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第15回ファンタジア大賞 準入選:天華無敵!/ひびき遊

天華無敵
(あらすじ)
天華と白華は双子の姫。天華は遺跡探求者になって空の旅を、白華は巫女となり神殿内で精霊との対話にいそしむ日々。そんな二人をつなぐ絆は携帯メールだった……!フレッシュな感性で描く、双子ファンタジー登場!!

answer.――― 61 点

遺跡探究者(ロスト・リサーチャー)、錬精術、衛星回線ユグドラシル・ネット、蒼の月、銀の小月、信精帝國、精霊都市、龍眼、精霊巫女、湾岸都市、幻炎、剣聖(後に正式な名称として『鋼の剣聖』)、言霊、錬精、因子、先祖がえり(ワイルド)、鋼隊、光結晶、獣化、脳力、新型三重連推進結晶体、直勘(センサ)、舞翼(ライド)、風獣、風くじら、通信石、―――とまあ、ここまで100頁で披露されている本作中の造語である。しかも、これで省いてもいるし、この後にも造語は増え続ける。おそらく、著者は本作において造語をファッション、お洒落な<記号>として散りばめているのだと思うが、如何せん、多過ぎて機能していない。オリジナリティに拘るのは結構だが、既存の言葉で事足りる設定ならば造語は極力省くべきだ。それでも、曲がりなりにも【準入選】という当時の富士見ファンタジア文庫的には実質の大賞評価を受けているのは、スケール溢れる世界観から。実際、この当時に、飛行シーンを導入しているのは新鮮である(売れなかったので無かったことになったが……)。選考委員も推す、ヒロインの双子の妹との時間差のメールもアイディア的には良い。目立たないところを推すなら、序盤の実は【幼馴染】でした♪は裏を掻かれる工夫だ。素養的には悪くはない、……が、これが語彙はあれども、筆力不足という典型的作品。細かい描写が出来る、それに伴う語彙も備えている、アイディアもある、―――でも、扱い切れてない。自作をまずはゴミだと思おう。ドンドンドンドン魅力を削ぎ落そう。もはや自分の作品じゃないところまで落として、それでも見たことが無いのが【オリジナリティ】だ。省略出来ることが筆力に含まれていることを学ぶのがプロになってからじゃ遅過ぎる。自分を殺す、これを個性を殺すと置き換えているうちはどんなに成功したとしても泡沫の成功です。ちなみに、ドラゴン級の遺跡、これが作中で私が一番惹かれたフレーズでした。

第15回ファンタジア大賞 準入選:天華無敵!/ひびき遊

category: は行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 60点 ひびき遊

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第15回ファンタジア大賞 佳作:ISON ―イソン―/一乃勢まや


1.SWEEPERS
2.THIEF&DEATH
3.BIOWEAPON
4.INVISIBLE
5.SUPER ADVANCED
6.A CRYING GIRL

answer.――― 61 点

賞金首を追いかけ、狩る掃除屋トーヤ、そして、その相棒ティファ。今回、彼らに持ち込まれた依頼は大物武器商人とテロリストのスウィープだった。そこには謎の美女怪盗、腕利きの殺し屋が絡み、……というストーリーラインを持つ本作には、―――「巧い」、その評価に適う文章技巧を修得したとする著者の錯誤が見受けられる。それが如実に表れているのは【PROLOGUE】だろう。ある一定の筆力を持つようになると、【動いていれば面白い】ことに気づく。それを応用して、ライトノベルならば冒頭を戦闘描写―――ピンチを演出し、読者の関心を惹くのはこなれた作家(志望)の常道で、これを非難する気は毛頭ないが、故に落とし穴があることを失念しがちなのは否めない。本作、アクションをセールスポイントに挙げているように、よく「動く」。実際、後半のアクションパートは故事に謳われる馬謖を思わせる才気を見せる。【PROLOGUE】自体にも一工夫あり、……と素直に誉めたいところなのだが、錯誤は錯誤。はしこく常道を選びながら、それで踏み外している事実に著者は果たして気づかなかった。この【PROLOGUE】は一言、―――面白くない。ピンチを演出し、それでいて複数人殺してさえ読み手の関心を引けない理由は【驚き】を用意しなかったことと、筆への驕りに尽きる。前者は言葉の通り、……で?(つまんないんだけど)と返したくなる既視感溢れるピンチで、後者は本作中最後まで貫かれる勘違い、「巧い」への不理解だ。書き手の「巧い」と読み手の「巧い」はまったく違う―――長くなったので割愛―――結局、何が言いたいかってーと、著者、自分のことを「面白い」と思っちゃってるんだよね。だから、「巧い(=面白い)」が「浅い」。仮に描写だけで攻めるなら出し惜しまず、後半で披露するような(女の子が)車のボンネットを力で剥ぎ取って盾にするなりの奇抜なアクションを採らないと。読み手にとっての「巧い」を目指さないうちは、本当の「巧い」に辿り着けません。あと、オノマトペの使い方が下手過ぎ。小説でのオノマトペの常道は「合図」か、リズムの生成だ。君のオノマトペの使い方は漫画的過ぎて「見」苦しい。と辛いレヴューとなったが、個人的に将来性は「買えた」。運が無かったね、周りに俺みたいな奴がいりゃ良かったのに。

