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角川文庫:砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
1.砂糖菓子の弾丸とは、なかよくできない
2.砂糖菓子の弾丸と、ふたりぼっち
3.砂糖菓子の弾丸とは、もうあえない

answer.――― 71 点

桜庭一樹の名を一般文芸へと広げた出世作。その内容はライトノベルらしからぬ家庭内暴力を扱ったショッキングなもので、冒頭も冒頭、一頁目で主要登場人物である海野藻屑が死ぬことを明示されている。もっとも、本作が話題になったのは明らかに出版当時(2004年)、この内容で萌え絵を表紙にした典型的なライトノベル「だった」ことでの恩恵だろう。あるいは、オンラインゲーム隆盛による引きこもりからの家庭内暴力がクローズアップされ始めた当時の時代背景の後押しを受けた可能性もある。どの途、この手の題材が溢れている現在、当時と同じ衝撃を受けることは難しいだろう。砂糖菓子の弾丸、という奇妙な響きはそれこそ引きこもりの(主人公の)兄が嘘を風刺した言葉。作中にキメフレーズとして度々出てくるのだが、その度に肩をすくめたくなる「なんちゃって」感が漂う。個人的には上述の通り、時流を得た作品として捉えているために内容それ自体を評価は出来ないのだが、桜庭一樹という作家像を掴むのには興味深い作品だった。というのも、本作はマクロ的な視点で見れば実質、直木賞受賞作『私の男』の習作となっているからだ。桜庭一樹に対して、私はライトノベルと大衆小説を書き分けられる器用な印象を持っていたが、創作に対しては不器用で、存外、そのパターンは少ないのかもしれない。画像はライトノベルとして出版された萌え絵を配した富士見ミステリー文庫時ではなく、一般文芸作品として再出版された角川文庫のものを使用しています。

角川文庫:砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹 (2004)

category: さ行の作家

tag: OPEN 70点 桜庭一樹

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