ナマクラ!Reviews

04/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31./06

第16回ファンタジア大賞 準入選:約束の柱、落日の女王/いわなぎ一葉

約束の柱、落日の女王
1.落日のなかで
2.士官
3.告白
4.旅路
5.取引
6.真相
7.流動
8.そして、約束の柱

answer.――― 69 点

これは面白いというよりも、興味深い受賞作。ストーリーラインは、傾国の若き女王クリムエラの前に現れた謎の男カルロが、あれよあれよと国を立て直し、……というもの。ひとつまみのファンタジーな要素は、その謎の男カルロが実は2000年後からやってきた「タイムリープ」設定。読み手は歴史的に滅ぶはずの国がどうなるのかと訝りながら頁を進めていくのが本作の本線。傾国らしく臣下は不信にまみれ、ヒロインである女王クリムエラも子飼いの侍女をワニに食わせるなど、過剰なまでにヒステリック。そこに紛れ込むカルロは野心にまみれて、ちょっとしたカオスな序盤は無視出来ない迫力がある。そこから「無敵」「モテモテ」「成り上がり」のおよそライトノベラーが望む三拍子ならぬ三要素を配し、万全の展開を図る著者は正しい。しかしながら、(……これは売れないな)と思ってしまうのは何故か?本稿冒頭に綴った「興味深い」とは、本作が売れない理由が《つまらない》からではないからだ。本作、ぶっちゃけた話、「面白い」。にもかかわらず、《つまらない》と言いたくなる。その理由を探すのが、本作で一番の醍醐味だと私は考える。面白いけど(……何か)つまらない、この矛盾した感想を回避する方法はある。例えば、本作は恋愛(登場人物の心境の移り変わり)を核に置いてしまっているが、「タイムリープ」を前面に置けば印象はずいぶん変わるはずだ。あるいは、……と本作の問題点を各々がどう把握するか。断言するが、本作は「面白い」。およそ、そう指摘出来るモノを揃え、組んでいる。だが、読み手の結論としてそこへ着地しない、実に興味深い一作。筆力も十分だが、とあるレヴューでは「サクサク読める」なんて普段なら誉め言葉なはずの感想も、本作では否定的な意味合いで使われている。さてさて、なーんでだ?

第16回ファンタジア大賞 準入選:約束の柱、落日の女王/いわなぎ一葉

category: あ行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 60点 いわなぎ一葉

[edit]

page top