジーな仕掛けに冷めたというよりも、そもそもの読み手の関心が<マーケットの奪取>、<違法取引>だったからだろう。よくある戦闘=暴力でなく、頭を使って解決して欲しかったのだ。もっとも、そう願うのは<描けていた>からに他ならない。ラストこそ物足りないものの、雰囲気は抜群。期待し過ぎずに読めば娯楽性は十分ある一作。ちなみに、第9回ファンタジア大賞の最終選考作品です。

富士見ファンタジア文庫:ブートレガーズ 神仙酒コンチェルト/宇野耕平 (1999)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 あざの耕平

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