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第5回電撃小説大賞 金賞:学園武芸帳「月に笑く」/白井信隆

学園武芸
1.序章
2.古流の男
3.抜刀の一本背負い
4.四天王
5.修羅と鬼、柔と剛
6.岬高校と顛末

answer.――― 53 点

新旧ライトノベルの大きな違いは登場キャラクターの男女比だと思うが、それとともにキャラクターの中性化もあるように思える。そのために中途半端に<お約束>を施した旧作には加齢臭とさえ言いたくなる男臭さが漂い、忌避反応さえ出てしまう。岬高パルチザン、岬高六将軍、ヤクザを後ろ盾にした不良グループ「白虎隊」……週刊少年サンデー連載の『史上最強の弟子ケンイチ』を想起させる設定を持つ本作は、学園武芸帳と表題に置くように、多彩な格闘シーンをセールスポイントにした作品。空手、柔術、ボクシングなど格闘技を極めたハイスクールな面々が、(リアルに)狂気を孕んだ台詞を披露しながら―――なんてまとめようと思ったが、よりシンプルに云えば、本作はいわゆる大真面目型トンデモ系高校生バトル。さらりと格闘技に人生を賭けた高校生の腕や足を再起不能にしたり、主人公が事故でない人殺しを告白したり、ウン百人殺した暗殺者(大人)がラスボスだったり、と……オ尻ハ、ムリポ(;´Д`)となること必至の男臭さが満ちている。ただ、やはり思うことは<戦ってるだけで最後まで読めるモンなんだな>と。そういう再確認を出来る作品でした。

第5回電撃小説大賞 金賞:学園武芸帳「月に笑く」/白井信隆

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 50点 白井信隆

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第5回電撃小説大賞 銀賞:コールド・ゲヘナ/三雲岳斗


1.なまくらバーン
2.アイス
3.切音
4.フレイマン
5.約束の地
6.遺跡
7.コールド・ゲヘナ

answer.――― 52 点

舞台は、天空に美しい環を抱く砂漠の惑星ゲヘナ。魔獣闊歩するこの星で人類を護れるのは、超音速で地上を駆ける人型兵器デッドリードライブだけ。主人公バーンは、謎の少女アイスを助けたことから、人類の未来を賭けた戦いに巻き込まれる…………読み切りの漫画を思わせるザックリとした設定と物語の運びは、ライトノベルの興隆期とも云える現在ではやはり拙く映る。ストーリーよりも、バトルに重きを置いている印象を受けるが、造語入り乱れるバトルシーンは挿し絵の質とタイミングを含め、残念な仕上がり。ほぼ同時期に、スニーカー文庫では『ラグナロク 黒き獣』が大賞を受賞しているが、同じバトル小説として比較してみると、同じ人類の最終兵器でも、デッドリードライブではラグナロクにはどうやら太刀打ち出来そうにない。本作の読書中、場面場面、既視感が続いていたが、『フール・フォー・ザ・シティ』と『ファイブスター物語(以下、FSS)』―――知る人ぞ知るヲタクたちのゴッドハンド・永野護の漫画だと気づいた。二作品を併せたような設定。まあ、SFだから似かよるのはしょうがない。しかし作者、FSS好きなのだろうか?そう考えてみれば、挿し絵のデッドリードライヴがデヴォンシャに見えなくも(ry

第5回電撃小説大賞 銀賞:コールド・ゲヘナ/三雲岳斗

category: ま行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 50点 三雲岳斗

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富士見ファンタジア文庫:フルメタル・パニック! 戦うボーイ・ミーツ・ガール/賀東招二

フルメタルパニック
1.プロローグ
2.通学任務
3.水面下の状景
4.バッド・トリップ
5.巨人のフィールド
6.ブラック・テクノロジー
7.エピローグ

answer.――― 76 点

著者自身は本作のジャンルを<冒険活劇もの>とあとがきにて括っているが、後には作中に登場するロボットが人気ゲーム『スーパーロボット大戦』に採用されたように、ジャンルとしては<ロボットもの>に括られるのが適当だろう。そのゲームに採用されたロボットこそアーム・スレイブ、通称<AS>と呼ばれる人型強襲兵器。シリーズではこの<AS>が縦横無尽に活躍する。それはシリーズ一作目である本作でも変わらない。物語は対テロ極秘傭兵組織ミスリルに所属する最年少のエージェント・相良宗介が一般人として高校に潜入し、仲間と共に千鳥かなめを秘密裏にボディーガードするという特殊任務を与えられることから始まる。がしかし、いきなり白煙膨れるプロローグでも分かる通り、本作はミッションこなすシリアス一辺倒のストーリーではなく、幼少時から激戦地を渡り歩いてきた主人公が平和な学園生活に馴染めずに、ひたすら失敗を繰り返すドタバタコメディが織り交ぜられる―――これが面白い。<フルメタル・パニック>はシリーズ累計1,000万部突破という押しも押されもせぬライトノベル界の金看板作品のひとつだが、その成功はひとえに著者のこのコメディセンスにあることは間違いない。そう、本作もまた、富士見ファンタジア文庫の2トップ『スレイヤーズ』『魔術士オーフェン』同様に、本編よりも<外伝>でセールスを伸ばした作品なのである。それでも、この一巻にかぎれば、著者はシリアスとコメディを前半と後半に見事に振り分けた白眉の構成力を披露。作品舞台を学園から北朝鮮にまで移動させる展開に無理がなく、また、ロボットという小説に不向きな題材を違和感なく使いこなせているのが素晴らしい。終盤にはシリーズでも読者の関心を遠ざけるブラック・テクノロジーというご都合の良さそうで悪い設定が発露してしまうが、本作の時点ではそれもご愛嬌に受け取れる。何にせよ、90年代終盤から00年代序盤のライトノベル界を華やかに彩った名シリーズの幕開けに相応しい充実のザ・ライトノベル。適度に適当な専門用語の散りばめ方も上手い。画像は、新装版より。

