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第12回電撃小説大賞 大賞:お留守バンシー/小河正岳


1.憩いの魔城
2.嵐の前のなんやかんや
3.魔女は来ませり
4.法王庁の刺客
5.涙のあと

answer.――― 61 点

舞台は科学の発展忙しい19世紀中ごろ。敬愛する主が不在となり、その間、城の管理を任された妖精バンシーの物語。間抜けなデュラハン、慎ましいサキュバス、ペンギン姿のガーゴイル等、一風変わった仲間たちとともにほのぼの愉快にお城を切り盛り、主の帰還を待つ。ライトノベルでは大手筆頭の電撃文庫、その大賞を受賞している本作。さて、どこを評価されたのか?というと、これはほぼ間違いなく、ヒロインが適当に可愛く、登場人物たちが適当にエロいためだろう。エロい―――と云っても下半身をまさぐられるようにそそられるものではなく、こち亀における両さんが「エロい」的エロさ、つまり小学生にも安心の健全エロで、その辺は敵役の老人クルセイダ-が幼女のバンシーに放つ「お前の乳房を吸いにきたのだよ(シリアスな展開の台詞)」からも分かる。ヒロインを可愛く書けるのはそれなりに難しい。それが出来てるからボチボチなんだが、それでも作品自体はかなり小粒なために十把一絡げで忘れられるだろう。

第12回電撃小説大賞 大賞:お留守バンシー/小河正岳

category: あ行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 60点 小河正岳

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第12回電撃小説大賞 金賞: 哀しみキメラ/来楽零

ブギーポップ
1.落下《初夏》
2.共食い《再び初夏》
3.反転《冬》
4.ヒトデナシ《冬》
5.百鬼夜行《冬》

answer.――― 68 点

複数の生物がひとつの個体として混ざり合う状態・キメラ。ある日、エレベーターに閉じ込められた4人の主人公たちは異形の<モノ>に襲われた。気味の悪い錯覚。そう思いつつも、目の前に在ったはずの日常はその日を境に過去のものへと変わってしまった―――。
「幽霊が視えるようになる」など進行する化生化は主人公たち、4人各々が自分たちの今後の生き方への問い掛けを迫るものとなっていく。半人半妖、そうして、当然と犯してしまう《殺人》は物語として良いアクセントだった。語彙に頼らない、シンプルながら力強い筆力で人間ドラマを展開出来ている点が素晴らしい。残念なのは、クライマックスである5章で目に見えて筆力が落ちること。読みやすさを追求したというよりも、単純に描き切れなかったように感じる。ただ、金賞らしい物語としての厚みはあったので、その辺はこの第12回の出世頭・銀賞『狼と香辛料』に足りない要素を本作は持っていたと云える。その代償として話が完結しているため、続刊を読みたいとは思わせないのが営業的難点か。ちなみに、本作における<モノ>とはモノの怪、憑きモノ、といった妖怪の類なのだが、それを<モノ>と現代的に表現している―――のは、明らかな失敗。<モノ>と連呼される度、説明口調に感じ、微妙な不快感がこめかみに溜まっていきました。

第12回電撃小説大賞 金賞: 哀しみキメラ/来楽零

category: ら行の作家

tag: 電撃小説大賞金賞 OPEN 60点 来楽零

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第12回電撃小説大賞 銀賞:狼と香辛料/支倉凍砂

狼と香辛料
(あらすじ)
行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることを了承した。そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが……。

answer.――― 75 点

ライトノベルを読む人なら男女問わず、これは面白い、と薦められる逸品。昨今、敬遠されがちなファンタジーにあって「戦闘」ではなく、「商い」にスポットを当てている辺りからして異色の作品だ。物語は行商人ロレンスがホロと名乗る半獣半人(神)の姿をした少女と出会い、そうして、旅をするうちに舞い込んできた「銀貨が上がる」という思い掛けない儲け話からの一騒動を描く。本作の肝である「銀貨の高騰」のトリックは読者への仕掛け方から解説の入り方まで丁寧な作りで、ライトノベルにありがちな隙(=欠陥)が無いのが嬉しい。そんな本作、二重丸印の良作なのだが、選考の結果として大賞でもなく、金賞でもなく、銀賞受賞というのはオチの弱さにある。もう一山!と期待しているところで、早々に下される作者の下山命令。ファンタジーに付きもののバトルがありきたりなのが勿体無かった。それでも電撃文庫、というよりライトノベルとしては新風とも云える商いファンタジー。銀賞の枠を飛び超えて、当然の人気シリーズとなる。ドラクエ4のトルネコ編、それを楽しめた人はきっといつまでもホロを信じられる大人になるでしょう。狼と香辛料、このタイトルもまた、本を閉じたときには心地良く響く。ホロとの旅は続くのです。

第12回電撃小説大賞 銀賞:狼と香辛料/支倉凍砂

category: は行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 70点 支倉凍砂

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第12回電撃小説大賞 銀賞:火目の巫女/杉井光

ブギーポップ
1.火中
2.火乗苑
3.火護の鐘
4.火摺り巡り
5.火渡の紅弓
6.火目の巫女
7.火刑

answer.――― 60 点

化生を討つ弓・火渡を授かるただ一人の火目=姫。伊月、佳乃、常和の三人の娘はそれぞれの事情を抱え、火目となるべく、宮中の火乗苑へと集められた。各所のレビューに飛んでみても、軒並み「鬱展開」と書いてある本作。実際に読んでみても、終盤に差し掛かる頃には確かに残りの頁数を逆算しながら、……これ、どう話を落とすんだ?となった。と言うのも、ぶっちゃけ、この書き方ならハッピーエンドを期待するからだ。終盤になってどう転んでもバッドエンドが確定(読者の中で)してしまっても、よもやよもや、まさかの逆転、作家の腕の見せ所!を待つ期待で頁をめくる―――が、結局は想像通りの着地点で、やっぱりU2、と。作中で提示される謎や登場人物が抱く疑問が機能していないから、逆転ハッピーエンド、作者の腕に期待してしまうワケですね。文体はやや簡素で平坦ながら、和な単語を散りばめ、日本の平安期を思わせる古風な舞台を演出。あとがきにも書いているように、作品の軸でもある《弓》についての知識がしっかり詰められている。楽しめるかは置いておいて、メインヒロイン・伊月の他の火目候補の才能への剥き出しの嫉妬は、「ここ、その辺のライトノベルとはちょっと違うだろ?オチャヤルヨ( ^^) _旦」と作者がアピールしているように思えて、ハニカミニダ。バッドエンドと書いたが、前を向く形で終えるので読後に不快感は残らないのは良い。

第12回電撃小説大賞 銀賞:火目の巫女/杉井光

category: さ行の作家

tag: 電撃小説大賞銀賞 OPEN 60点 杉井光

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