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第1回ファンタジア大賞 準入選:スレイヤーズ!/神坂一

スレイヤーズ
1.気をつけよう 野盗いびりと夜の宿
2.悪役は わすれなくてもやってくる
3.大ピンチ! 捕まっちった(情けなや……)
4.見せましょう! あたしの実力今度こそ!
5.エピローグ

answer.――― 65 点

90年代の三大ライトノベルとは何か?それはあの当時に思春期を迎えていた人ならば10人が10人、同じ答えになるはずだ。すなわち『ロードス島戦記』『魔術士オーフェン』、そして、本作『スレイヤーズ』である。『ロードス島戦記』が旧来の型を継承した、語彙豊富な格調高い文章だったのに対し、世紀のヒロイン・リナ=インバース(15)の底抜けに明るい一人称はかのジョン・ライドンの声のように高らかにラスト・パンクス(まだ迫害の憂き目に遭っていたオタク第三世代、最後のオタクらしいオタクたち)の魂を揺さぶった。本作の「俺でも読める、読めるぞ!」と読書の敷居を間違いなく低くした功績、リナ=インバース&林原めぐみの奇跡の邂逅、(つまりは)同作のアニメ化による眠れる腐女子を徹底的に開拓した功績はもはや1000万スウェーデン・クローナ程度で済む話ではない。実際、アニメ化以降の、『スレイヤーズ』さらなる快進撃は法改正により廃された毎年恒例・芸能人長者番付にひょっこりと「神坂一(小説家)」と場違いにも何年にも渡って載り続けた事実が証明してくれる。2012年、今や隆盛の極みに達しようとしているライトノベルの夜明けは、この『スレイヤーズ』から始まった!と言っても過言どころか、お前なぁ、そもそもな話……と呆れられるほどに歴史的事実なのである。さて、『スレイヤーズ』シリーズ記念すべき第一作となる今巻の内容は、赤眼の魔王シャブラニグドゥの復活に関わる陰謀劇。改めて読んで分かるシリアスとユーモアの絶妙のブレンド、著者のバランス感覚が素晴らしい。ハイライトは第三章における拘束されたリナへ向けた敵役の「―――この娘を犯せ」から始まる亜人たちのたらい回しのやり取りだろう。確かに亜人なんだから、人間を犯せと言われても戸惑うわな。犯すというスパイシーな要素をロジカルにコメディに仕立てたところは、今の作家も見習うべきだね。戦闘場面も案外なまでに読め、素直に見直させて頂きました。名作です。

第1回ファンタジア大賞 準入選:スレイヤーズ!/神坂一

category: か行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 60点 神坂一 三大ライトノベル

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