ナマクラ!Reviews

08/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./02

第1回電撃小説大賞 大賞:五霊闘士オーキ伝 五霊闘士現臨!/土門弘幸

五霊闘士
1.焦げてから邂逅
2.殺意
3.天翔る影
4.闘う理由
5.土に潜む魔
6.謀略の空間
7.邪貌の美女
etc...

answer.――― 62 点

栄えある第1回電撃小説大賞(旧題:電撃ゲーム小説大賞)大賞作。第一声を求められるなら、驚いた、というのが正直なところ。ストーリーそれ自体はゴレンジャーを模した内容になっているが、驚くべきはその文章。出版されたのが90年代半ば―――にして、ほぼ<完成>している。<完成>とはどういう意味かと云えば、20年近く経た現在でも違和感が無いのだ。ライトノベルは大衆小説と違い、普遍性ではなく、ある種の尖鋭性を求められていると思うが、現時点での最たるライトノベルの到達地点はキャラクターの特化に置かれていると思う。それは同時に、一人称(的)視点と三人称のギザ、ギガントな合流を―――阿呆らしくなったので止めるが、要するに、この作家の文章は先取りだったな、と。さすが、『小説ドラゴンクエストⅦ』の執筆を任されただけのことはあるな、と。中途半端に文章について言及してしまったが(カット、カァーット!と書き上げた後、自主規制した)、小説としての内容は、麒麟ユニットを筆頭とした五霊闘士(ゴレンジャー)vs宇宙犯罪者集団・六舞衆(/゚Д゚)/タスケテェー!!ご想像の通り、諸手を上げて面白いというものではない。また、ライトノベル黎明期にありがちなTEENを意識しつつも、血を撒き散らしながら首が飛ぶ、無抵抗のJKの内臓を引き摺り出す……など、特に意味も無いやり過ぎコージーな描写が散見。聞くところによると、続刊では表紙中央を陣取る妹系ヒロインがマジもんのレイプ被験者という壮絶過ぎる過去が判明するらしく、……この時期のライトノベル作家の無法っぷりに冷や汗を掻かざるを得ない。ちなみに、ヒロインは主人公を「お兄ちゃん」と呼びます。

第1回電撃小説大賞 大賞:五霊闘士オーキ伝 五霊闘士現臨!/土門弘幸

category: た行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 60点 土門弘幸

[edit]

page top

第1回電撃小説大賞 金賞:クリス・クロス 混沌の魔王/高畑京一郎


1.地下一階
2.地下二階
3.地下三階
4.地下四階
5.地下五階
6.魔王の間
7.幻影の呪縛

answer.――― 57 点

日本初のヴァーチャルRPGノベル―――そんな謳い文句の真偽はさて置いて、本作の知名度を近年飛躍的に高めたのは、第15回電撃大賞受賞作『アクセル・ワールド』の著者・川原礫のもうひとつの代表作『ソードアート・オンライン(以下、SAO)』の存在だろう。どちらか一方を読んでおけば、もう一方は読まなくて済むほどにストーリーから展開、結末まで綺麗にCoverされている。同じ台詞に出くわしたときなんてまさしく鳥肌もの、人によってはこの部分でも楽しめるかもしれない。本作とSAOの違いを敢えて言及するならば、ガンダムVSガンダムZZくらいの差だろうか?本作、模倣作にしっかり語彙、エンターテイメントの面で負けている。ただ、そこは高畑京一郎。起承転結、お手本のような展開美はこの当時から発揮されている。もっとも本作を読むならSAOを薦めるし、高畑京一郎の作品を読むなら次作『タイム・リープ あしたはきのう』を薦める。本作の出来は旧時代的なものだ。トリヴィアになるが、『タイム・リープ あしたはきのう』はSFの大御所・筒井康隆の名作『時をかける少女』を大胆にサンプリングした結果、各方面より「90年代の時をかける少女!」と称えられている(←良い意味で)。SAOのルーツを知りたい人はどうぞ。

第1回電撃小説大賞 金賞:クリス・クロス 混沌の魔王/高畑京一郎

category: た行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 50点 高畑京一郎

[edit]

page top

第1回電撃小説大賞 銀賞:冒険商人アムラフィ 海神ドラムの秘宝/中里融司

冒険商人
1.追跡、爆発、大誤算!
2.暁の出帆、白昼の挫折
3.オアンネスの少年
4.扉を開け、愛と涙と信頼と
5.ティールよ永遠に
6.決戦ルビアーク
7.花と咲け、冒険商人
etc...

answer.――― 60 点

今は亡き中里融司の公的な出自は漫画原作者とのことだが、そこから小説家転向を飾ったのがこの第1回電撃ゲーム小説大賞(旧題)での銀賞受賞。著者の漫画原作者という出自を知らず、読書中、終始つきまとっていた雑感が「何か漫画みたいだな……」だった。海、宝、戦争、魚人、冒険などの共通項もあり、本作はどこか漫画「ワンピース」を想起させる。ただ、それを想起させる最大の理由は、目まぐるしく動く場面とその展開―――喜怒哀楽、キャラクターの切り替え早い感情表現から。スケールの大きいストーリーは概してもたつくものだが、そこは漫画原作での経験、必要不可欠な感情のみを採用しているのが良い。これは面白い!と言うつもりは全くないが、一概に「旧い」と切り捨てるには惜しい、裏技のようなテクニックを感じる。1994年出版ということもあり、この騒ぎを奇貨として、万夫不当……など昨今のライトノベルでは見慣れない単語も目に出来る。最近は台詞に力を入れている作品は多いが、こういう地の文の強さが欠ける気がするのよね。今の作品のほうがエンターテイメントの面で優れていると思うが、作家としての基礎力は確実に落ちていると思う。漫画的ファンタジー小説、何かを学ぶつもりで読むのも一興かも。

第1回電撃小説大賞 銀賞:冒険商人アムラフィ 海神ドラムの秘宝/中里融司

category: な行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 60点 中里融司

[edit]

page top