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第9回本屋大賞 8位:ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜/三上延

ビブリア古書堂の事件手帖
第一話 夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)
第二話 小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)
第三話 ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)
第四話 太宰治『晩年』(砂子屋書房)

answer.――― 75 点
今や泣く子も笑う累計ン百万部のメディアワークス文庫のドル箱『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ、その記念すべき第一作目が本作。当シリーズの概要としては、美貌の古本屋店主・栞子が客が持ち込む古書にまつわる謎を解いていく、という実在する「本」を手掛かり足掛かりとした一風変わったミステリー。本シリーズはライトノベルと大衆小説のクロスオーバー作品の代表例に挙げられるものの、登場人物はライトノベル特有のデフォルメされたキャラクター性が薄く、表紙のイラストを除けば、ごくごくモダンな大衆小説……なんてことは皆さんのほうがご存知のことでしょう。なので、私が本作を読んで兎にも角にも目を惹かれたところを―――そう、「おっぱい」。メインヒロインである栞子は街中ですれ違えば思わず振り返りたくなる美貌を持つにもかかわらず、オロオロオロオロな極度の人見知りで、……まさかの「巨乳」なのである。貧乳貧乳、ツルペタツルペタ!と持て囃す青い血流れるライトノベラーだが、その多くは《巨乳が好き》であることを低俗に思うが故に隠すムッツリ助平。そんな彼らは巨乳キャラが乳揺らす場面に心のうちで舌鼓を打ちつつ、萌えんわ勃たんわ濡れんわ、とメインヒロイン失格の烙印を押していく。実際、巨乳キャラは扇情的であるが故に、主人公にフラれるのが《お決まり》となっている。何故?主人公が性欲に負けてはいけないからだ。性欲を振り切る、故に―――俺、格好良い!からである。にもかかわらず、ムッツリ助平どもからメインヒロインの座を許された「巨乳」栞子のミステリー。いったい、何故なのか?それは、彼女が《意志》を持っているから……古書への《情熱》を持っているからに他ならない。オロオロとした巨乳キャラクターが、恋愛感情以外で譲らない《意志》を持つことは稀なのである。そこに「眼鏡」やら「障害持ち」やらが加わるアレンジが、著者のしたたかな工夫。キャラクターデザインの勝利がここにある。(やや繋ぎが粗かった印象もあったが)文章もそつなく、「本」から始まる謎からも大衆アピールが出来る作品です。

第9回本屋大賞 8位:ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~/三上延

category: ま行の作家

tag: OPEN 70点 三上延 本屋大賞

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