ナマクラ!Reviews

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American Idiot/Green Day (2004)

american idiot
1. American Idiot
2. Jesus Of Suburbia
3. Holiday
4. Boulevard Of Broken Dreams
5. Are We The Waiting
6. St. Jimmy
7. Give Me Novacaine
8. She's A Rebel
9. Are We The Waiting
10. Letterbomb
11. Wake Me Up When September Ends
12. Homecoming
13. Whatsername

Price Check.――― ¥ 650

本来、出るはずだった『Cigarettes and Valentines』と銘打たれた7thアルバムのマスターテープが盗難の憂き目に遭って急遽、一から作り直した!とされるバンドの90年代の名盤『Dookie』と並び評される、バンドの第二の(あるいは、第一の)代表作。上記のエピソードは現在を以って盗まれたとされる音源が流出していないので眉唾なエピソードながら、作り直したのはまず間違いないだろう。それ程に、劇的に「変わっている」。それは単純にアルバムを物語調のコンセプトで縛ってきたこと、「パンクオペラ」なる呼称さえつけられた組曲形式の②&⑫が収録されていることを挙げても良いだろう。ただ、個人的にはこのアルバムが<パンク>アルバムとして扱われている事実に注目したい。前作「Warning」を<パンク>アルバムとする人は少数派だろう。しかし、本作は多くの人に<パンク>の傑作アルバムとして認知されている。これが何よりも凄い。前作でロックバンドへと舵を切ったGreen Day、彼らは確実に<ロック>バンドへと変貌したにもかかわらず、再び<パンク>アルバムを制作出来たのである。<パンク>の拡大解釈をもたらした事実は大きい。これ、売れたで!賞ことグラミー賞で最優秀レコード賞を受賞した④のどこにパンクの面影を見る?つまりは、そういうことなのだ。パンクで無いのにパンクと捉えてしまう錯誤を堪能出来るアルバム、それが本作だ。実際に聴いてみても、曲調豊かで飽きずにリピート出来る逸品。ちなみに、①はThe Whoの「My Generation」、上記の④もOasisの「Wonderwall」と類似性がよく指摘されているが、何にせよ、どちらも名曲である。

American Idiot/Green Day (2004)

category: A-G

tag: MUSIC 750円 代表作

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第11回電撃小説大賞 大賞:ルカ - 楽園の囚われ人たち -/七飯宏隆

ルカ
1.新日本国憲法最後の日
2.“家族”会議
3.“家族”会議(承前)
4.終わりの始まり
5.ニッポニア・ニッポン
6.終わりの終わり
7.終わりの終わり(承前)

answer.――― 64 点

ライトノベルにかぎらず、漫画、映画などでも取り上げられるように、安定した人気・需要のあるテーマ【終末】。本作は「世界でたったひとりの人間」のまゆ、その物語―――と書くと語弊があるが、すでに「いない」設定の本作の登場人物たちにとっては正しいはずだ。物語の大枠は読み手の想定を超えることは無いだろう。むしろ、あまりにゆったりとした展開に気だるささえ感じるかもしれない。それでも、本作を思い返してセンチな気分にさせてくれるのは、時間軸を無視して挿入されていた章[破損ファイル]の存在。読了後、もう一度読まずにはいられないあまりに断片的なこの章たちは、本作に文字通り「深み」を与えてくれる。取り立てて推したくなる作品ではないが、終末モノに求められるだろう要素はキッチリと押さえてあるので、その辺は安心の出来だ。ひょっとしたらこの時点ではもう、―――この文がまた、行間を読ませてくれた。

第11回電撃小説大賞 大賞:ルカ - 楽園の囚われ人たち -/七飯宏隆

category: な行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 60点 七飯宏隆

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第11回電撃小説大賞 金賞:ひかりのまち nerim's note/長谷川昌史

ブギーポップ
1.疾走
2.幽霊
3.「本当のこと」
4.議会
5.祭
6.ひかりのまち
7.夜明け

answer.――― 57 点

以下、18歳未満の方には不適切な表現内容が含まれるレヴューとなっております。ご注意下さい。

「そんなにSEXがしたいなら、この家から出ていけっ!」 

上記は、おそらく本作を購入したすべての人が抱いた共通の思いだろう。人はこれほどSEXを憎むことがあるだろうか?いや、無い(断言)。醜悪極まる本作のあとがきは中盤以降、頁をめくるたびに猛り狂うぶつけようのない憤り―――自分がただの読者、他人の作品を読むためだけの存在であることへの怒りを鎮めるどころか、逆に薪をくべるように怨々と燃え上がらせてくれる。著者は執筆業を片手間に塾講師を生業にしているらしいが、本作よろしく不純異性交遊に奔る前に即刻、地域住民の手でパイプカットして頂きたい。私の読書歴のなかで五本の指に入る最低のライトノベル―――と、重度の性犯罪者を断じるような言葉を並べたが、「五本の指」と自分の人生を引き合いに出してまで「最低」と罵らせてもらったのには確たる理由がある。本作、おそらく数多あるファンタジーノベル史上「最高」と評しても良いOPを以って幕を開けるからだ。いつになっても夜の明けない町、そこに住まう学生の主人公ネリム……その登校シーンはもどかしい《現実》のなかにいる読者をスケートボードでの跳躍とともに、この陰謀渦巻く《ひかりのまち》へと誘ってくれる。かのジブリ作品をも凌駕しなかねないこの冒頭に魅せられることは必至で、抗うことは難しい。実際、この冒頭だけで金を払う価値がある。しかし掛け値なしにファンタジーノベル史上「最高」のOPも、SEXひとつでもろくも崩れる。支持率90%超の大統領も戦争ひとつで歴代「最低」の大統領とその評価が覆るように、本作はSEXひとつで「最高」から「最低」へとその品格を落としてしまったのだ。主人公のネリムはきっと著者自身なのだろう。そして、著者は真正の童貞なのだ。SEXがしたくてしたくて堪らず、かといって風俗に行く度胸もなく、そうして、行き場を失った童貞の欲望はついに己の作品にて筆を下ろすという禁忌を犯した。ティッシュに包まれるべき著者のザーメンは本作にぶつけられた。そうとは知らず、我々は不用意に本作に近づき、気づけば彼のザーメンを顔面に浴びていたのだ。マスターベーションの果てに見えたのは、ひかり(のまち)。著者、渾身の筆下ろし。イカ臭いデビュー作だ。

