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第12回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:仮想の騎士/斉藤直子

仮想の騎士
1.序・一七五一年 パリ
2.密使
3.潜入
4.女帝
etc...

answer.――― 76 点

シュヴァリエ・デオンを御存知だろうか?激動の18世紀ヨーロッパ、その生涯の前半を男として、そして、後半を女として生きたことで知られる“スパイ”外交官を。本作はそのシュヴァリエ・デオンを主人公にした物語で、ファンタジーの要素として、かのサンジェルマン伯爵を絡めた作品。逸話多い実在の人物を主人公にした物語は基本的に<面白い>ものだが、書き手には同時に<センス>、咀嚼能力を問われる。ストーリーは(当然!)「外交革命」を軸にしてあるため、本作の登場人物たちは世界史の教科書で見掛ける豪華絢爛、有名人ばかり。故に、評価を受けるためのハードルは高くなるのも必然の流れで、この辺から選考委員たちは著者の知識、見識がまだまだ“浅い”と判断したために優秀賞受賞―――という形になったのではないかな、と。しかし冒頭、快男児ジャコモ・カサノヴァが関西弁(当時、物語の舞台であるフランスからすればイタリアは地方、田舎だからだろう)で登場するなど、大胆なアレンジが目立つ。デオンを忠義心厚い一本気な騎士に描いているため、苦渋の思いでの女装、好色なロシアの女帝との性交劇、男どもの欲情の目に晒される、etc…とコミカルな不幸が楽しく読める。物事を書き過ぎない文体はライトノベルとも云える読みやすさで、内容の面でも中盤以降のKEYキャラクター・サンジェルマン伯爵がその印象を強める。ストーリーはそのサンジェルマン伯爵によって<壊される>ことになるが、無難なハッピーエンドよりも味があるようにも思える。上述のように本作には有名人が多数出てくるが、本作の場合、知識が無い人ほど楽しめる。さて、ここでもう一度―――シュヴァリエ・デオンを御存知だろうか?知らない人は、楽しく世界史を学べる一冊となるでしょう。終盤のジャコモ・カサノヴァの男前っぷりにも注目したい。

第12回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:仮想の騎士/斉藤直子  【推薦】

category: さ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 推薦 OPEN 70点 斉藤直子

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