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第4回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:戦う司書と恋する爆弾/山形石雄

戦う司書と恋する爆弾
1.爆弾と『本』と灰色の町
2.爆弾と姫様とさまざまな人
3.爆弾と人間と風の進路
4.爆弾と司書と常笑いの魔女
5.抜け殻と敵と死の神の病
6.嵐と魔刀と三毛ボン
etc...

answer.――― 73 点

読了してみての第一の感想は、面白い構成だったな、と。表題及び表紙にあるように、本作の主役は「戦う司書」と「恋する爆弾」、この二人の登場人物。しかし、後に『戦う司書』シリーズと銘打たれるように、主役はあくまで「戦う司書」であり、「恋する爆弾」は本作のためのゲストキャラクター―――のはずなのだが、彼の立ち位置は通常の作品ならエトセトラにさえ数えられる一般兵Cといった役柄。実際、台詞らしい台詞は洗脳単語「ハミュッツ=メセタを殺せ」の連呼しかまともに許されていない。しかし、そんなスペックにも関わらず、<視点>を任され、淡々と頁を消化していく。その頁数は驚くなかれ、およそ80頁!そうして、ようやく登場する主人公らしい主人公「戦う司書」に読者は人心地を得るのだが、じゃあ、その辺で死体にでもなって転がっていそうな一般兵Cは何のためにいたのか?というと、「……どっちでも、いいか」とつぶやかされるほどに「戦う司書」を結局、脇役に押しやるため。本作は誰の物語かと訊かれれば、やはり、「恋する爆弾」の物語なのだ。ここが非常に面白い。とっ散らかった印象が強く残る本作だが、ラストシーンを思い返してみると、夕日を背景に不思議なまでにそのとっ散らかりが綺麗にまとめられてしまう。実験的というと大袈裟だが、変則的構成なのは間違いない。どうしてか腑に落ちる。ここが本作の最大の謎であり、一番の魅力でした。ライトノベルな<奇書>を読みたい方にオススメです。

第4回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:戦う司書と恋する爆弾/山形石雄

category: や行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞大賞 OPEN 70点 山形石雄

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第4回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:滅びのマヤウェル/岡崎裕信

滅びのマヤウェル
プロローグ・鈍行列車の怪
第1章 自称・妖怪のっぺらぼう
第2章 勘違いの恋人
第3章 滅びの王国
熱帯夜に夢を見た
エピローグ・その仮面をはずして

answer.――― 64 点
ボーイ・ミーツ・ガールならぬ、ボーイ・ミーツ・のっぺらぼう……いや、ボーイ(?)・ミーツ・のっぺらぼう……なんて、いざ読み進めていくと、なかなか評価が難しくなっていく本作『滅びのマヤウェル』は、近年は『六花の勇者』で時の人・山形石雄のデビュー作『戦う司書と恋する爆弾』と肩を並べて第4回スーパーダッシュ小説新人賞《大賞》を分け合った《大賞》受賞作。かの摩訶不思議な一作と賞の上では同列の評価を与えられたように、オープニング、主人公に仕込んだ演出、「転」開する日常、豹変する登場人物たち―――といった(おっ……!)とさせる演出にしっかりと目が留まる出来となっている。がしかし、『滅びのマヤウェル』と口に出しても今現在、おそらく多くの人に認知されていないように、本作の評判もとい売上は芳しくない。著者のHPによれば2巻の時点で打ち切りが確定していた(=本作、1巻の時点で打ち切りが内々定)とのことだから、《大賞》受賞作にあるまじきなかなかの《お荷物》具合である。構成、演出を一通り施している自負があるだろう著者ならば表紙(イラスト)、レーベルのプッシュに売上不振の起因を求めたくなるところだろう。実際、(……何でコレでつまんねえんだろう?)と読書中、首をひねっていた私は著者に若干同情さえしている。そう、―――「面白くない」。問答無用に斬ってしまえば、これに尽きる。「文字数を半分に減らす」「序盤をカットして中盤から始める(OPのアイディアは採用)」「主人公の設定を変える」……パッと思いつく私なりの改善策は、物語の根本を壊すものだ。そんなものは改善策でも何でもない。じゃあ、……物語がそもそも悪いのか?「……この作品、何で面白くないんだと思います?」と周りに訊きたくなる奇妙な一作。「つまらない」わけではない、しかし「面白くはない」。実に不思議だ。ちなみに、著者は2巻で打ち切りの報せが届いたときには先走って4巻まで執筆していたとのことなので、この辺は解かり易いイタさがあるので真似はしないように。