長谷川昌史「最低だ、俺って……」 

第11回電撃小説大賞 金賞:ひかりのまち nerim's note/長谷川昌史

category: は行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 50点 長谷川昌史

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第11回電撃小説大賞 銀賞:奇蹟の表現/結城充考

奇跡の表現
1.Scene. 1
2.Scene. 2
3.Scene. 3
4.Scene. 4
5.Epilogue

answer.――― 61 点

期待を裏切ってくれた、その印象が一番残ってしまう作品。幾つかのレヴューサイトで映画『レオン』が引き合いに出されているように、悲哀を背負ったハードボイルドな雰囲気が全編を貫いている。そう、雰囲気は良い。マフィアのボスだった過去を持つイノシシのサイボーグ、盲目に神を信じる孤児の少女、遺伝子のレベルから改造された「根源的暗殺者」といった設定を持つ登場キャラクターも合格点を挙げられるだろう。実際、読み始めはスロウな展開ながら「焦らされつつのぉ~」と先をザキヤマさん的に想像させてくれた。……おや?となるのは、臓器売買という題材としては埃をかぶった事件と、過去の「死闘」とされる戦闘描写の拙さから。そこから肩透かし気味に続くところ、陰のある女司祭さまが何かアクションを起こしてくれるのかと思ったが、早々にまさかの退場をしてしまい、あとはそのまま山も無く「……(パタン)」と本を閉じることに。イノシシのサイボーグと「根源的暗殺者」の戦闘、イラストレ-ターのグッドデザインもあってかなり期待していたんだが……。見事なまでの本格派な肩透かし。雰囲気だけは○、ということで。

第11回電撃小説大賞 銀賞:奇蹟の表現/結城充考

category: や行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 60点 結城充考

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第11回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:シリアスレイジ/白川敏行

シリアスレイジ
1.プロローグ
2.舞台に上る者
3.変更される配役
4.脚本家の誤算
5.演出家の交代
6.黄昏に下りる幕
7.エピローグ

answer.――― 63 点

疫学史上最悪のウィルスが蔓延し、自然環境が一変した世界―――ワクチンの開発によって安定こそもたらせたものの、地球上の生物たちはおぞましい変態を遂げていた。なるほど、ハザード物ね、と考えていると、ストーリーはテロリスト討伐というマイナス査定なサプライズ。モンスター、完全に友情出演かいっ!?と選考委員たちからも指摘されている通り、作者がセールスポイントを間違えてしまった感が強い本作。頻発するかなりご都合主義な秘密道具の登場を含めても、展開に難が目立つ。ただ、要所で作者の地力も目立ち、主人公を巡る女性関係、緊迫感の演出などは評価しやすい。ラストの「モテ男は辛いぜ……!」なドンガラガッシャンはなかなか堂に入っていて好感。と挙げられるように、この作家は演出力が高いので<原作付き>にすることを編集者にはお薦めしたい。自作自演となると、この子はダメでしょう。自分を上手く使いこなせないタイプだね。

第11回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:シリアスレイジ/白川敏行

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞選考委員奨励賞 OPEN 60点 白川敏行

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角川文庫:推定少女/桜庭一樹

推定少女
Ending Ⅰ 放浪
Ending Ⅱ 戦場
Ending Ⅲ 安全装置

answer.――― 50 点

作家に限らず、すべての創作家が創作に臨む上でまず手に入れなければならないものがある―――「確信」。本作にはそんな「確信」が無い。それは何も、エンディングが三つ用意してあるから言及している訳ではない。幾ら頁をめくっても、読んだ万人が印象に残る「決め」の場面が訪れないからだ。アドリブ的に書き進めた手探りの作品、本作にはそんな印象を終始抱いた。冒頭、父親を事故で射て逃亡するヒロインはダストシュートに逃げ込み、そこで拳銃を手に硬直した裸の女に「出会う」。ここまでは良い。著者自身もこの「起」に関しては狙って描いたことだろう。問題は、そこから先だ。二人は逃亡する、裸の女は記憶を失っているらしい、TVではUFOが墜落したという報道が流れる、ヒロインはふと精神病棟から逃げ出した患者の話を思い出す、また、拉致された女の事件を思い出す、……それらの内容はショッキング、ではある。しかし、いつまでもストーリーと結びつかない。まるで物語が進まないために、読者の注意を惹こうとその場その場のアイディアを挟んでいるかのように。思春期の不安を描いている、と各レヴューサイトはまとめているが、それは桜庭一樹の文章力に騙されているだけだ。拙い文章で本作と同じ内容が描かれたとき、きっと同じ感想にはならないだろう。ただただ、不安定な物語。それが本作である。本作はライトノベルとして2004年にファミ通文庫で出版された後、2008年に角川文庫でエンディングを追記して再出版された。画像はその角川文庫のものを使用。もっとも、たとえ桜庭一樹ファンであろうと、本作に関しては読む必要を感じないが。

角川文庫:推定少女/桜庭一樹 (2004)

category: さ行の作家

tag: OPEN 50点 桜庭一樹

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