ナマクラ!Reviews

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第11回ファンタジア大賞 準入選:覇壊の宴/日昌晶

覇壊の宴
1.遠い国から来たサラリーマン
2.PKOがタンクでやって来る!
3.変化の胎動
4.邪神たちの輪舞曲
5.闘争と逃走の果てに
6.狂気の宴
7.降臨

answer.――― 60 点

ヒヒヒと云えば、日日日(あきら)を思い浮かべるのがライトノベル界隈に棲みつく飛べないピーターパンたちの常識ではあるが、実のところ、ライトノベル界にはもう一人、ヒヒヒな名を持つ作家がいることを貴方はご存知だろうか?―――その名は、日昌晶。ヒヒヒヒヒヒな彼こそ第11回ファンタジア長編小説大賞準入選に輝いた本作の著者であり、現在は日本ウノ協会会長を務め、小説教室ラノベりあんの主宰者として新たなラノベ作家を界隈に送り込む、日日日よりも先にデビューした初代ヒヒヒである。そんな初代ヒヒヒとしてのデビュー作な本作の出来といえば、重々しい表題通りにシリアス。概要としては、エルフにドラゴン在中なファンタジーな異世界と繋がった地球を舞台に、うだつの上がらないサラリーマンが例によって異世界へ左遷され、血飛沫舞う陰謀に巻き込まれるというもの。読んでいて面食らったのは、肝心のそのサラリーマンは主要登場人物の一角に過ぎず、ストーリーの進行はもっぱら表紙の後方で反目し合うラースター、ヴィースの女性二人という群像劇な造り。そして、およそ昨今のライトノベルで見掛けられない万単位の激突、しっかり「戦争」する展開だ。この辺は時代性こそ感じるものの、現在のライトノベルが失った良い意味での粗さ、ダイナミクスを確認出来る。自衛隊のPKO活動、ダイオキシン、核問題と出版当時の時事ネタも取り入れているあたりは社会派……というよりも、M2、M3A1、H&K等など分かる人には分かる銃器な単語をバンバン入れてくるので、その辺は著者のミリヲタなオプション芸だろう。空気なヒロイン格のエルフの存在など粗も粗な粗が大分目立つが、「多対多」を描けるのは今や珍しい才覚のひとつなので、ナウなライトノベラーはそこに注目してみよう。だが、……まあ、娯楽目的で読むには凸凹な一作。日昌晶に関しては、日日日以外のもう一人のヒヒヒって豆知識とウノ協会会長って事実を覚えておけば無問題!だ。ところで、開始から二年以上の月日を経たこのナマクラ!Reviewsですが、ある日、「アンタ、もしかして日昌晶?」と匿名で疑われ、「……(……誰?)」と首を傾げたことは秘密です。

メデスキ 「悲しいぜ。オレはたかが日本ウノ協会会長と同じ評価かよ」

第11回ファンタジア大賞 準入選:覇壊の宴/日昌晶

category: は行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 60点 日昌晶

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第11回ファンタジア大賞 準入選:魔魚戦記/吉村夜

魔魚戦記
無限と思える宇宙の広大さ。だが、私が真にこの宇宙を畏敬するのは、その広さゆえにではない。無限と思える可能性の多様さゆえだ。それゆえに、私は彼女と出会えたのだ。私は、そう信じて疑わない。
―――ハーウィン

answer.――― 60 点

いわゆるバカSF。何も考えずに楽しむのが吉。と著者自身が言及する本作は、全長3000kmにも達する巨大なエイ(宇宙人)・ハーウィンが勉強嫌いの天然少女レスタンティに求婚する、という成る程なバカSFながら、読んでみれば安易なコメディと受け取れないのは、その世界観故。アルゴ帝国に占拠された惑星フォルテッシモ、というような作中の歴史背景より、レスタンティたちは帝国に都合の良い教育、近代技術の使用を制限された二等市民として不自由な生活を強いられている。本作は読み進めればさらりと階級差別、さらりと大量殺戮が執り行われるスパイシーな作品ながら、ほのぼのとした表紙の如く、登場人物たちに悲壮感が感じられないのは、上述の荒唐無稽なストーリー、何より本作の出版以前より児童文学でデビューを飾っている著者の経歴に違わぬ平易で緩い語り口から。……と好意的に取り上げられる要素はあるものの、「ライトノベル」として本作を推して読ませたい類ではないのも確か。呆気なく2巻打ち切りとなって、ライトノベルにはこんなのもありまっせ!という間口を広げる役目も果たせなかったのもお察し頂きたい。アイディアの大胆さは買える。

第11回ファンタジア大賞 準入選:魔魚戦記/吉村夜

category: や行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 60点 吉村夜

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