第4回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:滅びのマヤウェル/岡崎裕信

category: あ行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞大賞 OPEN 60点 岡崎裕信

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第4回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:影≒光 シャドウ・ライト/影名浅海

影≒光/シャドウ・ライト
1.受けて立つ父
2.飼い犬になった少年
3.恋人を奪われた少女
4.全ての元凶

answer.――― 63 点

とりあえず、設定と展開まで、富士見ファンタジア文庫の『風の聖痕』そのままの本作。パクりパクられの論争はライトノベルにかぎらず、音楽、絵画にまで至る創作活動について回る悲喜交々だが、ここまで似てしまうと、たとえ著者が未読であったとしても批判が向けられれば甘んじてと言わずに、しっかりと受け止めざるを得ないだろう。理想を言いだしたら切りがないが、若干のオリジナリティ―――<絶対の革新>を折り込めなかったのが、本作のパクりパクられの論争に巻き込まれた要因だ。それでも、パクリと切ってレヴューを終えてしまうのもやや勿体無い気がするのは、前述の『風の聖痕』の著者が今や故人となってしまっただけでなく、戦闘場面への魅力があるため。ライトノベルに許された特権のひとつに、戦闘場面を描ける、というものがあるが、概してライトノベル作品はその強みを活かしきれずに、ごく短いセンテンスで切り上げてしまう。本作はその点で他を大きく引き離す。投稿当時、19歳という年齢を考えても十二分の結果が出ている。選考委員は落ちこぼれから早々に成り上がる主人公のスーパーマンっぷりを嘆いているが、そこは実は問題でなく、単純にキャラクターの魅力が薄いのが根本的な要因。『風の聖痕』の主人公のように、徹底的にアンチヒーローに傾くなりの工夫が必要だった。それと、終盤の駆け足の後悔。あれだと主人公が間抜け過ぎて感情移入はしたくない。そんな作品の中身はともかく、著者の素質は買える作品。5巻打ち切りかと思いきや、10年末に見事に新刊発行……ここまでまた音沙汰が無いが、著者の現在は如何に?

第4回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:影≒光 シャドウ・ライト/影名浅海

category: か行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 60点 影名浅海

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第1回本屋大賞 1位:博士の愛した数式/小川洋子

博士の愛した数式
(あらすじ)
事故で記憶力を失った老数学者と、彼の世話をすることとなった母子とのふれあいを描いた物語。家政婦として働く「私」は、ある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが、17年前に交通事故に遭い、それ以来、80分しか記憶を維持することができなくなったという。数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだった。しかし「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。

answer.――― 80 点

第1回の本屋大賞に輝いた本作。小川洋子というと、まさしく「職業=作家」と謳うに相応しい定期刊行を続ける作家だが、この手の作家は時事ネタを取り入れるのが常道だ。それは政治的、風俗的ネタはもちろんだが、音楽や映画などのエンターテイメントの他ジャンルからアイディアを拝借することも間々見掛ける。記憶が80分しかもたない、という記憶障害の設定が本作の肝となるわけだが、この設定には当時読んだ多くの人が、記憶が10分しかもたない男が主人公のサスペンス映画『メメント』を連想したことだろう。まあ、元ネタはアレソレだ!?と言及するつもりは毛頭ないが、各賞の選考委員も務める著者の作品のアレンジパターンを分析するのも面白いと思い、前置いた。さて、本作。その映画『メメント』で散見される悪意とは真逆の善意が満ちている。何度振り出しに戻っても注がれる、老人の子どもへ向けられる無償の愛。不用意な発言で消えてしまう記憶だとしても老人を一時でも傷つけまいと気を配る私と息子。嘘をつくことが時には優しさとなることを肯定的描かれる展開は何気に奥深い。また、作中には数学の公式が所々に出てくるのも特徴的だ……がしかし、これは賛否両論となるだろう。というのも、理系統の学卒はプライドが高いからだ。既知の情報、ないし忘れかけていた知識を教えられるように描かれると、気分を無駄に害す傾向がある。そういう意味で、数式は添え物として流せるかが重要になってくる。後半の野球観戦、誕生日会は読者の心を温めてくれるハイライト。エンディングでの子どもを「大人」と認識しない老人にはさすがに首を傾げたが、全体的に<感動モノ>としてよく仕上げられている。「職業=作家」らしい押さえるところを押さえた作品。

