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第2回本屋大賞 4位:袋小路の男/絲山秋子

袋小路の男
1.袋小路の男
2.小田切孝の言い分
3.アーリオ オーリオ

answer.――― 80 点

―――純愛とは何か?ある評論家は<プラトニックなまま、死がふたりを別つもの>と説いたが、「現代の純愛物語」と評された本作はプラトニックではあるものの、<死>は関係しない。文学畑からの作家にも関わらず、大衆からフェイバリットに挙げられる女性作家のひとり・絲山秋子。女性作家には綿矢りさ、島本理生のように<若さ>を買われての支持が多いなかで、デビュー時点で四十路に差し掛かろうという著者の支持率の高さは興味深いところ。さて、表題作はうだつの上がらない男に思いを寄せ続ける女の物語。何故、好きなのか?は特に言及せず、他の男と付き合ったり、そのうちの一人の変態と痴態を投稿サイトにアップしたりと時々に<浮気>しつつ、それでも思い通りにならない袋小路の男を子どものように慕い、思いを寄せ続ける。そんな面白い<純愛>物語。このヒロインの心持ちを綺麗だと(読者自身が)思うのは何故か?というのが分かり易い論点になる。ただ、これを綺麗と受け取れないと、何故、好きなのか?というスタンダードな論点に目が行ってしまうかもしれない。そうなると、本作は欠陥品に映るだろう。個人的には、表題作と対となっている<袋小路の男>の視点交ざる「小田切孝の言い分」がオススメ。子どものように思いを寄せるヒロインにピッタリの、いつまで経ってもガキ大将だと分かる。また、レヴューサイトを巡っていると、表題作とは無関係の短篇「アーリオ オーリオ」を評価する声を目にするが、私には論点らしい論点を見つけられず、夜空を見上げて「アーリオ オーリオ」とつぶやくくらいしか感想が出てこない。まあ、嗜好の違いかね。やや視点が不安定な書き口が難点だったが、同年代の吉本ばななのような賞味期限の切れたババアの若作り的醜さを出すことなく、Modern Purenessを表現出来ているのがGood!な作品でした。

第2回本屋大賞 4位:袋小路の男/絲山秋子

category: あ行の作家

tag: OPEN 80点 絲山秋子 本屋大賞

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