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第17回電撃小説大賞 金賞:青春ラリアット!!/蝉川タカマル

青春ラリアット!!
プロローグ ミナギルチカラ
1.チキンと無愛想
2.レッツゴー三匹
3.フードファイター
4.君が好き
5.空に架かる虹のように
エピローグ スマイル/アゲイン

answer.――― 69 点
「文学ではない」という矛先を村上春樹の作品へ向ける理由として、登場人物たちの発せられる台詞が《日常》では有り得ない、というのがある。この観点で個人的に気になるのが、登場人物の台詞から判断される「ライトノベルではない」……というより、「ライトノベルらしい」台詞とは、―――さて、何ぞや?と。大衆小説とのクロスオーバー、そこからのボーダーレス化が進んでいる昨今のライトノベルだが、ライトノベルだからこそ映える台詞遣い、やり取りを《ライトノベル作家》を志す方々は矜持を持って突き詰めても良いと思う。とりあえず、―――「姑息亭チキン」。このフレーズを目の当たりにしたとき、思わず( ・з・)ヒュゥ~♪と口笛吹きますた。本作は、「バカの日本代表」月島の友人・宮本が、その月島にホの字の「根暗ドS少女」長瀬の恋路に付き合わされ、様ざまなピンチを迎えるコミカルな一作。兎にも角にも、台詞遣いが素晴らしい。文学はもちろん、大衆小説とも違う、まさに「ライトノベル」でこそ映えるセンスフルな台詞が躍る。その台詞に添える簡易な地の文、丁寧ながらも場面動く展開。これらの組み合わせには古参のライトノベラーならば、ある種の「懐かしさ」さえ感じるのではなかろうか。人間を描く《文学》、キャラクターを描く《ライトノベル》と漠たる区別をさせて貰えば、まさに「ライト」なキャラクターたちが陽性なピンチを迎え、騒いでいる。惜しむらくは、……カタルシスが無いこと。おそらく著者、ライトノベルをさして読まずに執筆してしまったのだろう。カタルシスとは何かについての考察の跡が無い。「面白い」のに何故、売れ切れないのか?それにはライトノベラーの心の闇を知るにかぎる。一解釈だけの「面白い」では駄目なのだ、ライトノベラーとは青い血を引く貴族なのだから。がしかし、平民の私は楽しめました。余談だが、3章「フードファイター」では大食い対決が執り行われるのだが、決して悪くない出来ながらも不満に思ってしまうのは、やっぱり『イリヤの空、UFOの夏』の影響だと思われる。何とも性質が悪い。

第17回電撃小説大賞 金賞:青春ラリアット!!/蝉川タカマル

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 60点 蝉川タカマル

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