第1回本屋大賞 1位:博士の愛した数式/小川洋子

category: あ行の作家

tag: OPEN 80点 小川洋子

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第1回本屋大賞 2位:クライマーズ・ハイ/横山秀夫

クライマーズハイ
(あらすじ)
1985年8月12日、群馬県の地方紙・北関東新聞社の遊軍記者で、社内の登山サークル「登ろう会」メンバーの悠木和雅は、販売部の安西耿一郎とともに、県内最大の難関である谷川岳衝立岩登攀へ向かう予定だった。帰宅の準備をしているとき、社会部記者の佐山から「ジャンボが消えた」との連絡が入る。悠木は粕谷編集局長から事故関連の紙面編集を担う日航全権デスクを命ぜられる。同新聞社にとって、「大久保・連赤」以来となる大事件を抱えた悠木は、次々と重大かつ繊細な決断を迫られる。

answer.――― 77 点

「ヒューマンドラマ」という言葉から連想する<ドラマ>とは一体、どんなものだろうか?新聞のテレビ欄を見れば、そのカテゴリに振り分けられるドラマに医療関係の作品が多いことに気づく。難病に挑む医者、あるいは患者……これらの登場人物たちの姿を通して、視聴者は<人間>、そのドラマを見る。<ヒューマン>ドラマ―――そこに描かれているのは<葛藤>であり、<決断>だ。視聴者はその時、その瞬間に「人間(ヒューマン)」を見い出す。日本航空123便墜落事故を題材にした本作は、そんな「人間」を何度となく見い出す作品。もっともあらすじの通り、主人公は紙面編集の全権を担っているだけで、その事故現場に直接向かうことはない。メディアとしてのモラル、他社との競争、制作と営業、そして、社内政治を絡めた紙面を巡る<戦い>が本作の主題。著者は12年間新聞記者として勤めていた経験があり、実体験から裏打ちされた本作の内容は芝居がかった誇張こそ感じるものの、新聞社の内情が丁寧に描かれている。制作現場は熱い、熱気に満ちている!―――しかし、この熱さ、若干主人公の「勘違い」っぷりに原因があるのでは?と思うのは、作中、本当に何度となく下される苦渋の<決断>から。主人公、何のために記者をしているのかイマイチ共感出来ない。優柔不断と詰られる場面もあるが、外から見れば、本当にそうだと思う。読み手からしても<決断>が<保留>に思え、事実、それで失敗している。終盤、尋常ではないBite!を見せ、記者とは何ぞや!―――これぞな!と歌舞くが、これが勘違いの末だと思うと快感も寸止めだ。ただ、<ヒューマン>ドラマには違いないので、冷えた視界を温めるタオル代わりに読んでも良いかもしれない。ちなみに、山登りは基本的に本作の内容と関係ありません。

第1回本屋大賞 2位:クライマーズ・ハイ/横山秀夫

category: や行の作家

tag: OPEN 70点 横山秀夫 本屋大賞

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第1回本屋大賞 3位:アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎

