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電撃文庫:時空のクロス・ロード ピクニックは終末に/鷹見一幸

時空のクロスロード
1.部屋
2.公園
3.暗室
4.化学部
5.僕の家
6.謎の爺さん
7.廃墟の町
8.救済キャンプ
etc...

answer.――― 67 点

電撃hpに一挙掲載され、読者人気第1位を獲得した注目作、待望の文庫化!というのは時を遡ること、10年前の話。物語の概要はごく平凡な高校生(写真部所属)がパラレルワールドに迷い込み、疫病蔓延るその世界(の同級生たち)を救うために奮闘する形。文章は中高生の語彙(マジで)ながら、読者人気第1位になるのも頷ける王道的展開。恋愛、戦闘を配する中盤、終盤はパラレルならではの醍醐味を味わえる。エンディングでの主人公の成長を読者自身重ねるだろうから、読後感はかなり良いだろう。見事に続刊し続け、全7巻。戦闘もまた、展開が王道ながらちゃんと練られている。トドメに、カメラのフラッシュ。映画的構成だ。素直に誉められないのは、文章があまりに稚拙だから。特に、1章のメシウマの場面は小学生の文章かと恐れ慄きたくなるほどのクオリティ・コントロール。多少にせよ、意味がある場面だから余計に困る。


電撃文庫:時空のクロス・ロード ピクニックは終末に/鷹見一幸 (2000)

category: た行の作家

tag: OPEN 60点 鷹見一幸

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第7回電撃小説大賞 金賞:天国に涙はいらない/佐藤ケイ

天国
1.学校の怪談 
2.奇跡のマジメメガネ 附、松野爺との再会
3.神の愛
4.緊急指令!生きたフィギュアをゲットせよ!
5.たまたま悪魔に生まれただけで
etc...

answer.――― 69 点

電撃文庫の萌え路線、その始発ノベルとして名高い本作。ロリコンの熾天使アブデルは現在に続く萌え系書籍ご用達の暴走キャラクターだが、出版当時は「ロリコン」なんて言葉はまだまだリアルな破廉恥ワードだったために、読者はアブデルの変態性が露見する度に大人がひた隠す性なるタブーに触れて喜ぶ厨房的な快哉を上げていた……かどうか記憶は定かでないが、何にせよ、萌え文庫のひとつの雛型となった作品。現在のライトノベルの登場人物たちと比較すれば本作のキャラクターは当然弱いが、諸所のレヴューサイトで言及されているように、コメディからハートフルストーリーへと移ろう展開はまさに金賞受賞に相応しい出来。本作のラストなんかは、安易な王道を歩むつもりはない!という作者の宣戦布告のような意気込みを感じる珍しい〆め方で、個人的にそれこそ快哉、胸がすいた。ひたすら常識人の主人公は出版から10年が過ぎた現在では、意外なまでに新鮮に映るのも時代を感じて面白い。

第7回電撃小説大賞 金賞:天国に涙はいらない/佐藤ケイ

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 60点 佐藤ケイ

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第7回電撃小説大賞 金賞:陰陽ノ京/渡瀬草一郎

陰陽
1.むかしのこと
2.鬼女の章
3.呪殺の章
4.屍鬼の章
5.花の宴

answer.――― 76 点

2000年前後に吹き荒れていた陰陽師ブーム。その中核を担っていたのは夢枕獏の代表作『陰陽師』だと思うが、本作もまた、トレンドに目敏い電撃文庫が柳の下に「……ほらドジョウ♪」理論から受賞させた―――なんて考えていたら、まさかのウナギ的作品。イラストを田島昭宇が手掛けているあたりからも、ライトノベルらしくないとは思っていたが、まさか本当にライトノベルではないとは思わなんだ。時は平安、陰陽道の名門の出にありながら文章道に進んだ主人公・慶滋保胤。ある日、師である安倍晴明の頼みで洛外の外法師の素性を調べに向かえば、そこに待っていたのは……という物語の概要。安倍晴明を登場させる陰陽師シリーズは数あれど、本作はその中でもお薦め出来るクオリティを持っている。それは起承転結に始まる物語の構成であったり、書き綴る文章、作品背景に合わせた知識、もちろん、登場人物の設定にも及ぶ。この手の作品で弱点になりがちの女性キャラクターにもしっかり機微がある。懸念と云えば、巷に陰陽師モノが溢れ過ぎて食傷気味な点くらいで、これは後発組の宿命だ。本作は「金賞」受賞という形を取っているが、それは単純にライトノベルではないためで、作品としては「大賞」の扱いで良いと思う。陰陽師モノ御用達キャラクター「阿倍晴明」は、本作の場合は年齢を上げて狸親父の風貌で描かれている。区別化を図っているこんなところも評価したい。

