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ら行の作家一覧

 ら行    

来田志郎
来楽零
藍上陸
リリー・フランキー

category: ら行の作家

tag: OPEN 作家一覧

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第9回スニーカー大賞 優秀賞:タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔/六塚光

タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔
(あらすじ)
最近、平磐は青い手袋姿の撲殺魔で話題騒然……って、最新の犠牲者は僕なのか!?主人公の三鶴城大助、通称・三助は隣家に引越してきた少女夏月に誘われた公園で、噂の怪人に殴られる。その正体は……夏月!?彼女は自分の幽体から武器を生みだせる異能者タマラセで、市内に急増するタマラセの力に目覚める者を止めるためやってきたのだ。可愛い怪力娘に頼られた三助は奇妙な能力者との戦いに突入する!

answer.――― 71 点

女児向けアニメを視聴することはまずないのだが、日曜のぼんやりとしたひと時に、リモコン片手にTV番組をザッピングしていれば、出会い頭の事故のようにそんな番組に辿り着くこともある―――『ふたりはプリキュア』、私はこの番組で同じくアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』における最強の使徒ゼルエルが捕食されるシーン以来の衝撃を受けた。そのシーンとはズバリ、ヒロインが殴って敵を倒す!というデカダン極まりない“肉弾戦”に他ならない。……ナニコレ?である。とりあえずエンディングが流れるまでの5分間は完全に思考はフリーズし、その後に「……日本が危ないっ!」と祖国の倫理について憂えたのは言うまでもない。しかし、ここにも敵を殴って戦う珍種のヒロインが一人。己の幽体を凶器へと変え、善事、ともすると悪事を働く魂裸醒(タマラセ)。自宅の隣へ引っ越してきた八阪井夏月は、実は夜な夜なカイゼル髭とターバンで変装し、「撲殺魔」として昼間に発見した魂裸醒たちを成敗していた!なんてストーリー。涼宮ハルヒ旋風が巻き起こらんとしていた時期のため、埋もれてしまった感はあるが、本作は隠れたライトノベルの良作。文章は派手さこそないが、それだからこそ(……巧い)と諸所で唸らせてくれる。コメディセンスも抜群で、主人公の発現させた魂裸醒「パープル・シックル」が太鼓のバチだった瞬間、そして、後半に棍へと成長した瞬間は爆笑せざるを得なかった。凡庸であることを推す主人公は多いが、本作の主人公は己の常識人っぷり―――己の凡庸さを何となく嫌う珍しい形なのも良い。コメディをベースにしながらシリアスなストーリーとして本作を捉えられるのは、事実上の「殺人」を主人公サイドが行うため。読了してみれば、よく練られている印象を持つことになるだろう。ただ、如何せん、破綻らしい破綻が女の子が殴って戦う以外に無いため、ライトノベルにしては地味には違いない。それでも、良作は良作。各レーベルにはこういう地力の備わった作家にこそ光を当てて欲しい。

第9回スニーカー大賞 優秀賞:タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔/六塚光

category: ら行の作家

tag: OPEN 70点 六塚光 スニーカー大賞優秀賞

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第18回電撃小説大賞 銀賞:勇者には勝てない/来田志郎

勇者には勝てない
1.転校生には勝てない
2.泣かれると勝てない
3.妹に勝てない
4.仲間Aにまで負けられない
5.勇者には勝てない

answer.――― 70 点

異世界で勇者に敗れた魔王に次ぐ実力の持ち主たち―――彼らは三魔将と呼ばれ、かつては人間たちを恐怖のどん底に突き落としていたが、今や三人は現代日本に人間として生まれ変わり、平凡な高校生としてノンキな生活を送っていた。しかしそんな平和な学園生活に乗り込んできたのは仇敵・勇者だった!現代で元魔王軍の三魔将が謝り倒す、学園ファンタジー!……そんなあらすじに立ち塞がるのは、<二番煎じ>のレッテル。前回の電撃大賞で同じく銀賞を受賞した『はたらく魔王さま!』が好評を得て順調に刊行されているなか、選んだ選考委員からも総じて指摘されている通り、<二番煎じ>感が何よりの本作の作品的ウィークポイント!なのだが、恥ずかしながらその比較対象作を未読のために、ストレートに評価をさせてもらえば、本作はライトノベルらしい隙間コメディが好展開。三魔将のプライドをかなぐり捨てた<生>への渇望は、過去の自分たちの悪行への反省を含め、思わずニヤけてしまった。勇者との絶望的なまでの戦力差、その癖、これまた途中で合流することになる魔王への忠誠も情けないまでに本物なのが良い。勿体無いのは、仲間Aの扱い。本作での勇者の埋没気味のキャラクターは次巻以降の演出次第でどうにでも取り返せるとして、仲間Aが早々に己の恋愛フラグを折ってしまってはいけない。この設定なら、誰しも合法的な「百合」路線を期待したくなる筈。この設定でラブコメでは無い事実、そして、今どきのライトノベルにしては珍しいくらいに媚びた場面がないので(……硬派な作家だな)と感心したが、これは単純に「萌え」が思いつかなかっただけなのかもしれない。隙間コメディならではの王道を歩む展開を支える「読ませる」構成力もある。あとは、読者が<二番煎じ>な設定をどう判断するか。突き抜けたギャグや場面が無いのも欠点かな?個人的には、十分楽しめました。

