ナマクラ!Reviews

05/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./07

第22回電撃小説大賞 大賞:ただ、それだけでよかったんです/松村涼哉

ただ、それだけでよかったんです (204x290)
(あらすじ)
ある中学校で一人の男子生徒Kが自殺した。『菅原拓は悪魔です。誰も彼の言葉を信じてはいけない』という遺書を残して。Kは人気者の天才少年で、菅原拓はスクールカースト最下層の地味な生徒。なぜ、天才少年Kは自殺しなければならなかったのか。

answer.――― 68 点
経済学に「悪貨は良貨を駆逐する」という格言があるように、品質の高低において高い位置にあるものがその《基準》として採用されたとしても、必ずしもソレが絶対の基準として流通し続けるとはかぎらない。概して、均してしまえば低く流れるものだ。悪貨と謗るつもりはないが、ライトノベル界隈の事実上の最高勲章《電撃小説大賞》、その《大賞》受賞作である本作は、果たしてライトノベルなのか?イジメから自殺した天才少年の真相に迫っていくミステリーなストーリーライン。「天才」「悪魔のような中学生」というレッテルこそあれ、キャラクターらしいキャラクター性の薄い登場人物たちが《イジメ》を探っていく様は大衆小説的で、MW文庫ならまだしも電撃文庫の作品としてリリースされたことに違和感を禁じ得ない。巷の評判の通り、ひたひたと近づき、そして、近づけられてきた真相という不穏が輪郭づけられていく後半はまさしく胸くそ悪いもので、逆にそれが本作が決して質の低い作品ではない証明となる。が、本作は果たしてライトノベルなのか?踏み込めば、これがライトノベルとして扱われる必要があるのか?たとえば小説すばる新人賞でも、小学館文庫小説賞でも送り先は良かったと思う―――受賞するかはさて置き、だ。そもそも、ライトノベルとは何か?という話になると、「そんなものは決まっていない」と曖昧にすることを是とする意見を目にする。が、読み手はそれで問題ないかもしれないが、少なくとも書き手は「ライトノベルとは?」という問いへの自分なりの答えを出しておかなければならない。それが《ライトノベル作家》としての矜持になるからだ。本作が大衆小説の公募賞へ投稿されたとき、果たして受賞出来るのか?「悪貨は良貨を駆逐する」、本作は誰が読んでも「ライトノベル」と認められなければならない。

第22回電撃小説大賞 大賞:ただ、それだけでよかったんです/松村涼哉

category: ま行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 60点 松村涼哉

[edit]

page top