富士見ファンタジア文庫:フルメタル・パニック! 戦うボーイ・ミーツ・ガール/賀東招二 (1998)

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 賀東招二

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第5回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:月と貴女に花束を/志村一矢

月と貴方に花束を
1.プロローグ 
2.目覚めれば新婚さん 
3.月と星の下で
4.そして、満ちる月
5.二人の光
6.エピローグ

answer.――― 55 点

読了後、レヴューはさて、何と書こうかしらん?と考えて、とりあえず、あらすじを読んでみたら、このあらすじがそのままレヴューになりそうなので載せてみる―――「変身できない」狼男、月森冬馬は人狼族であることを除けば、いたって平凡な大学生……のはずが、ある朝目覚めた冬馬を待っていたのは、彼の妻と名乗る見知らぬ美少女・深雪だった。とまどいながらも次第に深雪にひかれていく冬馬。しかし、かつて冬馬に重大な悲劇をもたらした妖術士・御堂巽が現れ、二人は否応もなく戦いの渦へと巻き込まれてゆくことに……。本作はこのあらすじから想像出来る通りの、「王道」的作品。王道故にシリーズとなり、著者は道を外すことなく、全6巻+短篇集2編を上梓することに成功した。飛び抜けて面白くなくても、出版されてしまえば、「王道」が連れて来てくれるファンの多さよ。さすがに時代性を感じるのが、必殺技があること。若干、読んでいるコッチが恥ずかしくなる不思議。

第5回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:月と貴女に花束を/志村一矢

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞選考委員奨励賞 OPEN 50点 志村一矢

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文春文庫:池袋ウエストゲートパーク/石田衣良

池袋
(あらすじ)
果物屋の息子で普段は池袋西口公園(IWGP)で屯しておいる“池袋のトラブルシューター”真島誠。持ち込まれるしばしば困難な依頼を持ち前の好奇心と偏差値の低さに反比例する機転の良さで解決していく。刺す少年、消えた少女、潰し合うギャング団……今夜も転がり込むトラブルを退屈しのぎに池袋を駆け抜けろ!

answer.――― 81 点

一昔前なら中堅作家の筆頭格に挙げられただろう石田衣良、その代表作。本作を語るとき、切っても切り離せないのが、クドカンこと宮藤官九郎の脚本によるTVドラマ。主演に長瀬‘TOKIO’智也、ヒロインに加藤‘温泉盗撮’あいの他、窪塚‘キング’洋介、佐藤‘ルーキー’隆太、妻夫木‘天地人’聡、坂口‘世界の荒鷲’憲二を脇に固め、果ては酒井‘ビビる’若菜、「松山」小雪、渡辺‘spモード’謙などをチョイ役に起用という現在ならば有り得ないキャスティングは豪華の一言で、視聴者からのリクエストに応えて制作されたスペシャル版では演者たちの多忙により、ほとんどが別撮りで仕上げられるというまさにチグハグなドラマとなった。もっとも、TVドラマでの一番のサプライズはそもそもの話、原作の面影はどこよ?となるクドカンお得意の原作レイプにある。本作は連作短篇の形を取っている訳だが、ドラマで使用されているのは実は<第一章>のみで、それも読んでみれば原形を留めない大改編が行われていることに気づく。そして対比してみれば、まさかの「ドラマ>原作」の事件を目撃することに―――もっとも、原作は原作で十分なエンターテイメントを提供しているのも事実。石田衣良らしいセックス&フレンドシップな作風で、愁眉は主人公のKissから始まる夜は熱く、Because I’m a Masochist!な性交場面……M気質の人は勃起しちゃうので通勤中は気をつけて!石田衣良を知りたければ、本作を読むだけですべてが分かる作品。

文春文庫:池袋ウエストゲートパーク/石田衣良  (1998)

category: あ行の作家

tag: OPEN 80点 石田衣良

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