アヒル
No animal was harmed in making this film.
この映画の製作において、動物に危害は加えられていません。

―――映画のエンドクレジットによく見られる但し書き

answer.――― 78 点

いざ吹き終わる口笛、ボブ・ディランの「風に吹かれて」―――引っ越して早々、本屋に広辞苑を盗みに入らないか?と誘われた大学生の椎名。どこかのんびりとした強盗計画とその計画が練られることになった背景を描いた本作は、伊坂幸太郎らしい優等生なエンターテイメントが詰め込まれた一作。日本人にあまり馴染みのないだろうブータンについての発言が目立つ本作だが、そこが肝と言うか、ブータンを知らないからこそその文化、生活に対して想像力を働かされ(話が本当かどうか読者自身疑うため)、昨今、現代人に推奨されているスローライフ、そして、異国ブータンへ憧憬を抱かせる。現在と過去が切り替わるカットバック形式のため、その都度、集中力を削がれるのが難点だが、だからといって途中で投げ出すことなく最後まで読ませる筆力がある。すべての事情が呑み込めたときを待つように……物語の終わりに椎名へ届けられた家族からの連絡は、仮に読者自身が受け取ったとしても落ち着いて処理できることだろう。読了後も余韻を残し、読者を少し大人にしてくれる伊坂作品のひとつ。

第1回本屋大賞 3位:アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 伊坂幸太郎

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第1回本屋大賞 4位:永遠の出口/森絵都

永遠の出口
1.永遠の出口
2.黒い魔法とコッペパン
3.春のあなぽこ
4.DREAD RED WINE
5.遠い瞳
6.時の雨
7.放課後の巣
etc...

answer.――― 75 点

児童文学作家として名を馳せる森絵都による初の大人に向けた小説……とは言うものの、面舵いっぱい!と己の作家としての方向性を180°変えるような冒険はせず、著者の十八番の思春期、一人の少女の小学三年生から高校三年生までの九年間を描いた内容となっている。―――私は、<永遠>という響きにめっぽう弱い子どもだった。で始まる物語は、自我の芽生え早い主人公なのかと思いきや、むしろエキストラに数えられそうなパーソナリティで、やや頭の弱い小学生A、不良少女B、女子高生ウェイトレスC、そして、大学受験生Dといった成長過程を歩む。これだけだとインパクト薄い作品になりそうなものだが、そこはそこかしこに用意した70~80年代の時代背景を反映したエピソード、そして、悲劇すれすれのところで喜劇に粧す構成の妙。とりあえず、小学生編を〆るFuck You!にはしっかり笑わせてもらった。荒んだ中学時代からさらりと更生したことになっている高校時代に違和感こそあれ、アルバイト職場の裏側エピソードは実に「どこもこんなもんだ」的リアリティがあって良い。勿体無いのは思春期の定番<恋>をラストに物語の〆に掛かる構成は一人の少女を総括する意味でも正しいと思うが、……何だろうね、やっぱり平凡な主人公像の限界を見るようにも思う。やはり、著者の経歴の通り、<黒魔女><闇の連絡網>など造語飛び交う小学生編が最も光る作品。

第1回本屋大賞 4位:永遠の出口/森絵都

category: ま行の作家

tag: OPEN 70点 森絵都 本屋大賞

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第1回本屋大賞 6位:4TEEN/石田衣良


1.びっくりプレゼント
2.月の草
3.飛ぶ少年
4.十四歳の情事
5.大華火の夜に
etc...

answer.――― 74 点

石田衣良の作品は、非常に<流行的>だ。大体、書き手が当時代の文化を消化するまで2~3年を要すると思うが、石田衣良はその半分の期間で済ませてくる。本作は石田衣良の作風とその限界を知る上で好例とも言える作品。登場人物はオナニーとセックスに興味を持つ中学生たち。彼ら演じるセックス&フレンドシップ⇒センチメンタル路線を読者として楽しむ体。友人が早老病だったり、拒食症があったり、殺人事件があったり、とそれなりに刺激的で、それでいて、不幸過ぎることはない―――これはデビュー以来、彼の作品が持つ共通の作風だ。どこか多幸感に溢れた登場人物たちは、石田衣良的予定調和がつきまとう。何が言いたいのかといえば、彼の作品は何作も読むものじゃない、ということ。本作のみとしてなら暇潰しにはなる出来ではある。ちなみに文化面で流行(現代)についていっているのに、登場人物たちが昭和育ちの「石田衣良」なのはやはり違和感がある。現在の14歳は、その時代の人(の筆)に任せるべきだと思う。石田衣良の14歳が読みたかった。

