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第2回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:ネザーワールド ‐カナリア‐/東佐紀

ネザーワールド
1.青空と大道芸人
2.ヴァイオリンとカナリア
3.ウサギと赤髭
4.プリンセスとヘルメス
5.火葬棟とワタリガラス
6.女王と地下迷宮
7.壊れた空と道化師

answer.――― 62 点

著者のあとがきによれば、ドタバタのコメディを志して始めたものの、出来上がってみれば、近未来SFファンタジー!という本作『ネザーワールド -カナリヤ-』。その概要は、将来を羨望される音楽家・直樹が意識を失った育ての親を救うため、地位も名誉も金も捨てて、謎の昏睡の鍵を握る少女カナリヤを追って地下へと潜る!というもの。投稿時の表題が『地下鉄クイーン』だったように《世界は地下で繋がった》という独特な世界観の上で、主人公が音楽家という設定からほぼ全編においてクラシックが雅に奏でられる演出が、著者のまずアピールしたい本作のセールスポイントだろう。実際、いわゆるライトノベルとは違う趣きのアーバンなファンタジーで、著者が培ってきた語彙など筆の面からもライトノベル外の気配が漂う。なかなかのオリジナリティ薫る作品だが、飾りである「音楽」をゴリ推して、肝心のストーリーの魅せ方を失念してしまった前半は目に余るマイナス項目。相手が大御所でもないかぎり、読み手は「待ってはくれない」。それだから、散文調で飾ったところで「読んでもくれない」。起承転結の金科玉条を鵜呑みにして、新人がのんびり「起」を「起」として演出してはいけないのだ。そんな冒頭でしばし注意散漫となるなか、ようやく訪れる「動」的展開―――助っ人・赤髭とのバシャバシャと水音を立てながらの地下逃亡劇は親指立てたくなるGoodな場面演出。これを如何に早く持って来れるかが大事なのよね。一作品としてのクオリティは高いとは言えないものの、個人的にはところどころで関心引く物珍しい演出に著者の可能性と作品への勿体無さを感じました。

第2回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:ネザーワールド ‐カナリア‐/東佐紀

category: あ行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 60点 東佐紀

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