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第4回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:昔、火星のあった場所/北野勇作


1.火星の短い夏:桃太郎起動
2.火星の冬:カチカチ山駅跡地
3.昔、火星のあった場所:猿蟹合戦集結

answer.――― 70 点

タヌキに化かされた、とでも評せば良いのか。「昔、火星のあった場所」なんていうSFファンを狙い撃ちにしたかのようなタイトルを持つ本作。概要としては、とあるふたつの開発会社の競合によって分解してしまった火星をどうにか再開発しようというストーリー。各章タイトルが示すように、昔話を小道具、あるいは下敷きに読者をガイドする。一読して思うことは、レヴュー冒頭の通り、「タヌキに化かされた」感がつきまとう。……おや?と首をひねる頃に各章、各物語が終わり、自分が用意された設定に転ばされていることに気づく。これを面白いと取るかが評価の分かれ目。私はそこを灰色に決着。ただでさえ抽象的で入り組んだ話に、昔話のガイドは必要性を感じられなかった。面白かったのは、「彼女」の存在。おそらく誰しもが魅力的に映るこの登場人物は、著者の間取り上手い書き口だからこそ生まれたように思えるため、そこに稀少価値を感じる。ラストはMr.Childrenの「イノセントワールド」の歌詞のようなメランコリーな名シーン。何かに疲れてきたときに読むと良いかもしれないファンタジー作品だった。さて、公務のなか、このブログを覗いているであろう友人に私信をば。この著者、―――あの最強の釣りタイトル『ザリガニマン』の著者のデビュー作みたいだぜ!

第4回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:昔、火星のあった場所/北野勇作

category: か行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 70点 北野勇作

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