第7回電撃小説大賞 金賞:陰陽ノ京/渡瀬草一郎

category: わ行&数字の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 70点 渡瀬草一郎

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第7回電撃小説大賞 銀賞:ウィザーズ・ブレイン/三枝零一

ウィザ-ズ
子供のように、無邪気に奇跡を信じるのではなく
大人のように、ただ現実を受け入れるのではなく
この世に死があるを知り悲しみがあるを知り絶望があるを知り
それでも、明日を夢見るのを諦めないこと

answer.――― 68 点

―――果たして、君は選考委員がすべからく<試練>と評する冒頭を乗り越えられるか?ライトノベルのまとえるSF的要素の限界に挑んだような重厚な一作。「情報を扱う脳」Informational-Brain、<略称>I‐ブレイン……本作は生体量子コンピューターであるソレを保有する「魔法士」たちが、それぞれの立場で事件、依頼、命令を解決していくというストーリー。退廃的な世界観は『ダブル・ブリッド』、大立ち回りな戦闘は『アクセル・ワールド』、その二作品の特徴を合わせたような本シリーズは2001年のデビュー以来、1年に1冊という大御所な刊行ペースを保てているのは根強い人気ゆえ。上述のI‐ブレイン、そして、作中に出てくるエントロピー増大則、プランク定数などの用語からも察せられるように、作品としては理系統に属する。この理系統に属する事実が一定の読者層にはキーワード。私の知人にもいるが、どうも専門用語飛び出る理系統の作品は何がしかのプライドを刺激するらしく、一度誇り高き彼らを味方につけると、生涯の一冊に数えるほどにお気に入る。本作も未だ打ち切られずにシリーズを続刊出来ているところを考えると、そういう作品のようだ。読みやすさこそないものの、構成もそこそこに仕上がり、一作品としての質は高い。10年前のライトノベル特有の本格派の重みが、薄味に馴れた現代っ子に耐えられるかどうか。その辺が個人的に興味深いところだ。

第7回電撃小説大賞 銀賞:ウィザーズ・ブレイン/三枝零一

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 60点 三枝零一

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第7回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:天剣王器 dual lord reversion/海羽超史郎

天剣王器 Dual Lord,Reversion
1.台樹にて
2.十五歳の義務
3.天剣王器
4.天剣たる存在
5.シェルシステム
6.ペンドラゴン
7.天剣と王器

answer.――― 54 点

戦を司る―――軍務の長、天剣。国を司る―――執務の長、王器。『天剣王器』とは次代の天剣と王器、及びそれを支える人材を養成する選抜機関だ。某友人によれば、「このゲームをプレイするためだけにXboxを買う価値がある!」と大言せしめた近年稀にみる大ヒット作『Steins;Gate』、その小説版の著者のデビュー作。原作を壊さずに書き切ったというニール・アームストロング船長ばりの功績から著者に興味を持ち、本作に手を伸ばそうという方も少なからずいらっしゃると思うが、―――止めておきなはれ。選考委員が総じて「何が書いてあるのか分からない」と無責任な発言をしているように、実際、何が書いてあるのか分からない。ストーリーとしては、少年少女がそれぞれ天剣&王器になり、すると戦争が起こって、少女が自分を犠牲にして国を救おうとするが、少年が助ける(―――という話のはずだ)のだが、読んでいて「……?」が最後までつきまとう。その原因は諸々あるが、やはり主たるところは『天剣王器』だろう。結局、何これ?である。ネーミングは大事だ。特にオリジナルの<システム>だったなら、名称だけでそれが何なのか推測出来るようにしなきゃね。選抜期間における主人公の成績設定だけはGood!まあ、本作を未読の方は見送りの方向で。

第7回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:天剣王器 dual lord reversion/海羽超史郎

category: ま行の作家

tag: 電撃小説大賞選考委員奨励賞 OPEN 50点 海羽超史郎

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