第15回ファンタジア大賞 佳作:ISON ―イソン―/一乃勢まや

category: あ行の作家

tag: ファンタジア大賞佳作 OPEN 60点 一乃勢まや

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第15回ファンタジア大賞 佳作:マテリアルナイト 少女は巨人と踊る/雨木シュウスケ

少女は巨人と踊る
(あらすじ)
わたしの名前はレアナ・バーミリオン。符道を使う符道士。今日、わたしは旅に出る。そして、その行く先には……。発掘兵器たちが国の威信を懸けて戦うなか、最終兵器マシン・ドライブがついにその生を受ける。ちりばめられた謎、ギミックがキミの五感を刺激する弩級の話題作!

answer.――― 64 点

「蒸氣」という言葉が躍るとき、ファンタジーは奔り出す。そこに添えられるのは、今日、わたしは旅に出る。というプロローグに相応しい締め括りの一文。文字数とのコストパフォーマスを鑑みれば、満点を点けたくなるオープニングを持つ本作は、富士見ファンタジア文庫の斜陽の00年代を支えた“クレイジーモス”雨木シュウスケのデビュー作。ファンタジーを創作するにあたってもっとも難しいことは、魅力的な舞台を用意すること―――そこが読み手にとってのフロンティアであることだ。本作では、それを「蒸氣」の二文字で片付けた点が素晴らしい。また、ヒロインを名家の令嬢に配し、家出をさせる展開。近代のヨーロッパを思わせる舞台でありながら、そのヒロインに符道という東洋を想起させる魔法を扱わせ、その癖、その符道が傍流(二流)の攻撃手段にしかならないという、作家の腕の魅せ所!な設定はハイセンスだ。……が、このような序盤で魅せられた景色は章が進むにつれてぼやけていく。それもこれも、マシン・ドライヴ、ドラグ・ヘッドというマシーン・ヘッド、ファティマ、永野護万歳!な著者肝入りのロボット設定と筆力不足から。テンポを重視して説明を後に回すのは良いが、説明の要る設定が多いため、放置されたまま新設定が出てくると冷めてしまう。ヒロイン以外の登場人物に之と言った魅力が無いのも問題だ。その影響で、筆バテを起こす中盤から「誰が」「何を」言っているのかが判別しにくくなる。描きたいことを全部描いたのはよく伝わるものの、読み手への配慮が足りないのはデビュー作故の拙さか。(センスだけで勝負しているby有吉弘行)小木博明のような一作。大味なのよね。

第15回ファンタジア大賞 佳作:マテリアルナイト 少女は巨人と踊る/雨木シュウスケ

category: あ行の作家

tag: ファンタジア大賞佳作 OPEN 60点 雨木シュウスケ

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第15回ファンタジア大賞 佳作:仙・龍・演・義 開演!仙娘とネコのプレリュード/秋穂有輝

開演!仙娘とネコのプレリュード
(あらすじ)
世界の異変を食い止めるべく異世界からやってきた仙人見習いの少女、リィファ。ある街に降り立った彼女は、自分を魔人と名乗る黒猫のノワールと出会う。そのノワールを狙う刺客の襲撃を受け、リィファは事件に巻き込まれてしまう。

answer.――― 34 点

こ、これは、……アマチュア作家さんですね(: ゚Д゚)ポカーンとビックリするような敵役の棒読みな台詞が並ぶ冒頭からして暗澹たる気分に陥り、例によって猫が出てきて、天使が出てきて、またまた敵役の台詞が棒読みで、と忙しなくため息を吐きたくなる展開に「買い」の要素はあくまで見当たらず。しかし、そんな希望も無いなか、あえての+査定を見い出すならば、表題からも察せられる仙人娘を西洋世界に飛び込ませたチャンポン感覚。この設定は出版年月を鑑みるに、腐女子ご用達の漫画のひとつだった漫画『封神演義』に影響されての発想だろう。東西の文化を折衷しようとすると、東のエキゾチックな面を無意識に緩和しようと思うものだが、著者は特段引きずられた様子無く、迷いなく西洋文化に仙人を投下し、そのままスレイヤーズさせている。……まあ、批評眼が育っていないだけだろうが。「あわわわわっ、〆切に間に合えっ☆彡!ヤッター、受賞!!」というお花畑なあとがきで謳っているように、ライトノベルが好きな女の子が筆のおもむくままに奔らせたのが本作の制作背景だ。そんなもんだから著者の次作は当然、「無い」。ただ、ほのぼのとした日常を描けるのは自作を愛している証拠なのでそれはそれで素晴らしいことだとは思う。ちなみに受賞後、大幅に改稿したようだが、国竜とは、……!『魔の芽』とは、……!って残り50頁で作品世界(造語)を説明したらあかんで。

第15回ファンタジア大賞 佳作:仙・龍・演・義 開演!仙娘とネコのプレリュード/秋穂有輝

category: あ行の作家

tag: ファンタジア大賞佳作 OPEN 30点 秋穂有輝

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