第18回電撃小説大賞 銀賞:勇者には勝てない/来田志郎

category: ら行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 70点 来田志郎

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電撃文庫:ロミオの災難/来楽零

ロミオの災難
これは
一冊の台本より
始まった
恋をめぐる
ちょっと
怖い物語。

answer.――― 72 点

第12回電撃小説大賞<金賞>受賞作『哀しみキメラ』でのデビュー後、著者にとって初となる単発の書き下ろし作品。その内容は表題から察せられる通り、シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を用いたハイスクール・ミステリー。古典の名作を拝借するアイディアは、野村美月の代表作『文学少女』シリーズを想起させるが、出版時期から鑑みても、あながち邪推とまでは言い切れないだろう。肝心の内容は、―――大胆さに欠けながらも、本家と比して無下に扱き下ろされないクオリティー。概要としては、演劇部の面々が『ロミオとジュリエット』の脚本を見つけたことから始まる「憑依」ミステリーで、唐突に女も男(笑)も主人公に惚れるハーレム展開はそのまま受け取ればコメディにも映るはずだが、著者の高い筆力によって主人公の戸惑いが終始しっかりと根付き、安易な<恋愛>を許さないのが素晴らしい。この恋は自分のモノなのか、他人のモノなのか。登場人物はクライマックスである文化祭、その劇の終わりまで戦うことになる。コメディタッチに半ば命を賭けた劇の出来はもちろんだが、何気に秀逸なのはその劇の<準備>だろう。劇の演出を協議する場面は場面としてとても新鮮で、作家としての仕事点が高い。惜しむらくは展開の起伏が少ないために冗長に感じてしまう点、そして、主人公の謎の一人称。この主人公、台詞は「俺」とし、地の文は「僕」としている。仕掛けなんだとばかりに期待していたら、どうやら特に意味は無いようだ。これが非常に残念。主人公自身、無意識下で乗っ取られている感覚があった、と言及しているのだから、この仕掛けを通じて意識「化」して欲しかった。しかし、それを差し引いても、良質なライトノベルには違いない。演劇を題材している物珍しさも含め、ライトノベルというジャンルに貢献している一作。良いと思います。

電撃文庫:ロミオの災難/来楽零 (2008)

category: ら行の作家

tag: OPEN 70点 来楽零

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第3回本屋大賞 1位:東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~/リリー・フランキー

東京タワー
(あらすじ)
1960年代。3歳のボクは、遊び人のオトンを捨てたオカンに連れられ、小倉から筑豊のオカンの実家に戻ってきた。オカンは女手ひとつでボクを育てた。オカンの作る美味しいご飯を食べて、ボクは成長した。15歳になって、ボクはこの町を出て行きたくなった。大分の美術高校に入学し、東京の美大をなんとか卒業するが、仕事もせずに、仕送りしてもらい、更に借金を重ねていた。そんな中、オカンが癌に侵されていることが分かった。

answer.――― 76 点

イラストレーター、ライター、エッセイスト、フォトグラファーに俳優、etc…とマルチタレントなのかさえ分からない謎の男リリー・フランキー。本作は彼の初の長編小説であり、200万部突破という正真正銘のベストセラーとなって、TVドラマ化、映画化、そして、舞台化と変化に変化を重ねた一作。「泣いてしまった……これは、ひらかなで書かれた聖書である」など際どく喧伝されたように、結論から言って、泣けた―――が、これは<母>を扱う作品なら当然のオプションで、読者としてはそれ以外の<Something>を求めたいところ。そういう意味で、人によっては「自伝」という要素がその<Something>に挙げられるかもしれない。リリー・フランキーへの興味の有無。それが本作を楽しむ上での隠し味になりそう。個人的に、リリー・フランキーと云えば、「おでんクン」をデザインした人程度にしか思っていなかったので、変な色眼鏡を掛けることなく読了。そんなフラットな視点から言及させてもらえば、文章と文章の繋ぎに拙い部分が目立つ。それは序盤に顕著で、制作期間「4年」という歳月を鑑みても筆が乗り切れてないのが関係しているんだろう。また、オカンへの感謝を綴る終盤こそ「オカン、愛してる!」のハートフルな展開だが、ストーリー的にはオトンが陰の主役と言っていい。というのも、「自伝」という事実を省いてしまえば、本作の内容は平均的だからだ。その点、オトンは良い。現実的にも(関わりたくないけど)面白いキャラクターだし、創作的にも謎らしい謎を孕み続けるキャラクターだ。本作は自伝だけあって、オカンを喪う間際、教訓が散りばめられている。私も経験的に「ありがとう」と「末期の水」、については思うところがある。皆さんも心に留めておいてください。

