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このライトノベルがすごい!(2014年版) 2位:ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン/宇野朴人

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (199x290)
(あらすじ)
隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国カトヴァーナ帝国。その一角にとある事情で嫌々、高等士官試験を受験しようとしている少年イクタ。戦争嫌いで怠け者で女好き。そんなイクタが、のちに名将とまで呼ばれる軍人になろうとは、誰も予想していなかった……。

answer.――― 75 点
丁か半か、黒か白か。当事者、あるいは、傍観者であっても勝負事は面白いものだが、何が面白いのかといえば、どちらも勝とうとしているからに他ならない。一生懸命に“負け”を競って面白いなんてことは有り得ない。“負ける”ことが“勝つ”ことに繋がるなら話は別だが、あくまで“勝つ”ために、“勝とう”という意志がぶつかり合うからこそ、エンターテイメントが成立する。さて、本作は何とも物珍しい“負け”を着地点にする物語。と云っても、あくまで“勝つ”ため―――外憂内患の母国救国故の着地点が“負け”ということであり、そのために幾度もの勝利を積み重ねなければならない矛盾が構造的面白味。また、“精霊”介在するファンタジーな世界観ながら、多対多の集団戦を描いているのも珍しい。“能ある鷹は……”な怠惰な主人公は地形その他から戦術を立て、危機に陥ろうが常時余裕しゃくしゃくに仲間を導き、敵を撃破していくのは痛快だ。いわゆる俺TUEEEE!な軍師もの、と捉えれば良いだろう。主人公は冒頭より毛嫌いする軍人へ、貴族へ、英雄へ……と成り上がっていくところも《お約束》な演出。ところで、本作の目玉は脇役マシュー・テトジリチなのは読了した貴方ならばご存知のことだろう。称賛浴びる仲間たちのなかで埋もれている己に忸怩たる想いを抱きながら、決して人前に出さず、そのくせ“諦めない”雑草根性は(……マシュー、お前は主役を食うんだな!?)と読み手を「筋」を無視した魅力的な博奕へと誘う。主人公とかどうでもええわ、マシュー!マシュー!!マシュぅぅうううー!!!と、拳を突き上げて応援したくなるラストの純粋なマシューの“決意”はどんな物語よりも面白い。ここには著者が本当に描きたい物語、読み手へ敷いたミスリードがある。読み手に想像(=創作)させること、それが本来的な「物語」の本質である。

このライトノベルがすごい!(2014年版) 2位:ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン/宇野朴人

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 宇野朴人 ラノベ好き書店員大賞 このライトノベルがすごい!

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