ナマクラ!Reviews

04/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31./06

星海社文庫:Fate/Zero/虚淵玄


1.第四次聖杯戦争秘話
2.英霊参集
3.王たちの狂宴
4.散りゆく者たち
5.闇の胎動
6.煉獄の炎

answer.――― 76 点

―――流石、虚淵玄!と思わず膝を叩いて本シリーズにおける圧巻の仕事っぷりを激賞したくなったのは何も私だけではあるまい。本作はライトノベル界の三大犯罪者・奈須きのこがシナリオを担当したヴィジュアルノベル『Fate/stay night』の10年前を描いたスピンオフ作品。奈須きのこが用意した設定を虚淵が引き継ぐ形で―――と言うものながら、兎角に虚淵玄を激賞するために確認の意味で大前提を明らかにさせて頂くが、奈須きのこが用意した設定がそもそも圧倒的に面白くない事実。そう、いい加減、奈須信者は目を覚まそう。君の周りで一番くだらない人間が、本作の設定をとうとうと語ってみたとして、君は本当にそれを面白いと思えるか?何でも願いを叶えてくれる聖杯を巡り、日本の地方都市(限定)で七組の魔術師とその使い魔が毎度争う!使い魔は過去の(こじつけ気味な)英霊たちで、とりあえず、アーチャー、アサシン、キャスター、セイバー、バーサーカー、ライダー、ランサーなど(無理矢理区切った)属性からしてダサい。『月姫』に影響されてナイフとか買っちゃう信者(ども)から『Fate/stay night』の設定を発売前に嬉々として聞かされたとき、……え?信じられないくらいつまらなそうなんだけど、お前(ら)が創ったの?と真顔で訊いた俺が異端視されたのは未だ腑に落ちない。仮にこんなものを渡されて「さあ、料理してみろ!」なんて得意気に言われたら、アイアンシェフの俺でも匙どころか包丁投げて『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に旅立つわ。戻って、巷で指摘される通り、本作は脇役であるはずの「凡人」ウェイバー・ベルベットと「傑物」ライダーの物語。上記の救いようのないトンデモ設定を【使い魔の強弱の話】から【術者の才能の話】へと見事に昇華し、スピンオフ作品として理想的な未来(本編)へ希望託すバッドエンドへと導いた。ヴィジュアルノベルが元にある作品らしく主軸は戦闘描写に置かれているなかで、内なる葛藤―――術者の才能へのコンプレックスに焦点を絞っているのは00年代らしいアレンジ。もっとも、ヴァルハラ出身の虚淵玄でさえダサさを隠しきれなかったUFOとジェット戦闘機のバトル等、目に余るトンデモ設定によるトンデモ災難は無神論者の私には辟易したが、虚淵玄のドーピング気味の文章力で(まったく誤魔化し切れてないけど)誤魔化せているようなので、特に言及するのは控えようと思う。虚淵玄(が)、スゲーな。と感心するシリーズ。全6巻、合わせてのレヴューです。

星海社文庫:Fate/Zero/虚淵玄 (2011)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 虚淵玄

[edit]

page top

ガガガ文庫:アイゼンフリューゲル/虚淵玄

アイゼンフリューゲル
1.鋼鉄の翼
2.挑戦の翼
3.再生の翼
4.超音の翼
5.戦乱の翼

answer.――― 69 点

安打製造機ならぬバッドエンド製造機、それが本作の著者・虚淵玄である。私は著者を名前と作品名、その作風こそ知れ、実際に読んだのは本作が初めてである。それだから、読んで面食らったのは、もはや使い手はレッドリストにさえ挙げられる単語、四文字熟語を縦横無尽に駆使した文章だった。旧い―――ながらに、「それの何が悪い?」と読み手を見下ろす書き手としての矜持は実にCoolだ。肝心の内容は、世界初のジェットエンジン搭載型航空機が誕生し、空の王者ドラゴンにスピード勝負を挑もうとしたら、また戦争始まっちゃいました!突撃ィ~!というもの。……このあらすじで分かると思うが、設定はどうしようもない。ドラゴンとジェット戦闘機が争う姿を見て、私たちはどう思うだろうか?悪い意味で超現実的で、素に戻らされる。ドラゴンが絡んでくる前半は巷の評判もやはりイマサンで、早々に駄作認定されても仕方がない。それでも、流石は虚淵玄!と持ち直すのは、空想生物を排した戦争展開。特に一巻終盤(第三章・再生の翼)における戦争回想は戦闘狂垂涎のヴァルハラ絵巻。時を(実質)停めた描写、戦闘機に表情を与えた発想は膝を打つ表現美だった。ここだけのために金を払う価値があるだろう。ただ、この場面を除けば、ストーリー自体に(……結局、ドラゴンが主役なのね)なナンセンスが目立ち、万人が納得するエンターテイメントとなっていない。ラストは職人芸の、納得のバッドエンド。虚淵玄の一端に触れられる。がしかし、こんな書き方をすると「虚淵玄のことを何も分かってねえなぁ……」とファンからのマジもんの非難が予想されるので、虚淵玄を知るなら美醜の極みと云えるヴィジュアルノベル『沙耶の唄』をまずはお薦めしたい。……ファンの方、こんな感じで如何でしょうか?全2巻、合わせてのレヴューです。

ガガガ文庫:アイゼンフリューゲル/虚淵玄 (2009)

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 虚淵玄

[edit]

page top