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第11回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス/宇月原晴明

信長
1.剣の揺藍
2.東洋からの客
3.天王覚醒
4.牛の王
5.海臨寺綺譚
6.アルトー襲撃
7.ダンス、ダンス、ダンス、ダンス!
8.桶狭間
9.原理の闘争
10.滅びの子
etc...

answer.――― 57 点

織田信長が両性具有だった―――という設定を軸に、信長生誕遙か以前、遙か彼方のローマ皇帝ヘリオガバルスとの繋がりを見い出すトンデモな展開は、選考委員をして「この作者の頭の中は妄想に満ちている」と燃え上がる本能寺に馳せ参じるが如く、やんややんやと満場一致で大賞作に!という選考過程を経たようだが、これは有り無しで云えば、時の首相、管直人第94代内閣総理大臣を支持する方向的に無しだ。著者に書き手としての力量が無い訳ではない。知識とそこからの飛躍は相対的に見ても申し分ないとは思う。ただ、トータルでのバランス、一作品として仕上げたときにそれが有用に働いているかは別の話。要は、著者にセンスを感じない。本作の場合、致命的な構成のミスに過去と現在、二つの時間軸をサンドイッチにする小説の手法「カットバック」が挙げられる。重なり合ってひとつの物語となるこの手法は、主に(進行する)現在の「謎」を過去が「解く」ことでカタルシスを得るのだが、本作は現在の謎―――信長とヘリオガバルスの繋がりが「この作者の頭の中は妄想に満ちている」ため、……んなこたぁどうでも良い!感が滲み出る。織田信長を扱った過去編が正統派に展開されているため、蛇に足があることが間違いだと是非とも気づいて欲しいものだが、著者のアクセル・ワールド(加速する妄想)は個性とも言うべき産物なので彼の作風を是とするか非とするかは結局、読者次第。私は野党に回りましたが、さて皆さんは如何に?ちなみに、織田信長が両性具有というアイディアが最も活きたのは、秀吉が信長に劣情を抱くほどに惚れている設定。本能寺の変後の黒田如水との件が分かり易い説得力を持っていた。


第11回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス/宇月原晴明

category: あ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞大賞 OPEN 50点 宇月原晴明

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第11回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:BH85/森青花

BH85_20110527035907.jpg
1.発生 「毛精」はとてもよく効く
2.第一日 京都の下水は流れない
3.第二日、第三日 眼下に広がるチューバッカ
4.第四日 さまよえるひとびと
5.第五日、第六日 めぐりあうひとびと
6.森沢恭一の長い午後
7.からだは地球を抱きしめる
8.大地は緑、空は青

answer.――― 60 点

この表紙にこの話、といった感じ。若手の研究者が左遷による焦燥から未認可の毛生え薬を市場に回し、そこから端を発するバイオハザードの結末を描いた作品。毛生え薬というアイテムから想像出来る通り、ストーリーは危機意識が希薄なコメディ調で綴られている。起伏の無い展開の上、その弛緩系の書き口もあって小説としての魅力は乏しい。中盤に事実上の<結論>が出るため本作の結末を書かせて頂くが、ごくわずかの人類(&その他)を残し、地球はネオネモという藻によって覆い尽くされる。そこにわずかな虚無感は漂うものの、絶望は無い。中盤以降、人類がマイノリティになってから―――いわゆる終末の状況になってから、<物語を読む>と言うより、キャラクターの台詞を通した著者のコラム(題目:個と群について)を読んでいる感覚になる。この辺が本作のセールスポイント。ただ、積極的に評価出来るかは怪しいところだ。藻に覆い尽くされたなか、残った人間が最終的に何を食べるのか?が最後に問われ、眼前の藻を食べる。この場面が美しい。本作は絶版とのことなので、興味を持たれた方は中古品でお探し下さい。

第11回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:BH85/森青花

category: ま行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 60点 森青花

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