第3回本屋大賞 1位:東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~/リリー・フランキー

category: ら行の作家

tag: OPEN 70点 リリー・フランキー 本屋大賞

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第12回電撃小説大賞 金賞: 哀しみキメラ/来楽零

ブギーポップ
1.落下《初夏》
2.共食い《再び初夏》
3.反転《冬》
4.ヒトデナシ《冬》
5.百鬼夜行《冬》

answer.――― 68 点

複数の生物がひとつの個体として混ざり合う状態・キメラ。ある日、エレベーターに閉じ込められた4人の主人公たちは異形の<モノ>に襲われた。気味の悪い錯覚。そう思いつつも、目の前に在ったはずの日常はその日を境に過去のものへと変わってしまった―――。
「幽霊が視えるようになる」など進行する化生化は主人公たち、4人各々が自分たちの今後の生き方への問い掛けを迫るものとなっていく。半人半妖、そうして、当然と犯してしまう《殺人》は物語として良いアクセントだった。語彙に頼らない、シンプルながら力強い筆力で人間ドラマを展開出来ている点が素晴らしい。残念なのは、クライマックスである5章で目に見えて筆力が落ちること。読みやすさを追求したというよりも、単純に描き切れなかったように感じる。ただ、金賞らしい物語としての厚みはあったので、その辺はこの第12回の出世頭・銀賞『狼と香辛料』に足りない要素を本作は持っていたと云える。その代償として話が完結しているため、続刊を読みたいとは思わせないのが営業的難点か。ちなみに、本作における<モノ>とはモノの怪、憑きモノ、といった妖怪の類なのだが、それを<モノ>と現代的に表現している―――のは、明らかな失敗。<モノ>と連呼される度、説明口調に感じ、微妙な不快感がこめかみに溜まっていきました。

第12回電撃小説大賞 金賞: 哀しみキメラ/来楽零

category: ら行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 60点 来楽零

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第5回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:ブール・ノアゼット 世界一孤独なボクとキミ/藍上陸

Beurre・Noisette
1.神さまの在処
2.平和に至る方法論
3.焦がしバターの焦がし方
4.『彼女を好きになってはいけない』
5.サイコロは、きっと転がらない
6.機械仕掛けの神
7.ブール・ノアゼット

answer.――― 26 点

これはまた、酷い……と思いつつ、著者自身に若干の興味を持ってしまった奇抜な作品。イジメられっ子が転校してきて、ハイスクール・ライフをリセットしようとしたら「あなた、神さま、憑いてるよ?」なる奇天烈な発言をかまされて、……なんて突飛な概要を書こうと思ったが、これは書く程のものではないな。SD文庫のHPに記載されている選考委員たちの否定的なコメント群からも分かる通り、最終選考に残っているから仕方なく、嫌々、渋々ながら……のおおいに消極的な方針で受賞した本作の主題は、「神」。冒頭にも書いたが、あまりにあまりな精神年齢幼い内容。ネタバレとなってしまうが、「神」とは<著者>であり、ラストシーンで絶体絶命のピンチに陥る主人公の願いを叶え、去るという暴挙は実にアマチュア的で結構、もう結構!それで締め括りの台詞は「みだらちゃん!毎日毎日、毎朝毎昼毎晩えっちしよう!そして、三時のおやつには一緒にお菓子を食べよう!」としっかりキメてくる。そんな安物のドラッグをキメて飛んでる童貞の著者に興味を持ち、HPにサーフィンしてきたが、……なるほど、ただの馬鹿だが、感性は悪くないようだ。文章実験を語るところを見るに文章への拘りを感じるので、その方向でプロを目指して欲しい。とりあえず、お金と時間、返して下さいp(´⌒`q)オネガイ

第5回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:ブール・ノアゼット 世界一孤独なボクとキミ/藍上陸

category: ら行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 20点 藍上陸

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