ナマクラ!Reviews

03/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./05

角川スニーカー文庫:ムシウタ 01.夢みる蛍/岩井恭平

ムシウタ
(あらすじ)人の夢を喰う代わり、寄生主に超常の力を与える“虫”が出現して10年。薬屋大助は通学電車で少女・詩歌と出会い、強く惹かれあう。だが詩歌は“虫憑き”を収容する国の極秘施設からの逃亡者だった。特別環境保全事務局は最高のエージェントにして最強の虫憑き“かっこう”に出動を命じ、容赦なく詩歌を追い詰めようとする!せつなく激しい想いが織りなす、夢みる者たちの聖夜の戦記。

answer.――― 65 点

本作は、多数の登場人物の視点から物語を描く群像劇。中二病罹患者ご用達の作品というのは、最強が5人いたりの「強さ」の階級ワケ、不等号を読み手が類推して楽しめることと、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第三部以降の作品代名詞「スタンド」代わりの「虫」というある種のグロテスクな隙間アイディア、異能への差別、死人続出の緊迫感……などだと思うが、如何せん、出版から十年が過ぎる現在となっては流石に「旧い」。群像劇のスタイルも、この時点ではまだまだ粗い。それでも、現在でも通じそうな仕掛けは終盤で明かされる<町一つ>を巻き込んでいる事実。よくある手法、と指摘されるかもしれないが、誰も喋らないシュールさはシーンとしては力作だと思う。著者が本作を書きながら、哀しいっ、あぁこれは哀しいストゥーリー!とナルシズムを爆発させている感じも伝わる。作品のテーマはあらすじの通り(?)、「夢」とのことです。

角川スニーカー文庫:ムシウタ 01.夢みる蛍/岩井恭平 (2003)

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 岩井恭平

[edit]

page top

第3回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:電波的な彼女/片山憲太郎

電波的な彼女
1.誓いの言葉は前世の絆
2.戸惑いの日々
3.柔沢紅香という女
4.忍び寄る狂気
5.秘密工作員
6.告白します
7.絆

answer.――― 76 点

以下、湘南乃風の名曲「極東のCHAMPION feat. MSC」が含まれるレヴューとなっております。ご注意下さい。
―――ドカドカ!字は佐藤、名はルミナ!―――ドカドカ!カリスマ・グラップラー、決める神技!―――ドカドカ!見たけりゃ皆地面を踏みな!―――ドカドカ!(ピカッ!)一番星!(光る!)東アジア!と湘南乃風がその馬鹿さ加減を隠すことなく勇壮に歌うように、“修斗のカリスマ”と云えば佐藤ルミナ、そして、“SD文庫のカリスマ”と云えば片山憲太郎その人である。『ベン・トー』の孤軍奮闘目立つSD文庫だが、ライトノベル界を震撼せしめたかの<醜悪祭>さえ催さなければ、片山憲太郎こそ間違いなくレーベルの枠を超えた超級エースとしてライトノベル界の頂きに君臨していただろう。しかし、彼は堕ちた―――そのカリスマの座を、何より〆切に。返す返すも悔やまれる、醜い、それは醜い祭だった。……著者のそんな顛末はさて置いて、本作は第3回ス―パーダッシュ小説新人賞<佳作>を受賞した才気奔るデビュー作。「漫画、アニメ、ゲームの表現を一度度くぐり抜け、再び文芸に戻ってきた青春伝奇小説!」こと講談社発の<新伝綺>ブームに呼応する形で現れたあたり、本作は三大犯罪者の薫陶を十二分に受けた作風、作品であると云える―――だが、しかし!二番煎じと侮るなかれ、その実力は時にオリジナルさえ凌ぐ。片山憲太郎が描くは“闇”、それも掟破りの“悪”一文字である。三大犯罪者たちでさえ描き切れていない“悪”、彼にそれを描くことへの躊躇いはない。そう、片山憲太郎が物語を綴るとき、―――女が、―――小学生が犯される!“絶対悪”、これを描ける作家は稀だ。しかし、片山憲太郎は犯る男である。犯ってしまえる男である。本作は<新伝綺>らしくミステリー要素を孕んだ一作。「転」それ自体は量産型と確かに斬ってしまえるが、「我が身はあなたの領土。我が心はあなたの奴隷。我が王、柔沢ジュウ様。あなたに永遠の忠誠を誓います」といきなり告白する電波的な彼女の節回しからも分かるように、キャラクター造形等、丁寧なまでに<極端>である。前述の“悪”を描く才能は本作においてもすでに発露。撲殺体及び、撲殺未遂の描写は秀逸だ。本作が<大賞>ではなく、<佳作>に留まっているのは読了してみればモラルの問題と推して量れるが、新興レーベルに必要なのは兎にも角にも<エース>の獲得。たとえモラルハザードを起こしてでも、本作を<大賞>せしめるべきだった。本作の<佳作>授賞に編集部の無能ぶりが見て取れる―――ドカドカ!むっ、だんだんムカついてきたわ!さあ、皆さんもご一緒に!―――ドカドカ!字は片山、名は憲太郎!―――ドカドカ!闇のカリスマ、犯すJS(ジョーシキ)!―――ドカドカ!読みたきゃ皆ハガキを出しな! ―――ドカドカ!(犯せ!)厨二の星!(殺せ!)特定アジア(※)!―――ドカドカ!ボコボコ!犯っちゃえ!殺っちゃえ!

※ …… Medeskiは日本人なので反日教育には反対です。でも、この世で一番尊敬している人種は中国人です。

第3回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:電波的な彼女/片山憲太郎

category: か行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 70点 片山憲太郎

[edit]

page top

第3回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:殿がくる!/福田政雄

殿がくる!
1.殿がきた!
2.彼の新しい勤め先
3.君知るや戦国の世
4.狂った夏
5.王位を窺う者
6.日本国総理大臣織田信長

answer.――― 58 点

殿がくる!という何ともな表題から察せられる通り、本作は歴史上の登場人物が現代へタイムスリップしてくるという、物語の型とすればある種の王道に連なる作品。さてさて、肝心のその殿とは、―――織田上総介信長。大うつけ、第六天魔王とエピソードに事欠かない愛知が誇る三英傑が一人である。そんな殿は現代に召喚されてもカルチャーショックをさほど受けることなく柔軟に対応し、北朝鮮の侵略を理由にしたアメリカ、そして、売国奴からジャポンを守る!というのが本作の内容。出版年月を考えればちょうど小泉劇場と世間を賑わした小泉純一郎を多大に意識している感があり、時事ネタを絡めて作中、ライトウィングしている。著者ご自慢、このために本作を書いた!という終盤のNHKでの大演説は、成る程、込み上げてくるものがある―――笑いが。これは立派なDQN作品、まさかライトノベルで現代政治を足りない知識で真っ直ぐぶつけてくる作家がいるとは思わなんだ。ライトノベルで啓蒙しようというその意気や、悪し!恥を知れ!頭を丸めろ!と鼻くそをほじりながらこのレヴューを書かせて頂いているが、誉めたくなる点もある。それは人物描写で、「男の左肩が右肩に比べて、極端に下がっているのがわかった。昔の武士はそうだった。生まれたときから刀を腰に下げて生活していると、……」なる描写と知識を合わせた挿し方は好感が持てた。この辺は題材の強味を自覚しての演出だと思うので、作家としての能力が低いわけではない。ただ、DQN具合が邪魔をしているので、とりあえずは「福田政雄君、政治は男のロマンだ。ファイヤー」。

第3回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:殿がくる!/福田政雄

category: は行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 50点 福田政雄

[edit]

page top