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第20回小説すばる新人賞 受賞作:桃山ビート・トライブ/天野純希

桃山ビート・トライブ (202x290)
(あらすじ)
時代は安土桃山。偶然三味線を手に入れた悪童の藤次郎、笛役者になるため家を飛び出した小平太、太鼓叩きを趣味とする元奴隷の弥介、天性の踊り子ちほの4人が、型破りな演奏で、権力や身分によって押さえつけられた世の人々を惹きつけていく戦国ストーリー。

answer.――― 83 点
サムライ・ギタリストと紹介されるMIYAVIをご存知だろうか?ヴィジュアル系らしい女形の容貌にパーカシッヴなギター奏法が特徴のギタリストで、『SAMURAI SESSIONS』と銘打った他アーティストとのコラボレーション・シリーズをあざとくリリースするなど、なかなかの歌舞伎者である。さて、安土桃山時代を舞台にした本作『桃山ビート・トライブ』―――三味線速弾く中心人物の藤次郎は、そのMIYAVI本人も「ビックリするくらい似てました(笑)」と認める、読み手の耳目惹く跳ね返りっぷり。作品の概要としては、戦国時代、傾奇者たちでRock 'n' Roll!石田三成がナンボのもんじゃない!といったところなのだが、兎にも角にも、藤次郎をはじめキャラクターかぶらない傾奇者を揃えてくるのが素晴らしい。個人的に膝を打ったのが、「黒人」弥介の採用。彼が太鼓を叩くわけだが、その説得力たるや理詰めに圧巻。黒人見慣れぬ時代にアフリカンビート、そこに三味線の速弾きが重なると、作中の聴衆同様、読み手もその音をまともに想像出来ず混乱来たすのは必然である。まさしく傾奇者たちの演奏を「読める」わけだ。男臭くならないように「踊り手」ちほ、本作の起伏の実は全てを担っているメンバー唯一の常識人なヘタレ「笛吹き」小平太と、配役に抜かりない。小説すばる新人賞随一と断言出来る「痛快」な一作。どうせ、こんなもんだろ?という予想をしっかり超えてくる三味線Rock 'n' Rollを体験出来ます。意外や意外、読書家さんたちのなかでも知名度低いようなので、ここは【推薦】させて頂きます。

第20回小説すばる新人賞 受賞作:桃山ビート・トライブ/天野純希  【推薦】

category: あ行の作家

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