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第19回電撃小説大賞 金賞:明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。/藤まる

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る (199x290)
(あらすじ)
生まれつきの恐い顔のせいで、学校で浮きまくっている坂本秋月。ある夜、秋月は一人の少女の事故現場に遭遇し、謎の人物から究極の選択『お前の寿命の半分で、彼女を救うか?』 を迫られる。秋月は寿命と引き換えに少女“夢前光”を救った、はずだったのだが……なぜか秋月の体は1日おきに光の人格に乗っ取られるというおかしな展開に!?

answer.――― 68 点
交通事故で少女が死んで―――そこから一日置きに故人となった少女と「人格」が入れ替わり、二人の記憶の繋ぎに《交換日記》を用いる本作。不器用ロンリーウルフな主人公、奔放なヲタク気質のヒロインという組み合わせから、男の072事情など抜かりなくアピールしてくるコメディな日常を軸に、掻きまわされながらもロンリーを返上していく喜劇に戸惑いながら、中盤以降のヒロインの生前のプライベートに踏み込んでいく展開は丁寧なもので、著者のストーリーメイク、そのバランス感覚の良さが伺える。コメディは楽しければ良いと思われがちだが、実際のところ、……だからこそ!と相反するシリアスな一面を作品に望む、読み手からの《暗黙の要求》が存在する。その点を押さえられるか否かがちょっとした作家としての分水嶺なのだが、著者は如才なく掴んでいる印象。勿体無いのは、二人の記憶を繋ぐ《交換日記》だろう。事実上の《信頼できない語り手》なために自ずとSomethingを期待してしまうが、想定のままに運用される「ライト」な仕上がりとなっているため、肩透かし気味に終わってしまう。例えば、主人公サイドが積極的に仕掛ける演出があっても良かったと思う。ラストは「てへぺろ☆(・ω<)」というヒロイン主体のコミカルな幕が下りるわけだが、あくまで主人公を主人公として捉える《発想》があれば、「てへぺろ☆(・ω<)」なヒロインが温かく涙するコメディになったと思う。何にしても、モダンなライトノベルしたライトノベル。同系統と云える題材の『先輩とぼく』と比べてみれば、現在のライトノベル作家の層の厚さも感じられる受賞作。

第19回電撃小説大賞 金賞:明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。/藤まる

category: は行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 60点 藤まる

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