第1回本屋大賞 6位:4TEEN/石田衣良

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 石田衣良 本屋大賞

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第1回本屋大賞 7位:デッドエンドの思い出/よしもとばなな

デッドエンドの思い出
1.幽霊の家
2.「おかあさーん!」
3.あったかくなんかない
4.ともちゃんの幸せ
5.デッドエンドの思い出

answer.――― 62 点

ばかみたいだけど、私はこの中の「デッドエンドの思い出」という小説が、これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました―――あとがきに書いてある著者のこの一言に、本作を読む価値があるとは思うのだが、よしもとばななの<代表作>としての紹介は出来ない作品。本作に収められているのは5つの短篇。大別として、よしもとばななが作家として無理をしている話と、よしもとばななが作家として成長している話に分けられる。表題作なんかは実際、作家として成長している部類の話に入ると思うが、―――ぶっちゃけ、ファンでなければそこを評価する意味は無い。そもそもにして、よしもとばななは作家としてはすでに旧時代的な存在で、せいぜいエッセイ(=熱心なファンだけが読むモノ)で飯を食える程度のレベルでしかない。この人は結局、教科書にも採用された代表作『キッチン』を読めば事足りる一発屋だ。彼女はもう小説は書かず、エッセイだけで満足して欲しい。本作はまさにデッドエンド、死んでくれ!的作品だった。ちなみに、<よしもとばなな><居酒屋>で検索してみると、彼女の作品を二度と買いたくなくなるのは日本の中だけの秘密だ。

第1回本屋大賞 7位:デッドエンドの思い出/よしもとばなな

category: や行の作家

tag: OPEN 60点 よしもとばなな 本屋大賞

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第1回本屋大賞 10位:ららら科學の子/矢作俊彦

ららら科学の子
(あらすじ)
男は三十年ぶりに中国から帰還した。彼には学内闘争の最中、殺人未遂容疑で指名手配を受け、文化大革命の中国に密航したという過去がある。彼を匿う組織、蛇頭との抗争、不思議な女子高生との出会い、幼くして別れた妹の追跡。渋谷を舞台に展開される目まぐるしい日常の中で、彼はやがてすべてが変わっているようで本質的には何も変わっていない日本の姿に気づき、愕然とする。その果てに下した決断とは。

answer.――― 60 点

本作をストーリーの観点から評価するのは非常に難しい。それというのも実質、本作にストーリー展開が「無い」からだ。最初から何の話なのか分からないまま進み、謎解きやどんでん返しもなく、それで最後まで結局、何も起こらないまま終わる……では、何を楽しむ小説なのか?それはあらすじからも察せられる通りの、主人公の30年ぶりに訪れた日本へ対するカルチャーショックで、携帯電話、援助交際、プリクラ、エイズ、光ファイバー……90年代末の流行りものを挙げながら、それでも変わっていないものを確認していくことだ。カルチャーショックと云って安易なコメディに仕上げようという意図は著者に無いらしく、主人公はそれらを目に耳にしても慌てふためいて驚くことはない。淡々と心のうちで受け入れ、自分の時代の言葉で置き換えていく(ex. 長嶋茂雄、三船敏郎、電話線など)。この点は是非の分かれるところだろう。ストーリーなく、虚しさこそあれ主人公に感情の起伏ない本作だが、その分だけ文章には気を遣い、浦島太郎を演出出来ている。個人的には、戸籍上死んだことになっている主人公が、そのまま作中に名前が出ないまま、再び日本を去っていくところに職人芸を見させてもらった。がしかし、エンターテイメント性は非常に低いと言わざるを得ない。第1回本屋大賞はまさしく「第1回」らしいクエスチョンマーク浮かぶナイスな選考だったことを証明する一作。

第1回本屋大賞 10位:ららら科學の子/矢作俊彦

category: や行の作家

tag: OPEN 60点 矢作俊彦 本屋大賞

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