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第4回電撃小説大賞 大賞:ブギーポップは笑わない/上遠野浩平

ブギーポップ
1.浪漫の騎士
2.炎の魔女、帰る
3.世に永遠に生くる者なし
4.君と夜空を
5.ハートブレイカー

answer.――― 72 点

電撃文庫をライトノベルの絶対王者へと誘ったのは、本作―――と断言したら、未だ選考委員として御活躍中の高畑‘‘時をかける’’京一郎先生は咳込むのだろうか?スニーカー文庫の『ロードス島戦記』、富士見ファンタジア文庫の『スレイヤーズ!』、あるいは『魔術士オーフェン』……大手のレーベルについて回る看板作品を当時、電撃文庫は持っていなかったが、本作の登場によって、少なくとも電撃文庫のカラーが決まったのは間違いない。世界の危機に関わる異変を察知したときに現れるブギーポップ。単なる都市伝説、噂に過ぎないと思っていた高校生・竹田啓司の前に現れたのは、筒のような帽子とマント、そんな噂通りのブギーポップ―――の格好をした自分のガールフレンド・宮下藤花だった。それぞれの登場人物の視点からストーリーを重ね、物語の全容が明かされる本作は、現代文学にも通じるモラトリアムに満ちている。アオハル・シンドロームというか、わずかなアンニュイを抱えた日常はお洒落に飾られ、それはデザイナーの道に進む主要登場人物がいたり、ピンクフロイドの《原子心母》が口笛で吹かれたりと、必ずしも物語に必要では無い設定・行動から確認できると思う。言うなれば許された現実逃避で、これは《新しいライトノベル》と呼ぶに相応しかった。よくある現代文学とよくあるライトノベルの折衷の結果(ex.1章)に違いないのだが、そこに素直に現代文学に流れられない層(主に学生)は掬われた、見事に「俺、まだ大人にならなくて良いんだ!」と救われてしまった。マクロ的に考えてみれば、衰退殊更著しい文学、隆盛著しいライトノベルの立役者こそ本作なのである。上述した構成も面白く楽しめたが、終盤、お約束のように戦闘モノになるのには参った。あれ?そっちに行くの?と戸惑うままに物語が集約、あとがきへと流れる……まあ、次巻以降は戦闘が事実上のメインになるので元からそういう話だったのだろう。次巻のタイトルはまんま「VSイマジネーターPart1」だし。一章は今読んでも「一風変わった」印象を受けるはずなので、未読のライトノベラーはお試しあれ。

第4回電撃小説大賞 大賞:ブギーポップは笑わない/上遠野浩平

category: か行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 70点 上遠野浩平

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第4回電撃小説大賞 金賞:猫目狩り/橋本紡

猫目狩り
(上巻)
1.生と死 
2.CK
3.中国女狩り
4.過ぎ去りし夢
(下巻)
1.ハンプティ・ダンプティ 
2.愚者たちのダンス
etc...

answer.――― 56 点

『半分の月がのぼる空』にてブレイクを果たした橋本紡、本作はそのデビュー作。巷ではウィリアム・ギブソンの出世作『ニューロマンサー』のパクリと揶揄されているが、事の真相は同作未読の私には判断しかねる。さて、本作にはある種のナルシズムが漂う。I am Tsumugu Hashimoto,nice to meet you!と言おうか。バリバリの日本人の発音で自信満々に握手を求めてくる帰国子女と言おうか。そんな振り返ってみると、人生の汚点に数えたくなる青さが所々で見え隠れする。外国から外国へ舞台を移動させたり、ロリ風味のババアをジャンキーにさせたり、あまり見かけない羽目の外した方は面白く映るが、……どうだろう?現在、一般文芸の作家として活躍している橋本紡。その自身の作家人生がライトノベルから始まったことを黒歴史として封印しているように、やはり本作はいざ振り返ってみたとき、ヤッちゃった感があるのでは?合掌、な一作。上下巻、合わせてのレヴューです。

第4回電撃小説大賞 金賞:猫目狩り/橋本紡

category: は行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 50点 橋本紡

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第4回電撃小説大賞 銀賞:僕の血を吸わないで/阿智太郎

僕の血
1.窓からの侵入者
2.居候はお静かに
3.森写歩朗の受難
4.森写歩朗の試練
5.ジルは何処
6.決戦の時、勇者の名は森写歩朗

answer.――― 53 点

電撃文庫の黎明期(というには微妙な時期だが……)を支えた早熟の天才・阿智太郎のデビュー作。内容は言わずもがな、ラブコメディ。文体はこれまた言わずもがな、あかほりさとる直系の改行多発な脚本小説。阿智太郎の作家スタイルはデビュー以来、まったくブレがない。本作最大の魅力は活字嫌いの10代に、教科書以外の本という媒体を身近にさせる点にある。軽快な文章に、軽快なジョーク。現実の学校にはいない気安い女の子たち。本作は初めてのライトノベル、そんな読者としてのデビュー作の位置付けが適切だろう。逆に云えば、すでにライトノベラーになっている人には、敢えて読む意味もない作品だ。脚本小説と上記で謳ったが、実際、劇中劇が盛り込まれている。ご都合主義なども大変目立つが、意外に工夫しているのが阿智太郎クオリティかな?

第4回電撃小説大賞 銀賞:僕の血を吸わないで/阿智太郎

category: あ行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 50点 阿智太郎

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