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第11回えんため大賞 特別賞:ココロコネクト ヒトランダム/庵田定夏

ココロコネクト
1.気づいた時には始まっていたという話
2.「お」から始まる『アレ』
3.そいつ曰く、なかなか面白い人間たち
4.人と繋がって、爆弾を抱えて、一週間が経って
5.ジョバーはなにを思う
6.ローブロー最強説
7.終わる。始まる。変わる。
8.そういう風に生まれた人間
9.ある告白、そして死は
10.……

answer.――― 71 点

○○系、××モノ―――そんな風に作品の題材をアバウトにカテゴライズするならば、本作は人格転移モノ。ひと癖あるアレンジは、主要登場人物5名のうち2名が、頁を進めれば、4名が「ランダム」に人格転移すること。そこに、思春期のちょっとばかりナチュラルな厨二パーソナリティが混入している文化研究部員がナイーブに恋を、友情を育み、心を掻き乱していく物語。人格転移モノのセオリーは1on1なその事象と並列して起こる何某かな事件を解決or巻き込まれる、というものだと思うが、本作では事件らしい事件は起こらず、人格転移によって登場人物それぞれの心の問題を暴いていく展開となっている。これはライトノベルでは案外に珍しく、分類すれば「文学」方面のアプローチで、ともすると派手さに欠け、退屈に直結するのだが、例えば本作中の中心人物として描かれる八重樫太一の「自己犠牲」、稲葉姫子の「人間不信」など、現実で誰しもある『悩み』を極大化し、『病気』として扱うことで読み手の関心を惹くアレンジ。男女による人格転移に付きものの、シモ事情は2章【「お」から始まる『アレ』】の072な章タイトルからも察せられる通り、出し惜しみない(もっと攻めても良かったと思うが)。自家製に拘らず、既存の手垢ついたアイディアを組み合わせて【オリジナリティ】を成立させる著者の背伸びしない取り組み方にも好感を抱く。ただ、人格転移が何故に1on1で占められるのかと言えば、―――処理の労。本作の最大の難点と云えるのは、誰が誰に転移しているのか示す括弧を用いた表記。キャラクターを把握し切るまで、相当の不快感を伴う。読み手の主な感情移入先になる八重樫太一の「自己犠牲」思考&行動もナルシズムに似た性質が強く、こちらも不快感伴う場合が多いだろう。しかしながら、人の無意識下、表面化していない「問題」を暴いていく様はいつの時代も醍醐味で、『病気』にまで膨らませてのアプローチはライトノベル「らしさ」を心掛けていて、ライトノベラーにはそこを一番「買って」あげて欲しい。個人的ハイライトを挙げるなら、「俺は稲葉を―――――――――オカズにしたことがある」なる秘密の告白。上げたハードルをしっかり超えてくるプロフェッショナルな仕事っぷりに、作中の話とはいえ、思わずゴクリと慄く暴露だった。実はイラストレ-ターの(印象操作気味の)アシストも見逃せない作品。第11回えんため大賞特別賞受賞作です。

第11回えんため大賞 特別賞:ココロコネクト ヒトランダム/庵田定夏

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 庵田定夏

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