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第11回ファンタジア大賞 準入選:魔魚戦記/吉村夜

魔魚戦記
無限と思える宇宙の広大さ。だが、私が真にこの宇宙を畏敬するのは、その広さゆえにではない。無限と思える可能性の多様さゆえだ。それゆえに、私は彼女と出会えたのだ。私は、そう信じて疑わない。
―――ハーウィン

answer.――― 60 点

いわゆるバカSF。何も考えずに楽しむのが吉。と著者自身が言及する本作は、全長3000kmにも達する巨大なエイ(宇宙人)・ハーウィンが勉強嫌いの天然少女レスタンティに求婚する、という成る程なバカSFながら、読んでみれば安易なコメディと受け取れないのは、その世界観故。アルゴ帝国に占拠された惑星フォルテッシモ、というような作中の歴史背景より、レスタンティたちは帝国に都合の良い教育、近代技術の使用を制限された二等市民として不自由な生活を強いられている。本作は読み進めればさらりと階級差別、さらりと大量殺戮が執り行われるスパイシーな作品ながら、ほのぼのとした表紙の如く、登場人物たちに悲壮感が感じられないのは、上述の荒唐無稽なストーリー、何より本作の出版以前より児童文学でデビューを飾っている著者の経歴に違わぬ平易で緩い語り口から。……と好意的に取り上げられる要素はあるものの、「ライトノベル」として本作を推して読ませたい類ではないのも確か。呆気なく2巻打ち切りとなって、ライトノベルにはこんなのもありまっせ!という間口を広げる役目も果たせなかったのもお察し頂きたい。アイディアの大胆さは買える。

第11回ファンタジア大賞 準入選:魔魚戦記/吉村夜

category: や行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 60点 吉村夜

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