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第15回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:象の棲む街/渡辺球

象の棲む街
1.地見屋襲撃の夜
2.饅頭と女と子守歌
3.狩人の眼
4.老年期の終わり
5.木偶興行
6.飢餓封鎖
7.鼠のように
8.象宮殿

answer.――― 81 点

アメリカと中国に統治&隔離され、荒廃する東京を舞台に、ドブネズミの如く這い回る日本人たちの終末を描いた全8章からなる連作短篇。章ごとに「上質」の視点切り替えを行いながら、(ホモによるアナル)強姦、毒饅頭の販売、臓器販売、過疎地での孤独死、身代り詐欺、スカトロ、児童買春、生体改造……このようなショッキングな題材を核にして、スマートなバッドエンドを迎えていく。視点切り替えを「上質」と飾ったのは、それぞれ視点を任される登場人物たちは何かしらで前章に関わっており、そうと分かると、ある種の偶然を作中で体験出来るからだ。例えば、二章の視点人物は一章で強姦された被害者であり、三章の視点人物は一章の視点人物のアパートの同僚といった具合である。どれも意外性があり、著者のセンスが光る。各章、どれも劣らずクオリティは高いが、敢えて取り上げるとするならば、空腹を満たす魔法の粉「ゴールデンパワー」が配給される、衝撃の第6章【飢餓封鎖】を挙げたい。作中、食糧不足が起こり、暴動の様相を呈するのだが、これを解決すべくアメリカより「ゴールデンパワー」、中国より「黄金粉」と呼ばれる粉末状の食糧が配給される。これが腹は不思議と満たされるものの、臭くて嚥下にも一苦労する代物だった。しかし、ある日、一人の配給者が叫んだ一言によって人間としての尊厳が試される―――お前ら、悔しくないのか!?俺らはコイツらの人糞を食わされているんだぞ!!……いや、終末である。空腹に勝てず、聞かなかったことにして食べる日本人の痛ましい姿よ。このように本作、どれも救いのない内容ながら、心地良ささえ感じるのは登場人物が絶望の中にあっても生きる意志を捨てていないためである。陰鬱なときに読めば、セラピーの効能もあるんじゃないだろうか?特異な快作、【推薦】させて頂きます。余談だが、本作では赤坂にいる(らしい)「象」という象徴を用いて、天皇制を肯定的に描いています。

第15回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:象の棲む街/渡辺球  【推薦】

category: わ行&数字の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 80点 渡辺球 推薦

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